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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
223/478

機械に頼るな

 聖堂騎士団の野営地から南方面に偵察に向かった3つの斥侯班は、お互いの灯した松明の灯りが見える距離をおいて慎重に移動していった。

 やがて視界の悪い森の中に入ったところで、中央の斥侯班が焚き火の跡を見つけた。


 「伝令の二人が焚いたのか?」

 「この距離で休息など取らんだろう」

 しかし騎士団でないとしたら、いったい誰がこんな場所で野営をするというのであろうか・・


 「おい、あそこに誰か倒れているぞ!」

 一人の隊員が、焚き火から離れた場所に、鎧を着た人物がうつ伏せに倒れているのを見つけた。

 「伝令の一人だ!しかもかなり出血している!」

 慌てて駆け寄った隊員が助け起こすと、血塗れの顔をした若い騎士が、うわ言の様に呟いた・・


 「誰か・・誰か・・」

 「おい、しっかりしろ!助けに来たぞ。もう大丈夫だ。俺たちは味方・・だ!」


 その瞬間、血塗れの顔の瞳がクワッと開かれ、手にした包丁を、助け起こしてくれた騎士の首筋に突き刺した。

 「ぎゃあああ」

 血しぶきをあげる騎士の首に何度も何度も、鋭利な包丁が突き立った。


 「馬鹿な!止めろ!お前、恐怖で敵も味方も区別がつかなくなってるぞ!俺たちは味方・・だ!」

 その声に、さらに狂乱した血塗れの騎士は、新たな獲物に向かって飛び掛っていった。


 「くそっ、こいつ狂ってやがる。とにかく囲んで武装解除だ。腕の1本は諦めてもらうしかないな」

 3人の騎士が、狂った若い騎士を取り囲んで、武器を持った腕に攻撃しようと間合いをとった。

 そのとき・・


 「グッ!」

 「ガッ!」

 包囲した騎士のうちの二人に、背後から包丁が突き立った。


 「伏兵か!」

 正面の狂った騎士をあしらいつつ、最後の騎士が声をあげた。


 すると森の闇の中から、男の声が響いて来た。

 「どちらかというと、本命ですかね。ちなみにご同僚の包丁にも毒が仕込んであるそうですので、急がないと3人とも神に召されてしまいますよ・・・私達の神にね・・」


 その言葉を聞いて、騎士が激昂した。

 「貴様、邪神教徒だなああ!」

 声のした方に走り込もうとしたが、その足にしがみついてくる者がいた。


 「くそっ!離せ!お前の敵は邪神教徒だろ。俺は味方・・だぞ!」

 「きしゃああ」

 狂った騎士は、もはや人族とは思えない叫び声をあげながら、鎧の隙間に包丁を突き立てた。


 「グアッ!くっ、すでに理性を失っているのか。仕方ない、許せ!」

 そういい捨てると、狂った騎士に切りつけた。


 呪われた騎士は、狂ったように包丁で切りかかるが、盾に阻まれ、剣で斬られて、やがて倒れ伏した。

 だが、捨て身の攻撃により何度か刺された騎士も、身体に毒が回り始めていた。

 他の3人は、既に全身に毒が回ったのか、土気色の顔をして身動きをしていない・・


 残った一人の騎士は、震える手で、腰のポーチからポーション瓶を抜き出すと、一息に飲み干そうとした。そこへフライ返しが飛来して、ポーション瓶を叩き壊してしまった。


 「毒消しのポーションだろうけど、飲ませるわけにはいかねえな」

 新たな敵の出現に、騎士は己の死を悟った。


 「いいですね、その絶望に染まった表情。我が神もお喜びになることでしょう・・」

 「最初が2で、後から4か。割り切れてよかったぜ」

 「毒で死なすと、全部、貴方の取り分に勘定されそうですね・・3つほど呪文で殺しときましょうかね」

 「あの呪われた奴は、あんたの勘定だろ。殺すなら2つにしといてくれ」


 生け贄の魂の取り合いをする、二人の邪神教徒の声を聞きながら、最後の騎士は両膝を突いて、前のめりに倒れた。


 その瞬間、四方から眩しい光の球が放たれた。


 それは付近一帯を昼間の様に照らし出し、森の木々に隠れていた邪神教徒の二人の居場所を暴き出していた。

 「ちいっ!長居し過ぎたぜ」

 「空間を繋ぐ次元の扉よ、我が・・・」

 即座に転移呪文を唱え始めた学者だったが、詠唱の途中で、声がかき消されてしまった。

 

 「よし、静穏の結界が間に合ったぞ。もはや逃げ場はないと知れ!」

 小隊長に率いられた、残りの斥侯班8名が、クロスボウを構えながら、二人を包囲していた。

 「狙え、撃て!」

 8本のボルトが一斉に解き放たれた・・・




 ドスッ ドスッ ドスッ

 3本しか命中しなかった・・・


 「今の無しっす、練習、練習っす」

 「見苦しいぞ、ワタリ。勝負は1回限り、10射して的中率が多い者が勝者だ」

 「ギャギャ(そうですよ、狙撃手への道は険しいんです)」

 「とほほ」


 ドスッ ドスッ ドスッ

 「キュキュキュ」

 「ロザリオさん、3本命中です~」


 「・・・よし、クロスボウの調整が終わったことだし、本番といくか」

 「ギャギャ(駄目です)」

 「頼む、もう一度チャンスをくれ!」


 

 黒鋼のクロスボウカスタムは、性能が良いぶんコストが馬鹿高かった。仕方ないから3つだけ変換して、射手を選抜することになったんだ。

 有効射程距離ギリギリに設置したリンゴ大の的に、10射して何発命中したかで優劣を競う方法だ。


 今のとこ隠密ゴブリン勢が、一人を除いて7発命中させている。あと、フロストリザードマンの幹部が6発当ててたのが次点かな。

 選抜に参加した選手の平均が5発なので、ワタリとロザリオは気負いすぎて自爆したかんじだった。

 全弾命中とか狙うからだと思う。


 「主殿、せめてもう1枠、増やせないだろうか」

 「オイラ、泣きの1回で土下座でもなんでもするっすよ」

 いやいや、1枠増えてもロザリオは圏外だし、ワタリの土下座は0エンだよね。

 「スマイルと一緒すか・・」


 結局、それ以上の番狂わせは無く、狙撃手はアズサ・アサマ・シナノのスノーゴブリン・アサシンズに決定したのだった・・・


 「雑念が軌道をそらしたっす・・」

 「ゆーすざふぉーす」

 DPの推移

現在値: 2221 DP (3013DC)

変換:黒鋼のクロスボウカスタムx3 -450

変換:黒鋼のボルト(20本)x3 -150

残り 1621 DP (3013DC)

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