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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
221/478

アサルトライフルのカスタムといえば

 投稿が、日を跨いでしまいました。申し訳ございませんでした。

 討伐部隊の本隊から、二人の若手騎士が伝令としてビスコ村へと向かっていた。


 「ほぼ1日、歩き続けることになるぞ、大丈夫か?」

 「俺のことより自分の心配をしろよ。寝不足で目の下に隈が出来ているぞ」

 騎士団に同期で入団した二人は、普段よりも砕けた口調で話し合っていた。しゃべればそれだけ体力を消耗するのだが、今は需要任務を受けて高揚しているのと、未開の森の中を突破しなければならない不安とで、黙っていることができなかったのである。


 その二人が、本隊の野営地からさほど離れていない場所で、焚き火の灯りを発見した。

 「・・誰かいるぞ・・」

 「・・猟師か何かか?・・」


 邪神教徒なら、こんな本隊の側で焚き火などたかないであろう。そう思った二人は正体を見極めるべく、ゆらめく炎に接近していった・・・


 そこには、焚き火で肉を炙っている料理人がいた・・


 「お前、そこで何をしている!」

 あきらかに場違いな人物の登場に、思わず一人の騎士が詰問した。


 「何って、料理ですよ。それがあっしの仕事ですからね」

 料理人は気にする風でもなく、肉の塊を刺した枝を回転させて、全体に火が通るように調理している。


 「何故、お前がここに居るのかと尋ねているんだ。今回の討伐には輜重隊は参加していないはずだぞ」

 すると、肉の塊を遠火になるように置いて、料理人が顔を上げた。

 「ええ、あっしは忘れ物を届けにきたんで」


 「忘れ物だと・・」

 「ええ、それ、そこの新米騎士団員のトーマス・リプトン様の忘れ物ですよ・・」

 そう言って、料理人は、背後に置いておいた鞄から、1本の長剣を取り出した。

 それはまさしく若手騎士が村に残してきた、彼の愛剣だった。


 「なぜ、お前がそれを!いやそれよりなぜ私の名前を知っている!」

 騎士団内では、お互いの本名を呼ぶことは禁止されていた。邪神教徒に知られると悪用されるからである。


 「「まさか、貴様、邪神教徒の密偵か!」」

 二人の騎士が腰の剣を抜いた。


 しかし料理人は否定した。

 「とんでもございませんや、あっしは密偵なんぞではございませんよ」


 「嘘をつくな!ならなぜこの場に居る!」

 「そうだ、しかも研ぎに出したはずの、その剣をどうやって手に入れた!」


 「いやですね、研いじまったら、血糊が失せてしまうでしょう・・・貴方様が殺したあっしの仲間の怨念が染み込んだ血糊がね・・」


 「語るに落ちたな邪神教徒め!成敗!!」

 二人は同時に料理人に切りかかろうとした。

 だが、料理人と焚き火に気をとられて、その背後に潜む術者には気がついていなかった・・


 「・・呪物は剣の血糊、呪詛はトーマス・リプトンの真名、すなわち仲間殺しの呪い!」

 詠唱とともに、騎士の一人が苦悶の声を上げた。


 「どうした?!」

 思わず仲間に声を掛けたもう一人の騎士が見たものは、真っ赤な瞳をして狂気の唸り声をあげる同僚だった。

 彼は、おぞましい声で喚きながら、仲間の騎士に斬りかかった・・


 「馬鹿な!惑わされるな!敵は向こうだぞ!」

 狂気に侵された同僚の、普段とは違う力任せの斬撃を必死に受け流しながら、騎士は声を掛け続けた。

 しかし赤い瞳には、憎しみの色しか浮かんでいなかった。


 「無駄ですよ。ここまでお膳立てした呪いが、友情や使命感ごときで解けるわけがない」

 料理人が、ニヤニヤ笑いながら二人の死闘を眺めていた。


 「くそおお、この外道がああ!」

 絶叫を放って料理人に斬りかかった騎士であったが、その背後から元同僚の斬撃をまともにくらってしまった。

 「ぐうう・・お前だけは・・お前だけはああ!」

 背中に受けた傷から来る激痛に片膝を着きながら、騎士は料理人ににじり寄ろうとあがいた。


 「いいねえ、その闘志、その忠誠。我が神に捧げるに相応しい魂だ」

 料理人は、そう言い放つと、電光石火の一薙ぎで騎士の喉を包丁で掻き切った。


 倒れ伏した騎士の身体は、あっという間に黒い靄で覆われて、やがて跡形もなく消滅してしまった。


 料理人は、血糊の付いた包丁を大切に布でくるむと、鞄の中にしまってから、背後の学者に声を掛けた。

 「終わったぜ、そっちの呆けた元騎士様は、お前さんの取り分だ。好きにしなせえ」


 すると学者は、首をふって答えた。

 「いや、すぐに異変を調査しに新たな騎士が来るだろう。それへの仕掛けに使う・・」

 「それはまた、えぐい絵面になりそうだな」

 あきれたように肩を竦める料理人に、学者は答えた。


 「恐怖の夜話、第2話というところだ・・」




  その頃のダンジョンでは


 「キュキュ」

 「お使いご苦労様、これ約束の蜂の子だよ」

 「「キュキュキュー」」


 無事にミッションをクリアした親方達に、隠し芸大会の賞品で約束した蜂の子がリスト化できたので、半分ほど配った。高タンパクで、ミルキーかつ濃厚な味わいに、3匹は夢中みたいだ。

 あるだけ食べちゃうから、残りは今度ね。

 「「キュキュ モシャ キュ」」


 「美味しそうっす、オイラ達にも試食させて欲しいっすよ」

 いや、パンパンに腫れるまで蜜蜂にお仕置きされたのに、まだ蜂の子を食べる勇気があるんだ・・

 「ぱんぱーんち」

 「ギャギャ(勇気100%です)」

 それは違うと思う・・・


 「主殿、早速だが、クロスボウの配備を頼みたい。邪神教徒の本隊が到着する前に、射撃訓練をしておきたいのだが」

 そうだったね、危ない矢の所為ですっかり忘れてたよ。


 「コア、クロスボウと普通のボルトを分解・吸収して」

 「しゅぴーん」


 変換リスト(射撃武器):黒鋼のクロスボウ・カスタム

  板バネに黒鋼を使った高級品。見た目は普通のクロスボウだが、内部はかなり改造されている。

  攻撃力8 射程90m 耐久15  150DP


 黒鋼のボルト 鏃とシャフトに黒鋼を使った高級品。 攻撃力+2  50DP(20本)


 「「たかっ!」」

 思わずコアと声が揃ってしまった。

 

 「これ半分、魔法の武器に近いコストじゃないのかな?」

 「主殿、ミスリルソードはもっとすると思うぞ」

 そうか・・魔法の武器はそのさらに上になるんだね・・


 「どうする、今回は採用を見送ってもいいと思うが・・」

 「いや、これから先は侵入者もランクが高くなるだろうし、攻撃力は必要でしょう」

 「でしょう」

 

 というわけで黒鋼のクロスボウ・カスタムが、我がダンジョン防衛軍に正式配備されることになったのだった。


 「ごるご」


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