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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
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1ダースの吐息

  モフモフ防衛隊(残機6/補給???)


 『主殿、敵方に動きがないな・・・』

 「ないね・・」

 『諦めただか?』

 「うーん・・あと2体は眷属がいるはずなんだけど・・」

 ワタリとアズサが、最終的には4体を道連れにして、戦線離脱したあと、一時撤退をした炎の妹は、シャフトへ繋がる最初の通路で、停滞してしまっている。

 初めは、こちらを誘い出す作戦かと警戒して、監視だけしていたのだけれど、どうやらそうでもないらしい・・


 『キュキュ』

 「ほむほむ」

 「最初の通路で体育座りしながら、ぶつぶつ独り言かー、これは心折れたかな?」

 『ならば止めを刺しに行くべきではないか?主殿』

 「そうは言っても、このダンジョンは、こちらから反撃するようには出来ていないからねえ・・」


 完全に、前へ前へと押し寄せる敵を、はめ殺すタイプに作ったから、こちらの逆撃は想定していないんだよね・・・岩石砲弾は、作動し始めたら、あとは敵味方区別なく平等に押しつぶします。


 『ならば、穴熊チームに抜け穴を掘ってもらって、奇襲はどうだろうか?もちろん、そのときには私が先陣をきって、まーぼー達には指一本触れさせずに、奴らを始末する所存だ』

 「シャフトと今居る通路は石壁だからちょっと無理かな・・壊している間に気付かれるよ、たぶん」

 『ならば、遠距離から・・っと、ワタリ達は居ないのであったな・・』

 『射手は必要だで、追加で誰か召喚しないだか?』


 実は、もうほとんどDPがないんだよね・・盗聴部隊を親方1体しか呼べなかったぐらいにはギリギリなのです・・

 『ぼんびーの』

 なので、現状の6体でなんとかしたいところではある・・


 『なら無理さしないで、インターバルで作戦をねるだよ』

 『無念・・千載一遇のチャンスなのだが・・』

 『キュキュ』

 『ギュギュ!』x3

 『こあもいるこあ!』



  マリア侵攻部隊(残機7+16留守番/補給1697)


 「あと5分か・・5分あればボス部屋まで行けるわね!」

 『おいおい、無理しないで、インターバルで作戦会議で良くないか?』

 「ボンは何も知らないのね・・開始5分と終了間際5分が一番危険なんだから」

 『それはサッカーだろ・・』


 「とにかく、敵も油断するはずよ、もう次の作戦を考えてるかもしれないわね・・そこを叩くの」

 『ある意味、正しい戦術ではあるな・・』

 「でしょ、ゴブリン・スカウト、東の扉を開けて。左右対称ならそこは3マスの直線通路のはずよ・・」

 「ギャギャ」


 東側の扉の先は予想通り、直線の廊下だった。

 「ふふん、そして廊下の中央に落とし穴があるのよね。スカウト、調べてきて」

 「ギャ」

 

 なにげなしに、数歩踏み出したゴブリン・スカウトが、途中で足を滑らせて転倒した。そのまま滑って廊下の中央まで移動してしまう・・

 「ギャギャ!(床が凍って!)」


 カチッ カパッ! 「ギャーー」 ドスッ グサグサグサ


 『スカウトの反応・・消失・・・やられたな、同じと見せて油断させる作戦か・・』

 「ぐぬぬぬ・・」

 『罠は単純な深い落とし穴だな・・底に鋭利な氷柱が仕込んである・・こんな使い方もできるのか・・』

 「落とし穴の周囲の床には、氷で膜をつくって、さらに表面を少し溶かして滑りやすくしてありますじゃ」

 『どうする?マスター、 罠探知用のスカウトを追加召喚しようか?』


 「いいわ、あとはもうゴブシロードの漢解除でいくから」

 「御意」

 『DPは節約できるが・・それさえも織り込まれていなければいいけどな・・』

 「大丈夫よ、多少の怪我ならシャーマンがいるから」

 「年寄りを働かせんでくれ・・」

 「なら、ゴブ雪ザエモンを罠吟味役に昇格しても良いのよ?」

 「よし、治癒呪文なら任せてもうおうかのう」


 「キャワ」

 「いや、お主らは、一撃受けたら即死じゃからな・・」



  フリージア防衛部隊(残機2/補給???)


 『敵侵入部隊、大部屋に侵攻してきました』

 「マリアはまだ来るきなのね・・」

 『ガーディアン不在の為、自動的に支配権を奪われます・・現状でこちらの支配領域は・・大部屋2、廊下3のみに変わりました』

 「まずいわね、これ以上浸透されると、召喚ができる場所が限定されて、コアルームの位置が特定されるかもしれない・・サハギン・シュトロームトルーパー(甲殻重歩兵)を敵本隊のいない部屋の制圧に向かわせて」

 『了解です、シュトロームトルーパー投入します』


 シャコ貝の重装鎧を身に纏った、サハギンの戦士が、南側の大部屋の奪回に向かった。

 突入した大部屋には、ゴブリンが1体、凍えながら守備をしていたが、三つ又矛の一撃で瞬殺だった。

 『シャハ』

 『敵守備兵を撃破、支配領域化開始・・・アラート! まだ全滅していません!』

 「シュトロームトルーパー、良く捜しなさい!まだどこかに敵が潜んでいるはず・・」

 『シャハシャハ・・』

 「テスラ、バイタル反応は?」

 『いまだ敵の支配下なので、味方以外の追跡は出来ません』

 「なら『氷変』で障害物の氷柱を溶かせば・・」

 『それも支配下においてからしか出来ません』


 サハギン・シュトロームトルーパーも、全力で氷柱をなぎ払って索敵をしているが、一向に敵らしきものは見つからなかった。

 「まずいですね・・マリアの支配下に居続けると・・」

 『召喚反応多数!シュトロームトルーパーが囲まれています!』

 「撤退を!」

 『間に合いません!ゴブリン・グレネード6体が出現!』


 そして6つの爆発音が連鎖した・・・


 『シュトロームトルーパーの反応・・ロストしました・・』

 「やってくれたわね・・マリア」


 フリージアのガーディアンは、残り1体になってしまった・・・



  マリア侵攻部隊(残機7+15留守番/補給1457)


 「やっぱり、ゴブリン・グレネードの空挺部隊は無敵ね」

 『ああ、継戦力としては使えないのが痛いけどな・・』

 「いいじゃない、空挺部隊なら冷気耐性をカスタムする必要もないんだし、240ポイントで相手の主力を確実に葬れるなら安いものよ」


 自軍の支配下にあり、且つ観測用員が存在することが条件だが、決まれば確実に損害を与えることができる。同じことを他のクラスを召喚して戦おうとするなら、敵の倍は戦力を投入しないと確実な勝ちは拾えないだろう。


 「それより、粗方、大部屋も廊下も支配したのに、ボス部屋が見つからないのはどういうこと?」

 『確かに、ぐるっと一周したはずなのに、もう行くべき場所がないな・・すると隠し扉の可能性が高いか・・』

 「また面倒なことを・・・だいたい、スカウトとかアサシンとか気付かなかったの?途中で」

 「「ギャギャ・・(申し訳ありません)」」

 「スカウトはまだしも、アサシンには酷じゃろう。エルフじゃないのじゃから、詳しく探す時間もとらずに隠し扉など、発見できんよ」

 「しょうがないわね・・・エルフ・ゴブリンっていなかったっけ?」

 『マスター、それはもうゴブリンじゃないぞ・・』


 結局、呪文で隠し扉発見ができるキャスター系を呼び出すことになった。

 「もっとコストの安いので居なかったの?」

 『無茶言うな、もともとゴブリンは無属性系や探知系は弱い種族だぞ。リストに居ただけでも御の字だ』

 「それでもこの終盤でR6は痛いわね・・」


 召喚されたのはオリエンタルゴブリン・ミコ(巫女)(R6/360)だった。

 「ふーん、巫女ねえ・・進化したらナース(看護婦)とか追加オプションで取れるのかしら・・」

 

 何箇所かで隠し扉発見の呪文を唱えることにより、T字路に隠された扉を発見できた。

 「思ったよりベタね」

 『そうは言うが、廊下の壁には片端から薄い氷の膜が張られていたから、呪文を使わないと発見できなかったぞ、この隠し扉・・』


 隠し扉を開けると、そこは1マスの空間で、正面に重厚な大理石の両扉があった。

 「どうやら、この奥がボス部屋みたいね」

 『もう残り30秒もないぞ・・インターバルの後で・・・』

 「ここまで来て、ボスの顔を見ずに引き下がるわけないでしょ!ゴブシロード、開けなさい!」

 「御意!」


 ゴブシロードが、力強く扉を押し開くと、そこは見慣れたサイズの大部屋だった。

 だが、他の部屋と大きく違った点があった・・

 部屋の中から熱気が吹き付けて来たのだ。


 「まさか・・ここにきて逆属性・・」


 大部屋の中央で待ち構えていたのは、灼熱の鱗を持ち、12本の首から炎を吐き出す、真紅の多頭竜であった・・・


 『パイロ・ヒュドラ(火炎多頭竜)だと・・・』


 それは、不死身と恐れられる伝説のヒュドラであった・・・







 

 マリア部隊(残機7+15留守番/補給1097)

 フリージア部隊(残機1/補給???)

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