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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
228/478

邪神の呼び声

 その戦いは老婆の詠唱から始まった。


 「来たれ雷雲よ、落ちよ稲妻よ、我が呼びかけに呼応せよ!コール・ライトニング(招雷)」

 たちまちオークの丘の上空に黒い雲が集まりだし、雷鳴と稲光が瞬き始めた。


 「コール!」

 老婆がライ麦畑を指差すと、そこに天空から稲妻が落ちた。

 「コール!」

 さらに畑の真ん中に立っていた案山子に、落雷する。

 雷の直撃を受けて黒コゲになりながら、スケアクロウは老婆に向かって鎌を投げつけた。


 「させません」

 盾を構えたメイドが割って入り、飛来した鎌を打ち落とす。


 「コール!」

 2発目の雷を浴びて、麦わら帽子のスケアクロウが崩れ落ちた。

 それを見た、もう1体のスケアクロウが、鎌を振りかざして畑の中を疾走する。


 そこへ漁師が割って入る。

 「こいつは珍しい獲物だぜ」

 肩から背負った鋼鉄製の投網を、走る案山子に向かって投げつけた。

 投網に絡め取られ、身動きを封じられた案山子に、老婆が容赦なく雷をたたきつける。


 「コール!」「コール!」「コール!」


 後には、炭化した棒切れが残っただけであった。


 「麦畑は焼き払った方が早そうじゃのう」

 老人はそう言って、火炎弾を解き放った。

 「ファイアー・ボール!」

 「コール!」


 炎で燃やされ、雷で掘り返されたライ麦畑の中を、無数の小さな影が逃げ惑っていたが、やがてそれも燃え尽きてしまった・・・


 「・・少しやり過ぎではないですか?」

 熱気に煽られた神官が、無残な焼畑を見て呟いた。

 「なに、あぶり出しを兼ねていたのじゃが、案山子以外は伏兵はおらんかったようじゃの」

 老人は平気な顔して、むき出しになった洞窟の奥を覗っていた。


 「次いくぞい」

 老婆は、今度は召喚の呪文を唱え始めた。

 「出でよ、ツンドラの覇者にしてあまたの獣を屠りし者よ!サモン・ツンドラ・タイガー(ツンドラ虎召喚)」


 その力ある言葉に呼び出されて、2頭の白と黒のストライプ模様の大きな虎が現れた。

 「この2頭に電撃耐性をかけるのですね」

 神官がレジスト・エナジー・ライトニングの付与呪文を、ツンドラタイガーに掛けていった。


 「そしてエンハンス・ビースト!」

 老婆がさらに召喚獣の筋力と耐久力を倍増させた。

 「いくのじゃ!シロとクロ!」

 老婆の掛け声で、2頭の猛獣が、洞窟の中へと駆けていった。


 「勇ましい割には普通の名前だな・・」

 「どちらがシロで、どちらがクロなのでしょうか?」

 漁師とメイドが、虎を見送りながら呟き合っていた。




 「キャッチャーが全焼?」

 「もえもえー」

 「スケアクロウは?」

 「こげこげー」

 

 次は地下墓地に来ると思っていたから裏をかかれたね。主力を戻さないと・・・

 「コア、ケンチームをこっちに呼び戻して」

 「ん」 「「バウバウ」」

 「ロザリオ部隊は水牢を抜けて転送魔法陣を使った方が早そうだね」

 「了解した、全速で行く」

 「狙撃班はまだ動かないで。陽動の可能性もあるからね」

 「ん」 「ギャギャ(待機します)」

 「コア、トラップルームにスケルトン・ファイター4体を火炎耐性でカスタムして通常装備で召喚」

 「ん」

 「タスクライダーチームは転送に備えておいて。場合によっては敵集団の後方に送り込むよ」

 「ん」 「ギャギャ(承知です)」 「グヒィ」


 けれど、次も敵が先手を取った・・


 「とらとら!」

 「召喚獣か!」

 木の扉を突き破って侵入してきたのは、2頭の巨大な白黒模様の虎だった。

 「防御専念で迎撃!」

 「ん」  「「カタカタ」」

 召喚しておいた骸骨戦士改が、戦列を組んで虎の移動を阻害しようとした・・・そこへ


 「・・・我がかいなに宿りし対極の魔力よ、1つに重なりて雷を成せ!ライトニング・ボルト!(雷撃)」

 洞窟の外から、稲妻が走り込んできた。


 雷鳴とともに骸骨戦士改は中央の2体が崩れ去り、さらに残りの2体は白黒虎の飛び掛り攻撃により瞬殺されてしまった。


 「味方巻き込み上等のアウトレンジ攻撃か!」

 しかも直撃を受けたはずの虎にはダメージが入った様子がない。電撃耐性持ちなのか、付与魔法でもかけてあるのか・・

 「めいどくるー」

 さらに虎の拓いた道筋を辿って、メイドと漁師が突入してきた。


 「コア、ここの隣の通路にブラウンベアを電撃耐性でカスタムして2頭召喚して!」

 「・・ん」

 「あと電撃耐性があるメンバーというと、ミコトは・・・水がないと厳しいか・・」

 「ぴちぴち」


 そこへケンチームが参戦してきた。

 「バウバウ」

 「ケン、虎と組み合うと電撃が飛んでくるから、離れてブレスで!」

 「ん」 「バウ!」

 2頭の虎とメイドと漁師に、ケンのコールドブレスが吹き荒れた。


 しかし、虎は冷気耐性もあるのか、あまり効いた感じがしない。他の二人にはそれなりにダメージを負わせたみたいだけど。


 そこに2発目の電撃が飛んできた。ケン達は射線外にいるので平気だったが、正面奥の木の扉が耐え切れずに爆散した。召喚済みのブラウンベアがそれぞれ白黒虎に向かっていった。

 「ケン達はメイドと漁師を牽制して。電撃の射線には注意!」

 「ん」 「バウ」

 「ロザリオはまだ?」

 「今、地下水路を抜けたとこだ。ルカも連れて行くか?」

 『えっ、そんなに危ないんですか~』

 「ここも戦場になりそうだから、そこで待機してもらっといて」

 「了解した。すぐに飛ぶ」

 「待ってるよ」


 「いや、誰も来やせんよ」


 「誰だ!」

 コアルームに、居るはずのない老人と神官服の男が立っていた・・・ 

 DPの推移

現在値:2186 DP (3013DC)

召喚:スケルトンファイター・カスタム(火炎耐性)x4 -240

召喚:ブラウンベア・カスタム(電撃耐性)x2 -1080

残り 866 DP (3013DC)

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