ジョーカー・ゲーム
酒場のマスターから酒を止められて、仕方なくポテトフライを摘まむハーヴィーを、離れた席からじっと見つめる冒険者がいた。
彼はやがて自分の注文したエールを飲み干すと、テーブルに代金を置いて、席を立った。
酒場の外に出ると、入り口を見張れる路地から、さらに1人の冒険者が姿を現し、彼に合流した。
「どう?何か掴めた?」
「ハーヴィーはシロだな。元々仲間を殺せる度胸もなければ、それを黙っている根性もない奴だ。逸れた二人の行方も知っていそうに無い」
「そうか、やっぱしね。でもなにかヒントがないと捜しようがないよ」
「それについては少し気になる事を言っていたな。酔っ払いの戯言かもしれないが・・」
「なんでもいいよ、今は掴む為の藁さえ浮いていないんだから」
「記憶の中で、二人がハリネズミと穴熊と一緒に手を振っていたと・・」
「穴熊・・・それってもしかしてオークの丘の?」
「わからん、だが、調べてみる価値はあるかも知れん」
「わかった、皆に知らせてくる!」
足早に走り去る姉妹を見送りながら、彼は少し離れた路地に身を潜めた。
兄弟が揃うまで、ここでハーヴィーが不穏な行動を取らないか監視するのだ。奴が記憶を失ったように見せかけて、魔女の配下としてこの開拓村に潜入しているなら、証拠を見つけて、その後に排除する為に。
ビッグファミリーの六つ子は、揃っていれば個体の識別ができずに混乱させるが、一人でいると、今度は逆に印象が薄くなる。同じ顔が並んでいて始めて「ああ、六つ子の内の2人ね」と認識されるのだ。
1人でいると、よほど親しい者以外は、どこにでもいる冒険者Aと思われて注意を惹かない。こういう監視ミッションには、その特性が有利に働くのであった。
やがて4つの影が合流すると、開拓村の外へと消えていった。
その頃のダンジョンでは
隠し芸大会の参加賞が配られていた。
「はい、並んで並んで。順番に希望を言ってね。使えるDPは各チーム100ずつだから、よく相談するように」
「細かく分けてもいいっすか?」
「できれば1種類に決めて欲しいかな。それを分配するのは自由だけどね」
「ギャギャ(悩みますー)」
最初に決めたのは穴熊チームだった。
「ギュギュギュ」 「ん」
「寝床に藁を敷き詰めて欲しいんだ。了解です」
穴熊ファミリーの寝室に使っている部屋に100DP分の藁束を追加した。
「「ギュギュ!」」 「ふかふかー」
「キュキュ」「バウ」
親方やケンが、あれも良いなという目で見つめていた。
次は隠密チームで、
「忍者刀が4本欲しいっす」
「無理です」
「早!」
きっとそこらへんだと思ったけど、現状では難しいんだよね。
「優先順位を早めておくのに賞品権利を使うか、再考してください」
「「・・ギャギャギャ・・」」
「蜂蜜酒でいいっす」
「それも現在はないけど、あと少しで出来上がるそうだから、その時でいいね?」
「問題ないっすよ」
「キュキュ」 「バウバウ」
親方とケンは、それもありだなという顔をしていた。
しばらくして親方チームが決めたらしい。
親方チームは、宙に投げたじゃが芋を棘で曲撃ちするはずだったけど、出番が来る前に大会が中止になってしまったのだ。なので参加賞の権利はある。
「キュキュキュ」 「ん」
「え?新しい昆虫食?」
それはまた難しいのがきたね。美味しそうなのは蜂の子だけど、群体(蜜蜂)が気を悪くしないかな・・
「わすぷー」
ああ、雀蜂にすればいいか。ノーミンにまた召喚してもらってリストに載せてから、巣作りさせて幼虫を採る・・・うん、できそうだね。
「キュキュキュ!」
最後はケンチームだった。
「バウバウ」 「ん」
「え?仲間を増やして欲しい?」
戦力的には十分だけど、最近、蛙が増えてるから群の数を増やしたいみたいだ。
「DP的にはランク3になっちゃうけど、それでもいいのかな?」
「バウ!」 「ん」
育てるからいいらしい。
「コア、グレイウルフ・ディアハンターを召喚して」
「もふもふ」
「おお、新しい眷族だね。しかもグレイウルフか。毛並みも毛艶も素敵じゃないか・・これは雌かな。名前はそうだね・・・」
いや、クロスさん、貴方の為に呼んだわけではないので・・
「そんな!だったら僕の為に12頭ぐらい召喚してくれないか。なんだったらもっと多くてもいいよ」
ドガッ
「邪魔したな、気にしないでくれ」
気絶したクロスさんを、ヒルダさんが引きずっていった・・・
「一撃っすね・・」
「容赦ないね・・」
とにかく、新しいグレイウルフは「チュンリー」と名付けられた。
「せんぷうー」
DPの推移
現在値: 2794 DP (3013DC)
変換:藁束 -100DP
変換:蜂蜜酒 -100DP (予約分)
変換:蜂の子 -100DP (予約分)
召喚:グレイウルフ・ディアハンターx1 -90DP
残り 2404 DP (3013DC)




