アサルトライフルのカスタムといえば
投稿が、日を跨いでしまいました。申し訳ございませんでした。
討伐部隊の本隊から、二人の若手騎士が伝令としてビスコ村へと向かっていた。
「ほぼ1日、歩き続けることになるぞ、大丈夫か?」
「俺のことより自分の心配をしろよ。寝不足で目の下に隈が出来ているぞ」
騎士団に同期で入団した二人は、普段よりも砕けた口調で話し合っていた。しゃべればそれだけ体力を消耗するのだが、今は需要任務を受けて高揚しているのと、未開の森の中を突破しなければならない不安とで、黙っていることができなかったのである。
その二人が、本隊の野営地からさほど離れていない場所で、焚き火の灯りを発見した。
「・・誰かいるぞ・・」
「・・猟師か何かか?・・」
邪神教徒なら、こんな本隊の側で焚き火などたかないであろう。そう思った二人は正体を見極めるべく、ゆらめく炎に接近していった・・・
そこには、焚き火で肉を炙っている料理人がいた・・
「お前、そこで何をしている!」
あきらかに場違いな人物の登場に、思わず一人の騎士が詰問した。
「何って、料理ですよ。それがあっしの仕事ですからね」
料理人は気にする風でもなく、肉の塊を刺した枝を回転させて、全体に火が通るように調理している。
「何故、お前がここに居るのかと尋ねているんだ。今回の討伐には輜重隊は参加していないはずだぞ」
すると、肉の塊を遠火になるように置いて、料理人が顔を上げた。
「ええ、あっしは忘れ物を届けにきたんで」
「忘れ物だと・・」
「ええ、それ、そこの新米騎士団員のトーマス・リプトン様の忘れ物ですよ・・」
そう言って、料理人は、背後に置いておいた鞄から、1本の長剣を取り出した。
それはまさしく若手騎士が村に残してきた、彼の愛剣だった。
「なぜ、お前がそれを!いやそれよりなぜ私の名前を知っている!」
騎士団内では、お互いの本名を呼ぶことは禁止されていた。邪神教徒に知られると悪用されるからである。
「「まさか、貴様、邪神教徒の密偵か!」」
二人の騎士が腰の剣を抜いた。
しかし料理人は否定した。
「とんでもございませんや、あっしは密偵なんぞではございませんよ」
「嘘をつくな!ならなぜこの場に居る!」
「そうだ、しかも研ぎに出したはずの、その剣をどうやって手に入れた!」
「いやですね、研いじまったら、血糊が失せてしまうでしょう・・・貴方様が殺したあっしの仲間の怨念が染み込んだ血糊がね・・」
「語るに落ちたな邪神教徒め!成敗!!」
二人は同時に料理人に切りかかろうとした。
だが、料理人と焚き火に気をとられて、その背後に潜む術者には気がついていなかった・・
「・・呪物は剣の血糊、呪詛はトーマス・リプトンの真名、すなわち仲間殺しの呪い!」
詠唱とともに、騎士の一人が苦悶の声を上げた。
「どうした?!」
思わず仲間に声を掛けたもう一人の騎士が見たものは、真っ赤な瞳をして狂気の唸り声をあげる同僚だった。
彼は、おぞましい声で喚きながら、仲間の騎士に斬りかかった・・
「馬鹿な!惑わされるな!敵は向こうだぞ!」
狂気に侵された同僚の、普段とは違う力任せの斬撃を必死に受け流しながら、騎士は声を掛け続けた。
しかし赤い瞳には、憎しみの色しか浮かんでいなかった。
「無駄ですよ。ここまでお膳立てした呪いが、友情や使命感ごときで解けるわけがない」
料理人が、ニヤニヤ笑いながら二人の死闘を眺めていた。
「くそおお、この外道がああ!」
絶叫を放って料理人に斬りかかった騎士であったが、その背後から元同僚の斬撃をまともにくらってしまった。
「ぐうう・・お前だけは・・お前だけはああ!」
背中に受けた傷から来る激痛に片膝を着きながら、騎士は料理人ににじり寄ろうとあがいた。
「いいねえ、その闘志、その忠誠。我が神に捧げるに相応しい魂だ」
料理人は、そう言い放つと、電光石火の一薙ぎで騎士の喉を包丁で掻き切った。
倒れ伏した騎士の身体は、あっという間に黒い靄で覆われて、やがて跡形もなく消滅してしまった。
料理人は、血糊の付いた包丁を大切に布でくるむと、鞄の中にしまってから、背後の学者に声を掛けた。
「終わったぜ、そっちの呆けた元騎士様は、お前さんの取り分だ。好きにしなせえ」
すると学者は、首をふって答えた。
「いや、すぐに異変を調査しに新たな騎士が来るだろう。それへの仕掛けに使う・・」
「それはまた、えぐい絵面になりそうだな」
あきれたように肩を竦める料理人に、学者は答えた。
「恐怖の夜話、第2話というところだ・・」
その頃のダンジョンでは
「キュキュ」
「お使いご苦労様、これ約束の蜂の子だよ」
「「キュキュキュー」」
無事にミッションをクリアした親方達に、隠し芸大会の賞品で約束した蜂の子がリスト化できたので、半分ほど配った。高タンパクで、ミルキーかつ濃厚な味わいに、3匹は夢中みたいだ。
あるだけ食べちゃうから、残りは今度ね。
「「キュキュ モシャ キュ」」
「美味しそうっす、オイラ達にも試食させて欲しいっすよ」
いや、パンパンに腫れるまで蜜蜂にお仕置きされたのに、まだ蜂の子を食べる勇気があるんだ・・
「ぱんぱーんち」
「ギャギャ(勇気100%です)」
それは違うと思う・・・
「主殿、早速だが、クロスボウの配備を頼みたい。邪神教徒の本隊が到着する前に、射撃訓練をしておきたいのだが」
そうだったね、危ない矢の所為ですっかり忘れてたよ。
「コア、クロスボウと普通のボルトを分解・吸収して」
「しゅぴーん」
変換リスト(射撃武器):黒鋼のクロスボウ・カスタム
板バネに黒鋼を使った高級品。見た目は普通のクロスボウだが、内部はかなり改造されている。
攻撃力8 射程90m 耐久15 150DP
黒鋼のボルト 鏃とシャフトに黒鋼を使った高級品。 攻撃力+2 50DP(20本)
「「たかっ!」」
思わずコアと声が揃ってしまった。
「これ半分、魔法の武器に近いコストじゃないのかな?」
「主殿、ミスリルソードはもっとすると思うぞ」
そうか・・魔法の武器はそのさらに上になるんだね・・
「どうする、今回は採用を見送ってもいいと思うが・・」
「いや、これから先は侵入者もランクが高くなるだろうし、攻撃力は必要でしょう」
「でしょう」
というわけで黒鋼のクロスボウ・カスタムが、我がダンジョン防衛軍に正式配備されることになったのだった。
「ごるご」




