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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第11章 湖底の棺編
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どうやら奴の関係者が紛れ込んでいるらしい

  凍結湖、地下水道、空気溜まりにて


 ヴォジャノーイのノヴォの、深淵の叫びを聞きつけたフロッグマン達は、四方八方から集まってくると、報酬の取立てを始めた。


 「ザザ虫食べ放題だケロ」

 「沢蟹つきって約束だケロ」

 「嘘ついたらハリセンボン飲ますケロロ」


 狭い地下水路にぎっしり詰まったフロッグマンの群れは、その滑稽な姿を補って余りある迫力に満ちていた。どこを見ても蛙面である・・洞窟の壁が全部、蛙で埋まっているように見える・・


 「うるせえ!お前ら途中で逃げ出したじゃねえか!こちとらギガントホーントードに踏んだり蹴ったりだったんだぞ、逆に慰謝料が欲しいくらいだぜ」

 ノヴォは、今更、報酬を払う気などなかった。


 「嘘吐きは泥棒の始まりケロ」

 「約束は守らないといけないケロ」

 「契約不履行は、重罪ケロロ」


 フロッグマン達の声が、次第に低く、重々しくなってきた。それに伴い、大きな目が爛々と光りだす・・


 「なんか、ヤバイぞ・・おい、ルカの旦那、払うものは払えよ、ジャー」

 危険を察知してベニジャが説得しようとするが、ノヴォも意固地になっているようだ。


 「ヘッ、召喚した蛙人に、逆に威されて従ったとなったら、ヴォジャノーイ仲間の笑い者だぜ・・どっちが上位なのか、教え込んどかねえとなあ・・」

 そう言って、三つ又矛を構えた。


 「おい、ルカもなんとか言えよ、こんなとこで借金の取立て騒動とか、面倒なだけだろ、ジャジャ」

 「この人はいつもこうなんです~、安請け合いして、あちこちに借金こさえて・・家にも良く取り立てに怒鳴り込んでくる亜人さん達が来てたんですよ~」

 「筋金入りの駄目夫だな・・ジャジャー・・」

 ベニジャとルカは、生温かい視線で、ノヴォを見つめていた。



 「どうやら痛い目をみないと分からないようだケロ」

 「素直に払っておけば良かったと後悔しても遅いケロ」

 「恨むなら、契約を破った己を恨むケロロ!」

 そう言って、フロッグマンが一斉に攻撃を仕掛けてきた。


 「「「 ウォーターボール!! 」」」


 3方向から放たれた十数発の水球が、ノヴォに向かって飛んでいった。

 ノヴォは、それを平然な顔をして、三つ又矛を一振りすると、全てを消し去った。


 「水の中級精霊である俺に、水系攻撃呪文とか、舐めてんのかよ!」


 「・・おいおい、ルカの旦那もやるじゃないか、ジャー」

 「・・腐っても中級精霊ですからね~」

 ベニジャの評価に、ルカも少し嬉しそうだ。


 しかし、フロッグマン達は、懲りもせずに呪文を放つ・・


 「「「 ウォーターボール!!! 」」」



 「だから効かねえって、言ってる・・あだっ」

 同じように矛で呪文を消し去ろうとしたノヴォの頭に、大きな石が命中した。


 「おい、水球の中に石礫を入れるのは、反則だろ!」


 フロッグマンは、仲間の呪文を目晦ましにして、物理攻撃を仕掛けたようだ。

 「これは水合戦でないケロ」

 「卑怯は敗者の言い訳ケロ」

 「謝るなら今のうちケロロ」


 「冗談じゃねえぜ、こちらが手加減してるのも分からずに、セコい戦いしやがって・・こうなったら、全滅を覚悟するんだな!」

 そう叫ぶと、ノヴォは高位呪文の詠唱を始めた。


 「闇より深き淵に眠りし我等が主よ、その大いなる・・」


 「・・あの呪文はまさか・・」

 「・・知ってるのかルカ?ジャー」

 「・・いえ、なんとなく言ってみただけです~」

 「おい!」


 「・・渦に巻き込みて、滅ぼしたまえ・・ヴォ・・あだっ!あだっ!」


 長々と詠唱していたノヴォに、石礫が散弾のように命中した。

 ヴォジャノーイの防御力を貫通するほどの威力は無いが、詠唱を阻害するぐらいの痛みは与えられる。


 「畜生、お前ら汚ねえぞ! あだっ!」


 「当たり前だケロ」

 「ほっとけばスゴイ魔法が飛んでくるのに見てる馬鹿はいないケロ」

 「あれ?今の呪文だったケロロ?」

 中には、単に石をぶつけていたのも居たようだが、ノヴォとフロッグマンは互いに決め手を欠く戦いになった。


 「高位魔法が使えれば、こいつら一網打尽なんだが・・」

 

 「こっちの攻撃は殆ど、効かないケロ・・」


 しばしにらみ合った後、先に動いたのはフロッグマンであった・・



 「だったら、人質をとるケロ」

 「それ良いケロ」

 「引き換えに沢蟹を要求するケロロ」


 洞窟の隅で見物していたベニジャ達は、不穏な気配を察知した。

 「・・あ、まずい、こっちに飛び火しそうだぜ、ジャー」

 「・・でも、知らぬ振りすれば・・」


 それに気付いたノヴォも叫ぶ。

 「やめろおお、かあちゃんを巻き込むなああ!」


 「・・いや、叫んだら関係者がいるってもろバレだろう・・ジャー・・」

 「・・すいません・・馬鹿で・・」


 その叫びを聞いたフロッグマン達がざわめいた。

 「あれで結婚してるケロ」

 「奥さんも趣味悪いケロ」

 「もしかしたら母親のことかも知れないケロロ」

 「「なるほどケロ」」


 フロッグマン達が、ベニジャ達をギョロリと見回した。

 ルカはその視線から逃れるように、アイス・ドレイクの陰に身を寄せた・・・


 しかし、その動きは壁一面の視界から逃れようもなかった・・


 「「「 お前かああケロ! 」」」



 フロッグマン達が一斉に、睨みつける。


 その視線の先には、大蛙の毘沙門がいた・・・


 「ケロケロ?」



 「「そんなわけ、あるかあああ!!」」


 ノヴォとルカの絶叫がシンクロした。



 「「あっ!」」


 フロッグマン達がニヤリと笑った。


 「引っ掛かったケロ」

 「単純ケロ」

 「お、おいらも違うって最初からわかっていたケロロ・・」


 後でアンケートをとった結果、4割は大蛙だと信じていたらしい・・・



 「半魚人ならお似合いだと思ったケロ」




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