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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第1章 サバイバル編
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戦いすんで

 コアルームへ進撃してきた「凍った槍」の族長は、その特殊技能「ハウリング」で僕らを恐慌状態に陥れた。ランクの低い眷族は恐慌状態で強制撤退、耐えたものも萎縮して攻撃がまともにできない。

 防御に専念する前衛のアップルを押し込めるように槍を操ると、族長は後ろの戦士達をコアルームへと呼び込むつもりのようだ。

 「コア、群体を2体コアルームに召喚。族長と戦士をそれぞれ攪乱させて!」 「ん!」

 「さらに今まで倒した敵を全部吸収、そのポイントでコアルームにグレイウルフをカスタムで2体召喚!追加技能は恐怖耐性で!」 「ん!」

 「ケンは召喚されたリュウとガイを統率して族長に集団戦闘!」 「ん」 「バウ!」

 「アップルは目標を後方の戦士に変更、アズサとアサマも同じ奴に集中!」 「ん」 「ギャギャ」

 「ワタリは・・・あれ、もういないや。さすがの逃げ足だな」 「ん」


 群体に纏わり付かれ、足元を3頭の灰色狼に噛み付かれて、いらついた族長は、再度僕達をにらみつけると息を大きく吸い込んだ。

 「コア、この部屋の気圧を下げて!」  「ん!」

 キーーーーン   高速エレベーターで急上昇したときに起きるような耳鳴りがして、周囲の音が聞こえなくなった。その直後に族長の2度目のハウリングが響き渡る。

 「グギャーーー」

 しかしそれはとても遠くから響いたように聞こえ、最初の咆哮と違って何も悪影響を及ぼさなかった。

 僕は唾を飲み込んで耳抜きをすると状況を確認する。

 群体は2つとも吹き飛ばされて、散り散りになってしまった。バッタの聴覚は外耳だから気圧の影響をうけない。ハウリングをもろにくらって逃げ散ったんだろうね。

 ケンチームは聴覚が使えなくなって慎重になってはいるけど、ハウリングをものともせずに戦い続けている。

 ケンは順当として、ランク2の2頭が恐慌状態に陥らないのは、カスタムした技能の所為だ。恐怖耐性は威力の弱まった咆哮に対して十分に効果を発揮してくれたみたいだ。


 「ケンチームは族長の周りを周回して的をしぼらせないように。死角に入ったメンバーが攻撃して」

 「ん」 「バウ」

 コアの指示は音声ではなく念話で眷属に届いているので、耳が使えなくてもこちらの意図は伝わるんだ。


 「AAA(アップル、アズサ、アサマ)チームは戦士を攻撃。敵は困惑してるから畳み掛けて」

 「ん」 「ギャギャ」

 

「ギャギャッギョ(俺の背中を護れ)」

 族長が戦士に指示を飛ばしているけど、彼らの耳もキーーンとなってるので良く聞こえないはず。集中が乱されてアップル達の槍を捌ききれていないね。


 すでにMPを使い果たした族長は、白兵戦で暴れているけど、ケンチームの華麗な巴陣の前に翻弄されている。後ろからきた戦士2体はAAAチームが分断、各個撃破してくれたようだ。

 この戦い、2度目のハウリングを封殺した時点で勝負は決まったんだ。


 ケンが族長の喉笛を噛み千切るのと、AAAチームが2体目の戦士に止めを刺したのはほぼ同時だった。

族長が倒れると、ハウリングの効果も切れたようで、退避していた皆が次々にコアルームに戻ってきた。


 「皆、無事でよかったよ」  「ね!」   「「「 キュギュギャバグヒ!」」」

 やんまー・こまつ組は、最初のハウリングで全員が擬死状態になっていたらしい。ある意味正しい死んだ振りの使い方だと思う。

 怪我は、チョビとアップルが重傷、ケンとウィングが中傷、アグー、アズミ、アサマが軽傷を負った。

 「コア、急いで小部屋の中央に「癒しの毒リンゴの木」を設置して」 「ん」


 小部屋に行くと、すでに部屋の中央には天井すれすれまで枝を伸ばしたリンゴの木が生えていた。緑色の葉っぱの陰に真っ赤なリンゴが6つ生っているので、それをすべてもいで急いでコアルームに引き返す。 


 「ケン、どれが毒で、どれが食べれるかわかる?」

 ケンの前に6つのリンゴを並べると、ピスピス鼻を鳴らしながらにおいを嗅いでいる。やがてそのうちの3つを前足で転がすと、残りの3つのうちの1つをくわえてチョビの前にもっていった。

 チョビもピスピス臭いを嗅いでいたが、やがて僕の方に許可をとるように顔をあげた。

 「いいよ、お食べ」

 チョビがリンゴに齧り付くと、甘酸っぱい香りがあたりに広がり、みるみるうちに傷が癒えていく。

 「すごい効き目だね」 「ん」

 それでも重傷のチョビは全快にはならない。ケンがもう一つ持ってきてチョビに差し出すが、チョビはそれをケンに押し戻した。

 「それはケンが食べるといいよ。チョビも自分だけもらうのは気がひけるんだろうから」 「バウ」

 「最後の一つはアップルにあげて。彼も最後まで前衛で戦い続けて傷だらけだからね」 「ん」

 「ギャギャ」

 「明日になれば、また3つとれるから、怪我の重いメンバーから順に食べていってね。ただし半分は毒だから、必ずケン達に選んでもらってから食べること。特にそこの必殺土下座人!」 「ん!」

 「え?毒リンゴなんすか?」

 いつの間にか戻ってきていたワタリが、転がっていたリンゴを拾って口に運ぼうとしたまま固まっていた。


 傷の手当が終わったから、戦いの後始末をしておこう。

 「コア、族長と戦士2体を吸収して」 「ん」

 今回の襲撃を撃退した結果、10人分の石槍と毛皮の他に、黒曜石のナイフ2本、族長の朱槍と革鎧が手に入った。あ、急いでたから大トカゲの皮を剥ぐのを忘れてた。何かに使えそうだったのに失敗したな。

 そうそう大トカゲで思い出した。召喚種族4種類でコアの機能が開放されるんだったね。

 「コア、僕とコアをスキャンして」 「うん」


 職業:ダンジョンマスター レベル2→3

技能:ダンジョン知識、予測、サバイバル、恐怖耐性New

特殊技能:なし 状態:健康(少し耳鳴り)


 ダンジョンコア「コア」 タイプ:ほぼ無口 レベル2→3

機能:管理、召喚、スキャン、設置、カスタム、(  )New

特殊機能:浮遊

DP容量:現在値 206 /最大容量5000


 ああー、うん、細かいとこには目を瞑って、今はコアの機能開放に集中しよう。僕の健康状態がえらい細かいとか、コアのタイプが変化してるとか突っ込んだら負けなような気がするし・・・

 開放する機能は当初の予定通り「変換」にしよう。もう食料の備蓄がないからね。

 「コア、「変換」の機能を開放して」 「うん」

 さあ、準備ができたらごちそう並べて戦勝パーティーを豪勢にやるよ。

 「・・・・」

 え?なんでそこで目をそらすの?コア?   

召喚リスト その11

スノーゴブリン チーフ:雪原ゴブリン族長

種族:亜人 召喚ランク4 召喚コスト160

HP28 MP8 攻撃力5(武器+) 防御力3(防具+)

技能:槍、両手槍、耐寒、支配(同族)

特技:ハウリング(咆哮)

備考:咆哮 使用MP3 自分を敵と認識した相手に状態異常(恐怖)を付与

   支配(同族) 服従した同族を支配できる。士気+2、忠誠+2


DPの推移

現在値:18 DP

召喚:群体x2 -10

吸収:戦士長、大トカゲ、狩人、戦士x2 +150

召喚:灰色狼カスタムx2 -120

撃退:族長、戦士長、大トカゲ、戦士x7、狩人x2 +350

設置:癒しの毒リンゴの木 -300

吸収:族長、戦士x2 +120

スキャン:x2 -2

残り: 206 DP

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