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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
239/478

俺が竜ならお前は虎

 「ギャギャ(コアさん、復活したって)」

 「ギャギャギャ(ちらっと見えたけど、人形サイズだったぞ)」

 「ギャギャ(背中に羽は?頭に輪っかは?)」


 「お前ら仕事しろよ」x3

 「バウバウ」x4


 トラップルームでは、キングサイズの黒スライムと狼チームWithモフモフ助け隊の急造ユニットが激闘を繰り広げていたが、その横ではゴブリン・スナイパーチームが、コア情報で盛り上がっていた。


 「ギャギャ(おっと失礼、しかしクロスボウでは牽制にしかならないので)」

 手持ちの武器を叩いてみせると、話は通じたようだった。


 「ないよりましだ。モフモフが取り込まれないように、援護していてくれ」

 攻撃の主力である、助け隊の火力担当こと六つ子のメイジが答えた。実際に、効果があるのは彼の火炎系の攻撃魔法と、冬狼のケンのコールドブレスのみであった。

 武器によるダメージは、微妙に効き辛いのと、直接触れた剣や槍は、黒スライムの酸でボロボロに解かされてしまう。必然的に遠距離武器を使うことになるのだが、刺さった矢やボルトもあっというまに溶けてしまい、ダメージがはいっているのかどうかわからなかった。


 結局、影狼の3頭が囮役になり、メイジとケンでダメージを積み重ねる戦法しかとれなかったのだ。

 残りは、影狼が狙われたときに横槍をいれて邪魔をする要員である。

 なお、影狼、とくにリュウが初撃でうけた傷は、助け隊の紅一点こと六つ子のレンジャーが治癒呪文で治してあった。


 「まずいな、両方とも魔力が持ちそうに無い・・」


 敵が単体なだけに、範囲攻撃は魔力のコストが悪くなる。冬狼はもうブレスは打ち止めのようだった。

 メイジは初級の単体呪文に代えて節約に努めているが、それも限界はある。


 「魔力切れまでに奴を焼き尽くさないと、こちらに勝ち目がなくなるわけだが・・」

 黒スライムのサイズは、最初の半分ぐらいまで縮まったが、魔力を8割以上使ってである。



 ゴブリン・スナイパーチームも現状には気がついていた。そして打破しようと野戦司令部に連絡をいれる。

 「ギャギャ(こちらアズサ、司令部聞えますか?)」

 『・・こちら司令部、狙撃班どうぞ・・』

 「ギャギャ(制圧火力が足りません、至急支援部隊の派遣を願います、どうぞー)」

 『・・こちら司令部、コールドブレスの部隊が誤爆によりしばらく行動不能です。どうぞ・・』

 「ギャギャ(そんな・・このままでは戦線が維持できません、どうぞー)」

 『・・部隊は送れませんが、弾薬は空輸できます・・3秒後に到着予定です、どうぞ・・』


 「ギャギャ(3秒って!皆、なんか来ます!)」


 アズサの叫びと前後するかのように、トラップルームの4隅に、大きな瓶が4つ出現した。


 「なんだ?新手のトラップか?」

 「これ・・油の臭いだ!」

 「無茶苦茶するな、ここのマスターは!」


 狼チームも臭いから危険度を悟って、近くの通路に逃げ込んだ。それを追って黒スライムの偽腕が延びる・・・


 「ギャギャ(一人一瓶ずつよ)」

 「ギャギャ(4つあるぞ)」

 「ギャギャギャ(草仮面の弓持ちが狙ってる)」


 「「「「 いけー! 」」」」


 呼吸を合わせて放たれた4本のボルトと矢が、4つの瓶を一斉に破壊した。

 中からは大量の油がこぼれてきて、みるみるうちに床に広がっていった。


 「あばよ・・」


 メイジの放ったファイアーアローが着弾すると、部屋中が燃え上がった。


 ビュリュリリンングリャルルイィィ


 声にならない叫びをあげながら、黒スライムは炎に包まれて燃え尽きていった。




 その炎を、コアルームに取り残された神官が睨みつけていた。


 「まだだ、まだ負けたわけではない。私が負けることなど、有ってはならないのだよ・・」




 地下墓地の十字路は、悲惨なことになっていた。

 牢獄から溢れ出て来た骸骨軍団を、十字路で迎え撃った騎牙猪兵と親衛隊ではあったが、すでに壊滅に近い被害がでていたのだ。


 当初は次々に送り込まれてくる骸骨兵士を、タスカーで蹂躙していたのだが、問題は敵の数が減らないことにあった。小隊長の骸骨戦士長が剣を振り上げる度に、倒した兵士が復活した。

 そこで狙いを骸骨戦士長に変更したが、戦士長はさすがに強く、兵士と連携をとった反撃で、少なからず味方に被害がでた。

 

 それでも2体の戦士長を倒した時点で、悪夢が訪れる。

 後方のデスナイトが剣を振り上げると、倒したはずの戦士長が甦ってきたのだった。


 デスナイトを倒さない限り、この無限地獄は終わらなかった・・・


 それでもエルフ親衛隊のクレリックの聖属性範囲呪文も、織り交ぜて侵攻を阻止していたが、1部隊が玉座の間に通じる隠し通路を発見して回り込んできたことにより、その均衡が崩れてしまった。

 横からの奇襲を受けて、防衛陣は半壊してしまう。


 「ギャギャ(玄関ホールまで下がれ!)」

 意識を失った者を、重傷者が引きずりながら戦線を下げていく。殿に残るのは騎牙猪兵の隊長コンビだった。

 何度かの突撃により、ランスは折れて、盾も失っていた。五郎〇も片方の牙を失っている・・・

 背中の予備の戦斧を構えると、アップルは床に降り立った。


 「ギャギャ(悪いが最後までつきあってもらうぞ)」

 「グヒィ(いつものことだ)」


 一人と一匹の覚悟に押されたのか、骸骨兵士達の足が止まる。

 その隊列を押し分けるように、奥から、一体の骸骨騎士が姿を現した・・・


 「ギャギャギャ(やっとお出ましかよ)」

 「グヒィ(あれがボスか)」


 骸骨騎士は、右手に持った剣を胸の前に翳すと、1拍置いて、切り込んできた。


 「ギャギャ(速い!)」

 「グヒィ(ぬうう)」


 盾を持たないアップルは、一撃で利き腕を切り飛ばされ、割って入ろうとした五郎〇も、残った牙を叩き折られてしまった。

 格の違いを見せ付けるデスナイトの攻撃に、だが、彼らは引こうとはしなかった・・・


 「ギャギャギャ(ここが俺らの)」

 「グヒィ(死に場所だ)」


 身体を張ってデスナイトを押し止めようとする彼らに、デスナイトが止めの一撃を振り下ろした・・・



 だが、その一撃は、銀色に輝く盾で受け止められていた・・


 「待たせたな、あとは私に任せてくれ」

 

 転送魔法陣から出現した銀の守護者が、彼らを護るように立ち塞がった。


 「北風の守護騎士ロザリオ、冥王の騎士に決闘を申し込む!!」


 


 DPの推移

現在値: 3261 DP (3013DC)

変換:油壺(20)x4 -80

撃退:ヒュージ・ブラック・プディング(R13) +845

残り:3778 DP (3013DC)


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