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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
238/478

君の瞳に100万ボルト

 「前衛は奴の突進に注意しろ。巻き込まれたら挽肉にされるぞ、ジャー」

 ハクジャの部隊が、水牢のベニジャチームに合流していた。武装したフロストリザードの部隊は、大蛙達と連携して巨大一つ目山椒魚と戦っていたが、戦況は思わしくなかった。


 まず巨大山椒魚の体表に纏わりついた、ヌメヌメした体液が、円月槍によるダメージを防いでしまうのだ。水中用の短弓なら、体液の影響はほぼないが、今度は分厚い表皮ではじかれてしまう。

 「奴の移動を牽制することだけ考えろ。後衛は目玉を狙え、ジャジャー」


 唯一の弱点と思える大きな一つ目を狙って、短弓を放つが、巨大山椒魚は、瞬きをすることで眼球をガードする。しかも偶にすり抜けて刺さった矢による傷も、一瞬にして再生してしまうのだ。


 「もんもんチームは、尻尾を絡み取って、あいつの動きを止めるぜ、ジャー」

 有効な攻撃方法が無い大蛙チームは、舌を巻きつけて押さえ込むことで、リザードマンの攻撃を補助しようとするが、20倍以上の体格を持つ相手に、逆に引きずりまわされている。

 それでも突進が鈍るので、蹂躙攻撃をされないだけ役には立っているのだが・・


 しかし、敵がまったくダメージを負っていないのに、すでに味方からは2割の脱落者がでている。

 振り回されて壁に激突して失神したり、巨大な口にくわえ込まれて、慌てて仲間に引きずり出された重傷者もいた。

 このまま時間がたてば、いつかは押さえ込め切れなくなる・・・


 ハクジャは、撤退のタイミングと、追って来る敵を罠にかける場所を模索していた。

 「地底湖まで引き寄せて、水中からおびき出すか・・この巨体なら住居の通路は通れないはず・・ジャジャ・・」

 しかし、殿になって誘導する役目は、非常に危険だった。油断すれば、あっという間に飲み込まれる・・・


 「・・これが最後のご奉公になりそうです、ジャ」


 リンクが切れている以上、この声はマスターには届かないだろう。自分はまた、ハグレと呼ばれる存在になってしまっているのかもしれない。

 だが、残してきた女子供が生き延びる為には、このダンジョンを護りきるしかない・・


 「ワシの歳で、二度目の放浪は勘弁です、ジャ・・」


 撤退する為の隙を作り出すべく、円月槍を構えて突撃のタイミングを計るハクジャの頭の中に、聞きなれた声が響き渡った。


 「りこねくと!」


 「コア様、ご無事でしたか!ジャジャジャ」

 「もどり~」

 「おかえりなさいませ、ジャー」

 「ぶりーふぃんぐ」

 「なるほど、これなら・・ジャジャ・・」

 

 コア様から対大型水棲生物用の作戦が立案されてきた。タイミングがシビアだが、コア様の支援があれば問題ない。

 周囲を見渡せば、部族の戦士達にも伝わったらしく、再び闘志をみなぎらせて配置についている。

 皆、ハグレのまま死ぬのは嫌だったようだ・・


 「凍結蜥蜴人の戦士達よ、今こそ我らの武勇を示すときである、総員、突撃!!ジャー」

 「「ジャジャジャー!!」」


 動ける戦士が全員で、巨大一つ目山椒魚に向かって突き進んでいった。その手には、次々と変換されてくる、ロープ付きの銛が握られている。

 身体毎ぶつけるようにして、その巨体に銛を突き立てると、暴れる山椒魚に巻き込まれないように離脱していった。

 そこへベニジャの号令がかかる。


 「よし、もんもん、からくりチーム、全員でロープをひっぱるぜ、ジャー」

 「「ケロケロ」」

 銛から延びたロープに器用に舌をからませて、10匹の大蛙達が、綱引きの要領で山椒魚の動きを封じた。

 それでも振りほどこうとして暴れる山椒魚の頭に、今度は鋼の投網が被せられる。


 「クロコとグレコはそのまま押さえつけろ、ジャー」

 ホワイト・ドラコのペアが、投網の両端を咥えて、巨大な口を開かないようにする。


 「祖父さん、今だ!ジャー」

 「おう、任せろ、ジャジャー」

 鋼の円月槍を、ランスのように構えて突撃するハクジャを、ミコト達3匹が護衛をするかのように追随していった。


 正面から突撃してくるハクジャに脅威を感じたのか、巨大山椒魚が、口を開いて迎撃しようとした。

 しかし、両側から同時に吐かれた、クロコとグレコのコールドブレスにより、投網が凍り付いて、口が開かなくなった。

 戒めから逃れようと、その巨体をくねらせるが、大蛙達が最後の力をふりしぼって、山椒魚をその場に引き止めた。


 「くらえーー、ジャー」

 その巨大な一つ目に、ハクジャが鋼の槍を突き立てた。


 グロロロロロオンンン


 激痛に暴れる山椒魚により、堪えきれずに半数の大蛙達がロープごと振り回される。

 「踏ん張れ、ジャー!」

 ベニジャの号令に反応した大蛙達は、振り回されて壁に叩きつけられる直前に身を捻り、そのまま張り付いて、再度、ロープを引き絞った。


 「ここで決めるぜえ、ミコト!カティ!メイ! レッツ、コンバイン!」

 「「「ピュイ!」」」


 山椒魚の目に突き刺さった鋼の槍に、ミコトが巻きつくと、その尻尾をカティが咥えた。そのカティの尻尾をメイが咥えると、3匹が同時に放電した。


 バリバリバリバリバリバリッッッ


 水中でさえ、視神経を焼き尽くすような白光が周囲を埋め尽くした。

 

 「やったか・・・ジャジャ」


 ・・・しかし、1つしかない眼球を焼き切られても、それはまだ生きていた。


 「「「 ピュピュイ!」」」

 容赦なく2撃目が放たれ、山椒魚の上半身を貫いた・・


 「まだ生きてやがる・・・ジャ」


 弱々しく尾を動かしながら、まだその下半身はどこかに移動しようと足掻いていた・・


 「「「ピュピュピュイイ!」」」

 止めの3撃目が放電され、ついに力尽きた巨大山椒魚が、痙攣しながら水底に横たわった・・・


 「しぶとすぎるぜ・・・ジャジャ」


 ベニジャが周囲を見渡すと、放電の範囲を見誤った大蛙やリザードマン達が、感電してぷかぷかと大量に漂っていた・・・その中には、やりきった顔をしたハクジャも混じっていた・・


 「祖父さんまで何やってんだよ!ジャジャー」

  

 

 DPの推移

現在値:2531 DP (3013DC)

変換:ロープ付きの銛(15)x6 -90

変換:鋼の投網x1 -25

撃退:モノアイ・ヒュージ・サラマンデル(R13) +845

残り:3261 DP (3013DC)

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