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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
205/478

今でも信じられない

 オークの丘を見渡せる丘の上で、六つ子の5人が集まって相談していた。


 「それでギルドは正確にはどう言ってきたんだ?」

 「えっと、行方不明の二人を発見したことは功績として報酬も支払う。二人が保護されているのはダンジョンの可能性が高いので接触は禁止する。騎士団から禁足令の要請がでているので、速やかに村に戻ること・・だったかな」


 「ダンジョンか・・・あいつの予想が当たっていたとはな・・」

 「え?それって、あのドルイドと穴熊も?」

 「・・・微妙?」x4

 オークの丘に住み着いていてダンジョンと共生してるのか、元から眷属だったのか、それともまったく関係ないのか・・

 指摘されてみても、六つ子には、あのほのぼのした農耕オークが、ダンジョンの眷属とは考えられなかった。


 「ダンジョンに保護されたというのは確定なのか?」

 「ダンジョンなのは確定みたい。マスターがいるかどうかは不明なんだけど、冒険者を殺さずに身包み剥いでいる事から、何らかの意思をもった存在は居るだろうって言ってた」

 「なるほどね、そう言われれば、この時点で討伐対象にならない理由はあるのね」

 「領域に侵入したから武装解除して放り出した。殺してないから文句ないだろうってことか」

 「だが、彼らが保護されている証拠はないだろう」


 「それなんだけど、ハーヴィーの証言から敵対したのは魔女で間違いなくて、接触現場もここから1日以上は離れた森の中らしいの。そこからどうやって二人がここに逃げ込んで、ハーヴィーだけがミカン箱に入れられて捨てられたのかは想像するしかないんだけど・・・」

 「ダンジョンマスターに保護を求めて、治し切れなかったハーヴィーはギルドに送り届けた・・」

 「なるほど」x3


 「で、騎士団がダンジョンを制圧に来るのか?」

 「あ、それはまったく別件。暗黒邪神教徒が北に潜伏していて、筍の里で自爆テロまでやらかしたみたい。それで各町村で禁足令が出されてるんだって」

 「あ、俺の予想もいい線いってた?」

 「これから立て篭もるのかも知れないぞ」

 「それまずくね?」x4


 もし暗黒邪神教徒がダンジョンに立て篭もったら、聖堂騎士団は徹底的にダンジョンごと殲滅するだろう。ヘラという少女も巻き込まれるだろうし、ユニコーンも逃げ出してしまうに違いなかった。

 つまり六つ子にとって最悪の事態である。


 「俺たちのとれる方策は3つある・・」

 「3つもあるんだ?」

 「1つ、このままギルドの要請通りに村に帰る」

 「却下」x4


 「2つ、強引に少女とユニコーンを拉致して逃走する」

 「成功率が低すぎる」

 「どうみても犯罪者だよね」

 「逃げ切れずに人質を連れて立て篭もって玉砕?」

 「母さんが泣いているぞ」


 「3つ、邪神教徒からも聖堂騎士団からも、オークの丘を護りきる」

 「それだ!」x4


 邪神教徒が、騎士団に狩り出されて全滅するまで、ここに立ち入りさせなければ問題ないはずだ。ただし疑い深い騎士は、内部の調査も申請してくるだろうが、それはギルドにどうにかしてもらおう。

 まずはオークの丘に邪神教団の拠点をつくらせないことだ。


 「どうする?ダンジョン側にも情報を流した方が良くない?」

 「だが、接触は禁止されているし、そもそもこちらの情報を信用するかな?」

 「・・・やる価値はあるだろう。信用するかしないかは向こうの問題だし、実際に邪神教徒と騎士団の戦いが始まれば正しかったことは直に証明される」

 「でも、ギルドに接触禁止を破ったことがバレたらまずくないか?」

 「だよね、そこまで踏み込むメリットはあるの?」

 「好感度があがる」

 「へっ?」x4

 「人族とか冒険者とかギルドとか関係なく、我々へのダンジョン勢力の好感度があがる」

 「なるほど、それは大事だね」x4

 

 「あと接触するのはアイスオークのはぐれドルイドだ。彼に邪神教徒の脅威を知らせておくのはギルドの指示には反していない・・」

 「黒い、兄さんが黒いよ」

 「あら、これぐらいの腹芸ができて当然よね、リーダー」

 「あの受付嬢に通用するかどうか疑問だが、逆に彼女なら黙認してくれるかも知れないしな」

 「異議なし」


 というわけで、明朝を待って、農耕ドルイドに接触を図ることに決まった。だが、事態は六つ子の予想より、わずかに早く進展していたのであった。



  ダンジョンのコアルームにて


 「大頭、大変だ、ジャー」

 ベニジャが大きな声でコアルームに駆け込んできた。


 「どうしたの?また何か攻めてきた?」

 それにしてはコアの警報は発令していなかったけど・・

 「ほむほむ」

 コアはいつもの様に、本棚の上でカタログを読んでいる。

 ・・・リストのカタログを読むのに本棚は必要なかったんじゃあ・・・

 「ひつよう」

 だそうです・・・


 それより今はベニジャだね。

 「大頭、悠長にしてる場合じゃないぜ、ジャジャ」

 「うん、だから何があったの?」


 「あたいのチームに隠し芸大会の賞品がでてないんだぜ、ジャー」

 

 「あっ、ごめん、誰か忘れてた気がしたんだ」

 「ひでえぜ、初っ端に盛り上げたのに忘れられるなんて、ジャジャー」

 ベニジャの後ろには代表で1匹だけ大蛙が付き随っていて、扉の影から恨めしそうな目で見つめていた。


 「うっ、誰だっけ・・唐獅子?風神?」

 「ケロッ」

 「見ればわかるだろう、毘沙門だぜ、ジャ」

 いやいや蛙は見ただけだと判別は難しいよ。できれば旗印でも掲げてくれないかな。

 『毘』とか『風』とか書かれたやつ。


 「大頭、それいぶし銀だぜ、賞品はそれでいいぜ、ジャジャー」

 

 急遽、ベニジャチームの参加賞が決まった。麻布を竿に縫いつけて、炭で文字を書いた旗印を12本作った。大蛙達は喜んで、頭に飾っていた。


 「任侠物から戦国時代劇になったすね」

 「舌が3間は延びるから、敵の槍隊より有利かな・・」


 「次は魚鱗の陣だぜ、ジャジャー」

 「「ケロケロ」」

 DPの推移

現在値 1903 DP (3013DC)

変換:10ft棒x6、麻袋x6、バンテージx6、松脂その他 -95

残り 1808 DP (3013DC)

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