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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第2章 女帝編
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そんな装備で

   マリア陣営


 「全滅?両翼ともに?本気でいってるの?」

 「ああ、信じられないかもしれないが、事実だ」

 「ありえない!中央の部屋は戦略的に重要だから戦力を固めて防衛したのなら、撃退されたのも理解できるけど、これはありえないわ」

 「どうやら最初から3箇所に防衛力を割り振っていたみたいだな。両翼ともほぼ同時に交戦、壊滅している」

 「相手はどんなズルをしたの!」

 「いや、ズルしてたのはこっちのような気もするんだが・・」

   ギロ

 「おほん!まあ、そのなんだ。相手の基本戦略は罠と部隊の併用で間違いないだろう。問題はその性能だな」

 「うちのカスタムゴブリン部隊より強力だって言いたいわけ?」

 「罠を活用して、奇襲をかければって前提つきだがな」

 「それにしたって装備も旧式だし、呼んでるのもスノーゴブリンの亜種ばかりみたいじゃない。耐寒があるのを想定して、火魔法のメイジを選んだのになんで押し負けるのよ?」

 「これは戦闘結果からの推測だが、相手のダンジョンコアの戦闘力が俺を上回っているようだ」

 「ボンの戦闘力ってランクCよね」

 「ああ」

 「相手がランクBだったとして、どれくらいの差がでるの?」

 「概算で、罠の発動率10%、命中率10%、攻撃力+2、召喚眷属の命中率10%、回避率10%、攻撃力+2だな」

 「なにそれ、ずっこい」

 「まあ攻撃力に関しては、中級装備のこちらが、わずかに有利なんだがな」

 「相手が拾って使ったりしないでしょうね」

 「・・・まずいな」


 「いいわ、初心者と思って舐めてたのはこっちだしね。ここから本気で戦ってあげる」

 「最初から本気だったような・・・」

 「なにか言った?」

 「いや何も。本気ということは彼を呼ぶのか?」

 「ええ、例え何人の雑兵を集めたとしても、1人の武将には勝てないことを教えてやるわ」

 「雑兵で攻めたのはこっちだけどな・・・」

 「何か文句があるの?」

 「いや何も。了解した、マスター。ゴブシロウを固定装備でコアルームに召喚!」

 「ゴブシロウ、敵の本陣を攻め落としなさい!」

 「御意」



   「姫」視点


 「主審、中間報告が纏まりました」

 「あら、ありがとう。・・・現時点で消費DPが480対732で、占有エリアが5対4ですか。これだけ見るとマリア陣営が優勢に進めているように見えますわね」

 「違うのですか?」

 「ええ、残存勢力は72対630ですから損耗率85%対14%ですわね。しかも設置した罠は勢力には含めていませんから、戦力差はもっと開いていますわ」

 「マリア陣営の方がベテランと聞いていましたが」

 「そのとおりですわ、お相手はまだランキングにも乗っていない初心者マスターでしてよ」

 「それでもこの結果なのですか?理解できません」

 「ダンジョンコアの戦闘力ランクの違いを生かす戦法、出し惜しみしないDPの初期投入、なによりコアの特性を利用した指示速度の効率化がすばらしいですわ」

 「「無口」でしたか」

 「ええ、あの娘の口下手を指示会話の短縮に活用するなんて、思いもしませんでしたわ」

 「情報伝達の齟齬は起きないのでしょうか」

 「もちろんリスクは考慮の上でしょう。これまでのダンジョン防衛の実戦で培ったノウハウのようですわ」

 「それではこのまま押し切ると?」

 「マリア陣営がそれを許しはしないでしょうね。いまだDPの半分は残っているわけですし」

 「そうですか・・・まだ時間がかかる・・・それでは私はこれで」

 「お待ちなさいな」

 「離してください、私には仕事が・・・」

 「貴女の仕事場はここですわ。コールセンターの職場放棄のペナルティーとして、このダンジョンバトルが終了するまで、ここに居なさい!」

 「離して・・入稿が遅れて・・新刊落ちは嫌・・」



 「コア、ルーム4とルーム8に新たにスノーゴブリンを標準装備で召喚。ルーム1とルーム9の偵察、及び占有に行かせて」 「ん」

 予想ではこの二つの部屋にはもう何もいないはずなんだけど。

 すぐに両方とも占有エリアになって、表示が明るくなった。これで6箇所が僕らのエリアだ。だけど、向こうには切り札が残っている。


 「っあ!」  「え?」

 コアが悲鳴のような警報をあげるのと、ルーム9の表示が暗く変わったのは、ほぼ同時だった。

 「スノーゴブリンが倒された?」 「・・ん」

 あの一瞬でか。どんな化け物だよ。

 大物が来たら遅滞戦闘をしつつ、逆側から侵攻して相手のコアルームを陥落させる作戦だったけど、これはこっちがやばいね。

 「AAはルーム7に移動、アップルチームはルーム2から3へ侵攻、S&Wもルーム7へ移動」 「ん」

  「「「ギャギャ(了解!)」」」

 「コア、ルーム8にスノーゴブリン・チーフを新たに標準装備で召喚。防御専念でねばってもらって」

 「ん」

 「あと敵が来たらスキャンして」 「ん」

 さあ、これで打つ手がなくなったね。あとはアップルチームが届くのが先か、こちらが突破されるのが先かの勝負だ。

 

 「あ!」

 先にルーム8に敵が侵入してきた。落とし穴は斜めに飛び越えたようだ。

 黒い武者鎧に刀、奴だ。

 コアのスキャンが発動し、相手が一瞬ひるんだ隙にチーフが間合いを詰める。

 スキャンデータが送られてきた。

 ・・・・

 ・・・


 オリエンタルゴブリン・サムライマスター:東方小邪鬼 侍頭領

種族:亜人? 召喚ランク6 召喚コスト 432(540)固定装備

HP42 MP18 攻撃力7(+13妖刀ムラマサ) 防御力6(+13将門の具足レプリカ)

技能:剣、受け、回避、刀、気配察知、殺気感知、罠回避CS、共通語CS、

特技:カウンター(交差法)、クイックドロウ(居合い抜き)、

   ホウィーリングアタック(旋風撃)

備考:交差法 使用MP0 敵の攻撃を受け流して反撃 成功率はランク差に依存

   居合い抜き 使用MP1 納刀状態からの瞬撃 回避率40%低下効果

   旋風撃 使用MP2 間合いにいる敵全員に攻撃 命中率-10%ペナルティ



 「勝てっこない」  「・・・」


DPの推移(バトル内)

現在値:268 DP

召喚:スノーゴブリンx2 -80

召喚:スノーゴブリン・チーフ -160

スキャン:x1 -1

残り 27 DP


 マリア陣営

現在値: 520 DP

召喚:サムライマスター -432

残り 88 DP


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