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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
304/478

いわゆる地ビール

本文後半に修正が入っています。

 「コア、起きて、そろそろダンジョンの拡張するから、コア?」

 『しーーーん』


 うお、ビックリした・・久々にはっきりとしたシステム無音を聞いたから、コアに無視されたかと思ったよ・・

 「オイラの驚きが理解できたっすね」

 確かに、これ不意をつかれると、凹むね・・

 でもレベルアップ無音がしたということは、コアのレベルも上がったのかな?

 「バトルの結果にしては、ずれてる気がするっす・・」


 以前も、離れたエルフの里で外交交渉が成立したら、上昇したことがあったから、今回もその口かな?とにかくコアにスキャンしてもらうしか、確かめようがないんだけれど・・

 『むにゃむにゃ・・』

 うちのお嬢様は、いまだ眠ったままのようです・・



 『ふああぁぁ』

 あ、起きたね・・

 『ふにゅう・・』

 あ、二度寝した・・・コア、夜だけど起きて、お仕事あるから・・

 

 ぐずるコアをなだめすかして、まずはコアと僕のスキャンから・・・


 職業:ダンジョンマスター レベル7→8

技能:ダンジョン知識、予測、サバイバル、恐怖耐性、工芸、水泳、交渉、苦痛耐性、ダンジョン戦史New

特技:精霊流し、個人酒蔵New  健康状態:健康(虫刺され)


 ダンジョンコア「コア」覚醒バージョン レベル7→8

機能:管理、召喚、スキャン、設置、分解、カスタム、変換、拡張、再配置、転送、遠話、「 」New

特機:浮遊(覚醒バージョン) DP容量:現在値3913/最大5000 (8587DC)


 さて僕から行こうかな・・・

 技能のダンジョン戦史は、どうやらコアが「姫」から預かったダンジョンバトルの記録によるものらしい。なぜコアのデータが僕の技能として反映されたのかは不明なのだけれども、その膨大な情報量を有効に活用するための技能らしい。『図書館検索』みたいなものだろうか・・


 そして問題は、新たに増えた特殊技能『個人酒蔵』である。

 どうやら、あちこちでお酒に対する需要が増えすぎて、「もう自分で酒蔵を始めるしかないよね」という状況に陥った結果、発生したものらしい・・・

 コアに問い合わせたところ、ダンジョン内で生産する酒類が、安定かつ美味しく出来るようになる効果があるということだ。

 ありがたいけど、微妙な特技ではあるよね・・

 なんだろう、ダンジョンマスターの特技って、皆、こんな微妙なものなのだろうか・・それとも僕だけ?


 今度、マリアにでも聞いてみようと思ったけれど、聞けば、こちらのも答えることになるだろうし、そこでものすごく笑われそうなので、止めておこう・・・



 コアの機能には、また新たな三択が登場したらしい。

 「コア、それぞれの説明をよろしく」

 『こほん』


 「隠蔽」 ダンジョン内で、敵の探知系能力を無効化する、または著しく低下させる。

 「遮断」 ダンジョン内で、敵の空間転移能力を無効化する、または著しく低下させる。

 「隔離」 ダンジョン内の、壁・床・天井などの強度を飛躍的に増大させて、破壊や貫通を困難にする。

 の三択らしい・・・


 「これはまた、選ぶの難しいのが来たね・・」

 『なやむー』

 全部、今すぐ欲しいんですけど、どうしようか?

 「隠蔽」は、コアルームを探知されたり、遠隔地からダンジョン内を偵察されるのを防ぐのに役立つ。

 「遮断」は、邪神教徒戦の時のように、いきなり本拠地を強襲されるを防いでくれる。

 「隔離」もあのときのように、外側から掘削してダンジョンを裸にされるのを防いでくれそうだ・・


 将来的には、全部とれるわけなんだけど、今、一番欲しいのは・・・

 「遮断」かな・・

 双子姉妹とのバトルでも、シャフトの罠の回避に使われたし、疲弊して逃走を図る冒険者を封じることもできそうだ・・

 「コア、追加する機能は『遮断』を選択して」

 『らじゃー』



 さて、レベルアップの処理も終えたことですし、懸案の、ダンジョンの拡張をしておこう。

 必要なのは、これからやって来るドワーフ難民の受け入れ場所と、仕事場、それにせっかくだから、酒造の為の施設の拡張かな・・

 場所的には、水霊の洞窟の先、第四層を広げていけば良さそうだ・・・酒造施設は現状のフィッシュボーンにある施設の増設で賄おう・・


 「コア、第4層の左側を拡充するよ。9マス部屋の3方向に出口をつけて、3マス廊下をそれぞれ接続して」

 『ん』

 「その先にそれぞれ25マス部屋を設置、廊下の両端は石の扉で仕切って」

 『・・ん』

 「もう少し必要かな?・・左正面の25マス部屋の奥に同じサイズの部屋を隣接で拡張、間の壁には2つ石の扉をつけて」

 『ん?』

 「ああ、3mほど離した等間隔でいいよ」

 『ん』

 「左の右手は共用の鍛冶場にするから、その奥に3箇所、個人用のスペースを9マス部屋で増設して」

 『・・ん?』

 「あっと、一つは左中央の9マス部屋と対称形の位置に」

 『ん』

 「一つは、正面中央の9マス部屋と線対称の位置に」

 『・・ん』

 「最後は、その二つの部屋の間に上手く収めて」

 『ふぁじー』

 「廊下は曲げてもいいからね」

 『らじゃー』

 保険として避難用の隠し通路も繋げておいたほうがいいかもね・・




  その頃、北の山脈の地下にある、元「鍛冶場の番人」クランの居住地では・・・


 「フレアだぜ!」

 「フリージアです・・」

 「二人合わせて負け犬シスター・・」

 「ストップ・・自虐ネタが酷すぎです」


 いまいち元気の無い双子姉妹が戻ってきていた。


 「姉さん、現実に目を背けたらいけないんですです」

 「貴女にそういわれる時が来るとは思いもしませんでした・・」

 「あれあれ、フレアはいつでも、ありのままを見つめているですよ?」

 「なら、バトルで失ったDPの予備はちゃんと貯蓄してありますよね?」

 「・・ららら~ららら~らら♪・・」


 タッグ戦で敗北すると、合計で1万ポイントの損失になる。まさかの為にDCに蓄えのある姉と違って、その日暮しの妹に、そんな余裕があるはずがなかった。

 「DPなら、そこらへんのドワーフを、きゅっと・・・」

 「絞めて吸収したら、契約違反でとんでもない違約金を払わされます・・今ならペンペン草1本も残らず没収されますね・・」

 バトルの景品になった以上、このクランのドワーフには手が出せなかった。


 「なら居るだけ邪魔です、とっとと追い出すです」

 「そうですね・・当初の目的も果たせませんでしたし、契約通りに、希望者は放逐しましょう・・」

 

 そう姉妹が相談していると、どこかともなく声が聞こえてきた・・

 『うふふ、謎の査問官が参上です』

 「いや、絶対管理局でしょう・・」

 『あらあら、そこは気がついていても「何者だ!」ぐらい言ってくれないと』

 「姉さん、怪しい気配がするです。声だけで姿が見えない敵ですです」


 『・・妹さん、素直ね・・』

 「・・どうも・・」


 「くうう、姿を現すです。卑怯者め、なのです」



 「それで、『管理人さん』直々になんの御用ですか?」

 『うふふふ、貴女達に素敵なプレゼントを持ってきたの』

 「やったです、姉さん、この敵は、良い敵です」


 「貴方が、そういう言い方をするということは・・・警告ですか?」

 『あらあら、察しも良すぎると、可愛げがないって言われるわよ』

 「大丈夫です、姉さんに可愛げは、元からゼロですー・・痛い痛い・ギブ、ギブです」


 『アイスドールとファイアーダンサーにダンジョンバトル委員会からの警告を伝えます。規則第9条により、勝敗の際に契約した事項を誠意をもって履行しなさい』

 「・・・断ったら?」

 『お仕置きです』

 「・・・手を抜いたら?」

 『罰金とダンジョンコア機能の一時停止ですかしら』 

 「・・・財務的に履行不可能だったら?」

 『あちらに頭を下げて負担してもらうか、借金ですね。バトルの損失の補填なら短時間の査察で融資が受けられます。24時間受付ますよ、うふふふ』


 「はっきり言って、眷属でもない亜人を100人単位で、この距離を移動させるのは無理だ。半分は途中で脱落するぞ・・」

 『あらあら、それはきっとあちらに考えがあるのでしょう。引取りにくるつもりかもしれませんね』

 「なら、それを待てばいいのか?」

 『ちゃんと、それまで面倒みるんですよ』

 「・・了解した・・」



 「姉さん、姉さん、いいんですか?」

 「仕方ない、管理局に目を付けられているうちは、派手な行動は取れないからな・・」

 「でもでも」

 「大丈夫だ、幸運なことに私達には1年の猶予期間ができたのだ。これを有効活用すれば問題ない・・」






 

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