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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
286/478

氷の万華鏡

  フレア侵攻部隊(残機4/補給1750)


 「いったいなんですか、奥の扉に触ったら手前の扉が閉まるとか、聞いてないですよ!」

 『わざわざ注意書きする敵はいませんね』

 「どうすれば良いですか・・このままだと姉さんの折檻が・・・ひいっ!」

 『マーガスが開錠の呪文を連発するか、亜人タイプを2体ずつ送り込めば良いのでは?』

 「それですです!マーガスが呪文で両方の扉を開けるです!」

 「しかしマスター、ここからでは、奥の扉は見えないので、開錠呪文の対象になりませぬ・・」


 先ほど、手前の扉を呪文で開けたときに、奥の扉は見えなかった。見えていない扉には開錠は掛けられない・・

 「なら、ソルジャーとシャーマンで先行するです。奥の扉に触れないように気をつけるですよ?」

 「キシャー」 「承知しました、マスター」


 マーガスがタイミングを計って開錠の呪文で9m坂下の扉を開いた。そこへソルジャーとシャーマンが、岩石砲弾をやり過ごした後に、息を合わせて走り込む。3m幅の退避通路で、さらに奥行きが現在は1・5mほどしかない。サラマンダー2体でギリギリだったが、なんとか次の砲弾は回避できた。


 「これです、このコンボです。とうとう攻略法を発見したですよ!」

 「マスター、次の扉を開けますか?」

 「どんどん行くです!」

 「仰せのままに・・・ノック!」


 マーガスが、18m坂下の扉を開錠の呪文で開くと・・・罠が発動した・・


 「キシャー!(なんだ?背後の扉に触ってないのに、手前の扉が閉まり始めたぞ!)」

 「まずい、先の扉をトリガーにして、ここの扉に2重の罠が!」

 2体のサラマンダーは、懸命に扉を押し返そうとするが、罠によって強制的に閉まる力は、止める事ができなかった・・


 マーガスが慌てて開錠の呪文を唱えようとするが、詠唱が完成する直前に、視界を巨岩が塞いでしまう。


 ゴオオオオーー  パキョッ ペキョッ  「「キシャーーー」」 ゴロゴロゴロゴロ


 「・・・」

 『・・・』

 「ギロッ」

 『ぷいっ』

 「どういうことですか・・」

 『・・方策は示唆しましたが、正解かどうかは聞かれませんでしたので・・』

 「ほほう・・」

 『・・なんでしょう、マスター』

 「なら、イスカは正解を知っているですね・・」

 『なにを持って正解とするかは、観測者によって異なる・・』

 「知ってるですね!」

 『も、もちろんです、マスター・・』

 「なら、ちゃっちゃと、このステージをクリアするです!」

 『了解しました・・』


 『マスター、偵察用のサハギン・パイレーツを召喚する許可を願います』

 「R4とかせこい事言わずに、ソルジャーでもマーガスでも呼んでいいですよ・・イスカは正解を知ってるですよね?ですよね?」

 『・・パイレーツでお願いします』


 召喚されたサハギン・パイレーツ(R4/160)とサラマンダー・マーガスに手順を教え込む。

 まず、マーガスが18m坂下の扉にノックを掛ける。当然、その扉が開いて、さらに9m坂下の扉が閉まる罠が発動するが、現状では閉まったままなので、変化が起きない。

 「なるほどです・・」

 次にマーガスが9m坂下の扉にノックを掛けると、扉は開くが、他に変化は起きない・・

 「行けるです・・」

 転落してくる岩石砲弾をやり過ごしながら、サハギン・パイレーツが9mの扉、18mの扉へと移動に成功した・・

 「さすがイスカで・・・す?」

 ・・かに見えたが、開いた18m坂下の退避通路に足を踏み入れた、サハギン・パイレーツの姿が掻き消えた。

 『えっ?』


 ガコンッ 「シャハーーーー」  ドスッ グサグサグサ


 深くて痛い落とし穴(25)に落ちたパイレーツは、槍衾の犠牲になった・・


 「・・・」

 『・・というように、先の先を読まれていることもありうるので、偵察要員はコストの低い眷属がお薦めです』

 「イ~ス~カ~~」

 『ひいっ、マスター、キャラが崩れてます、ほら、いつものように陽気に明るく・・』

 「できるかあああ!」


 フレアの絶叫がシャフトに木霊した・・・




  マリア侵攻部隊(残機5+3留守番/補給3720)


 『マスター、ゴブ二百三郎の生体反応が消えた。最初の大部屋も支配領域を上塗りされたようだ・・』

 「やってくれるじゃない、人の留守を狙うとか、空き巣の所業ね」

 『戦術としては正しいがな・・』

 「はっ、ただの嫌がらせでしょ」

 『だが、対処しないわけにもいかない・・時間も浪費するし、次からは支配領域保持の為のコストもかかる・・』

 「そんなの奇襲部隊を叩けば終わりでしょ」


 マリアはそう言って、ずんずんと進んでいく。

 まだ奪還されていない唯一の大部屋を抜けて、まずはL字の廊下から、最初の大部屋を目指そうとした・・

 だが、L字廊下に続く扉をゴブリン・スカウトが開けると、廊下の突き当たりに、杖を構えた半魚人が立っているのが見えた。

 「スカウト、撃ちなさい!」

 あきらかに術者に見えるサハギンに対して、呪文の詠唱を阻害するべく3体のゴブリン・スカウトが一斉に弓を放った・・

 3本の矢は、今まさに腕を振りかざして詠唱をしているサハギンに見事に命中した・・

 

 パリーーン


 ガラスの破片のようなものが飛び散り、サハギンの術者の姿が掻き消えた・・


 「幻覚?!」

 『違う、鏡像だ!』

 L字廊下の影から姿を現したサハギン・ウォーロックがアイス・ストームを唱えてきた。


 「「ギョギャー」」

 扉の前に固まっていた4体のゴブリン・スカウトは、一撃で全滅してしまった。


 「ゴブシロード、追って!」

 「御意」

 後方に待機していて、呪文の影響を受けなかったオーガー侍が、疾走する・・


 慌てて逃げ出すサハギン・ウォーロックを追いかけて、オーガー侍が廊下を曲がると・・


 「むっ、逃げられたか・・」

 廊下には、もはや誰もいなかった・・・


 『逃げられたのか・・しかし転移の呪文でも使わないと、あのタイミングで逃げ切るのは・・』


 その時、何もいないはずの廊下の奥で扉が開く音がした。

 「面妖な・・正面の扉は開いていないように見えるが・・・まさか!」

 オーガー侍が、太刀を正眼に構えたまま、廊下を突き進んだ。すると・・


 パリーーーン


 やはりガラスの砕けるような音とともに、偽の通路の風景を描いてあった、透明な壁が砕け散った・・


 「何よこれ?氷?・・・」

 砕けた破片は、徐々に解けて水に変わっていく・・


 『アイスドールの相棒の特技は「氷変」か・・やっかいな能力のようだぞ・・』


 フレア侵攻部隊(残機2/補給1590)

 マリア侵攻部隊(残機1+留守番2/補給3720*)修正しました

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