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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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100/119

100 ローニャ現る

 ガターン!!

 光から飛び出して床に転がってきたのは妹だった。


「!!! ローニャ!?」

「お姉ちゃん!!」


 ローニャは私の姿を見ると泣き出して駆け寄ってきた。


「お姉ちゃん!!」


 ローニャが私に抱きついた時、扉が開かれた。


「ナーニョ様! 大丈夫でしょうか!?」


 入ってきたのは二人の護衛騎士。


「お前は誰だ! 曲者か!」


 護衛騎士は私の後ろを見ている。


 ……ローニャの他にも男も一緒に転移してきていたようだ。


「ここはどこだっ! おい! お前!!」


 男は怒っているのかローニャに襲い掛かろうとしてすぐに護衛騎士に取り押さえられた。

 ローニャはガタガタと震えて泣いている。


 王都の方はどうなっているのだろうか。


「お姉ちゃん、怖かったよお~」

「もう大丈夫よ? 落ち着いて?」


 泣き止まない妹を抱きしめて落ち着かせようとするけれど、泣き止む気配がない。


 よほど怖い目にあったのだろう。


 しばらく泣いた後、ようやくローニャは泣き疲れてウトウトしはじめた。


 私は手を握りながらローニャをベッドに寝かせた後、父にローニャの無事を知らせる手紙を送った。


 一時間程した後、グリークス神官長から手紙が届いて内容を確認する。どうやら専属の侍女がドレスを見に行こうと誘い出し、眠り薬を飲ませてローニャを連れ去ったようだ。


 今は侍女とマダム・レミアを王宮の牢に入れ、現在は取り調べ中のようだ。手紙を読み終え、エサイアス様に連絡を取った。


 彼は音を立てながら護衛と共に部屋に入ってきた。


「ナーニョ様、大丈夫かっ!? 怪我はないか!?」

「えぇ、私に怪我はありません。ですが、ローニャは魔力が底を突くまで使っていたようなので、明日まで目覚めないかもしれません」


 エサイアス様も護衛騎士もとても心配そうにしている。


 私は先ほど王宮からの手紙をエサイアス様にも見せた。


 そこにはエサイアス様宛の手紙も入っていた。陛下からエサイアス様宛の手紙には『ローニャが一緒に連れてきた男の自白を取れ』と書いてあったようだ。


 捕まえた男は子爵家の地下牢に入っていたが、数人の騎士と共に駐屯所に行き、取り調べを行うことになった。


 第十二騎士団の中にもローニャを信奉人がいてかなり憤慨していたようだ。


 後からエサイアス様に自分が取り調べをしたいと申し出る騎士がいたと聞いたわ。


 私はローニャが心配なこともあり、今日は部屋に食事を持ってきてもらい、ローニャを見守る事にした。朝早くにローニャは目覚めたようでムクリと起きた。


「ローニャ、起きたの?」

「お姉ちゃんごめんね。助かるために逃げてきちゃった」

「大丈夫。もう心配いらないわ。お父様にも連絡しておいたから」

「本当? 良かったっ」


 ローニャは安心したせいか、疲れたせいか、まだ眠いらしくベッドで気づいたら寝てしまったようだ。次にローニャが起きたのはお昼を過ぎた時間になっていた。


「ここは、どこだっけ?」

「ローニャ、目が覚めた?」

「お姉ちゃん!」

「ローニャ様、目覚めましたか?」


 姉と一緒に部屋にいたのはエサイアス様だった。どうやらご飯を持って来てくれたみたい。もぐもぐと食べながら昨日のでき事を細かく話していく。


「確かね、攫われた女の子たちは青馬倶楽部っていう貴族の集まりに連れていかれると言っていたわ。そこの元締め? にジョー様っていう人がいるらしい」


 聞いたことを私は細かく紙に書いた。私が書いた物と昨日エサイアス様が取り調べを行った男の調書を父に送る。


 男は抵抗すると思いきや、ここが王都から離れていることを知り愕然としたようだ。


 そこから取り調べを行った騎士に心を折られ、あっさりと自供したらしい。


 報告書を読んだという手紙はすぐにグリークス神官長から送られてきた。神官長も今回の事態を重く見て王宮にいるようだ。


 ローニャの情報と昨日捕まえた男の証言で捜査はかなり進展したのだとか。


 今日の巡視は急遽休みになった。街についてからずっと動いていたので騎士たちも喜んでいる。


 ローニャには今の状況を話して今日一日はゆっくりと部屋で過ごした後、巡視に同行するか街に行くか聞いてみた。


 明日は巡視に同行したいらしい。


 いつも研究所で魔獣の素材は見ているけれど、どのように退治されているのか見てみたいようだ。


「ナーニョ様、ローニャ様、おはようございます」

「おはようございます。今日はローニャと共によろしくお願いします」


 その言葉に騎士たちはわっと声が上がる。歓迎されている事にローニャは嬉しそうだ。


 私たちはいつものように巡視に出掛けた。


 子爵の話ではあまり大きな魔獣はいないと言っていたけれど、狼型の魔獣は他にも群れがいたようで街道を外れた所で出くわした。


 騎士たちはいつものように討伐していく。


 ローニャにとっては物珍しそうにしていて、尻尾がぴこぴこと揺れ、興奮が抑えられないようだ。


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