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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第1章 サバイバル編
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ノーサイド

 縦貫トンネルの中に、猪の死体(と思っている)を取りにきた戦士が罠に掛かったのを合図に、作戦は開始された。

 まずはワタリのブラフから。

 「ギャグエギョ、ギャギャ!(死んだ振りしてたのか!突っ込んできやすぜ)」

 そうゴブリン北方語で叫びながら小部屋の通路側の隅に逃げ込む。

 それと同時に囮役のアグーが鼻息荒く縦貫トンネルを小部屋に向かって突進する。

 300kgはありそうな巨大猪が真っ直ぐ突っ込んできたら、どうするか。小部屋にいた3人の戦士は、

とっさに中央の乾いた場所から両脇の泥場の中に避けた。ここまでは想定通りだ。だけど戦士長だけ部屋の

中央で迎撃体制をとっている。

 「うわ、脳筋さんだ。それとも戦士長の誇りってやつかな。アグーとまって!」 「ん」

アグーが小部屋に飛び出す直前で急ブレーキをかけた。

 「脇に避けた戦士3体はどうなった?」

 カチッカチッ ドスッドスッドスッドスッ 「「ギャーーーー」」

 2体が泥の中の罠を踏んで、槍衾に串刺しになっている。

 「しかしすごい威力だね」 「ん!」

 小部屋は中央に戦士長、通路側の両隅にワタリと戦士がそれぞれいる。

 「コア、群体を2つ小部屋に召喚。1体をワタリと戦士の間に置いて通路の封鎖、もう1体で戦士長の足止めをして」 「ん!」

 槍衾の罠に続いて床に浮き出た魔方陣に驚く戦士長を、群体が取り囲む。残った戦士1人は通路の前に陣取る群体を見ると、開いているスペースに泥の中を移動した。そこにも罠があると知らずに。

 カチッ ドスドスドスドスッ  「ギェーー」 よし取り巻きの戦士は全部排除できた。残りは狩人2体と戦士長だけだ。


 ところが群体に囲まれた戦士長は槍を両手で水平に振りかざすと、奇妙な叫び声をあげた。

 「ギャギュー!」

 その叫び声とともに戦士長の身体全体が白い霜のようなもので覆われ、それに触れたバッタがぼたぼたと

床に墜落したんだ。

 「なにが起きたんだ?何やったあいつ?」 「ん~?」

 「コア、戦士長をスキャンして」 「ん」

 白い光りの帯が戦士長をスキャンすると、情報が流れ込んできた。


 スノー・ゴブリン コマンダー:雪原ゴブリン戦士長

 種族:亜人 ランク3 HP21 MP3/5

 攻撃力3(石槍+5) 防御力2(革鎧+2、特殊+1)

 技能:槍、耐寒、部隊指揮

 特殊技能:ケープ・オブ・コールド:冷気の外套 (防御力に+1、近接した敵に冷気1ダメージ) 

 備考:指揮する部隊にHP+1、士気+2


 ぐはっ、戦士長は想定以上に強いことがわかったよ。群体が墜とされたのは特殊技能のせいだね。防御もあがってるし、これどうやって倒そう・・・


 僕が迷っているうちに状況はどんどん悪化していく。戦士長は身体に冷気を纏わせたまま、もう1体の群体に自ら飛び込んで行き、あっというまに全滅させてしまった。通路で様子を伺っていた狩人2体を呼び寄せると、ワタリをにらみつけて何かを叫んでいる。

 「ギャギャギューギェ!(裏切り者め!)」

 「ばれたっす」

 「まずい、コア、倒した戦士4体をすぐに吸収して」「ん」

 敵がダンジョンに侵入してるあいだは設置は使えないから、もう召喚で力押ししかないね。

 「コア、猪を2頭召喚。センターは小部屋の真ん中に、ウィングは通路の一番外側にだして」

 「ん!」

 「アグーと五郎〇も連続タックル、一撃加えたら助走距離とれるぐらいに離れて」

 「ん」 「「グヒィ」」

 「ワタリは戦士長のヘイトをとりつつ逃げ回って」

 「そんな無茶っす」

 「ここで頑張れば2階級特進もあるよ」

 「それ死んでるっす!」


 とにかく戦士長の防御力を突破してダメージを入れるには猪の突進しかない。すこしでも隙をつくって

命中しやすくするために、ワタリには囮役をしてもらう。幸いなことに(ワタリにとっては不幸)戦士長は

ワタリを裏切り者だと思っている(そしてそれは間違っていない)。頭に血が上った戦士長は満身の力を込めて攻撃を繰り出しているけれど、ワタリはそれをひょいひょいと避けている。すごいな。

 一見すると余裕そうに見えるけど、実はかなりの綱渡りだ。でもワタリはそれを顔に出さず、避けに徹することで戦士長を抑えているんだ。

 ワタリに気をとられた戦士長にセンターが突進をかけた。

 ところがそれを後ろの狩人が槍で邪魔をする。さらにアグーが突進をかけるのを見たもう一人の狩人が

手にした槍をアグーに投げようとする。そこにウィングがチャージした。

 まともにくらった狩人は槍を放り出しながら転倒する。

 邪魔されなかったアグーが戦士長にチャージ!命中したが、冷気の外套に接触してダメージを負った。

 横から攻撃をうけた戦士長が怒ってアグーの方に向き直ると、すかさずワタリが槍で突き刺す。ワタリは

技能に耐寒をもっているので、冷気のダメージはうけないのだ。

 「やっぱりスノーゴブリンの方が戦士長と戦うには良いんだよね。でも召喚時には武器は持ってない

から・・・って、あるじゃん、武器!」

 「コア、アグーでもウィングでもいいから転倒した狩人に止めをささせて」「ん」

 2頭に集中攻撃されて重傷の狩人が沈む。

 「コア、狩人を吸収、その場でスノーゴブリンを召喚、床に転がってる槍をもたせて」 「ん!」

 戦士長と残りの狩人の目の前で、今、倒された仲間が地面に吸い込まれていき、すぐさま敵となって

召喚された。それを見た狩人がパニックになる。

 「ギョンギィギャ(ゾンビだ!)」

 少しでも不気味な元の味方から離れようと、泥場に逃げ込んだ狩人を待っていたのは、

 カチッ ドスドスドスドスドス  「ギュハッ」   串刺しの運命だった。


 部下をすべて倒され、周りを敵で囲まれた戦士長は、それでも孤軍奮闘し、猪のセンターを道連れに

して倒れた。なお止めを刺したのはワタリであった。

 「ごっちゃんっす」



DPの推移

現在値:41 DP

召喚:群体2体 -10

スキャン:1回 -1

吸収:戦士4体 +80

召喚:猪2頭 -80

吸収:狩人1体 +20

召喚:スノーゴブリン1体 -40

残り 10 DP

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