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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第6章 エルフ編
133/478

入場はご遠慮ください

 「おでの勘違いだあ、勘弁してけろ」

 半魚人、実際にはヴォジャノーイという精霊らしいが、目の前で土下座していた。

 その横で、腕組みをしてにらんでいるのは、ルサールカのルカさん、22歳(自称)。旦那の浮気に怒って家出をしていたら、連れ戻しに来た相手が人違いだった、残念な人妻である。


 「何かー、失礼なことを考えていませんかー」

 普段はおっとりしているのに、こういう感は鋭いのは女性ならではだと思う。しかし・・・


 「ルサールカとヴォジャノーイの夫婦って多いの?」

 同じ境遇の夫婦が二組いたことにビックリだよね。


 「多いですねー、そして夫の浮気で悩んでる妻も多いですー」

 ヴォジャノーイの種族特性なんだ・・・浮気性。


 「面目ねえ、オッカア探してよそ様に痴話喧嘩ふっかけたなんて恥もいいとこだあ」

 おっしゃる通りですね。


 「どうか、このことはオッカアには内緒にしてけろ。でないとさらに家に戻ってくんねえだよ」

 「まあ、どこにいるかもわからない奥さんを探して告げ口とかしませんよ」

 「ありがてえ、あんた、良い人だあ」

 半魚人に拝まれても嬉しくはなかった。


 「だば、おではこれで失礼するだ。大蛙はお土産に残していくだで、煮るなり焼くなり好きにしてけろ」

 眷属というより従属種族扱いなのかー。ちょっと大蛙が可哀想かも。


 「ちょっと待ったー、うちのシマを荒した落とし前はどうすんだよ、ジャー」

 大蛙の唾液でベトベトになったままで、ベニジャが騒ぎ立てる。

 実際にはハクジャが僕に支配権を譲ったときから、「下弦の弓月」の縄張りというものは無くなったわけだけど、ベニジャにとっては今でもここは自分達の家なんだろう。


 「ありゃ、あの娘っこにも迷惑かけただな。んーーよっしゃ、これで勘弁してけろ」

 そう言ってヴォジャノーイは魔力を秘めていそうな三つ又矛をベニジャに手渡した。


 「マジか、これくれんの?キャッホー、ジャジャ」

 思わぬご褒美に踊りだすベニジャだった。


 「このように若い娘には見境無く贈り物をしたり、亀で送迎したりして、仲良くなるんですー」

 ルカさんのジト目が怖かった。



 無事にヴォジャノーイを送り出してから、事後処理を始めた。

 「重傷を負ったメンバーにはリンゴを食べさせた後で、治癒の泉まで搬送して」

 「ギャギャ(この状態で地下水路は危ないかもです)」

 そうか、リザードマンは半水棲だから、本人の体調によって潜水できる時間は上下するね。2人なら転送しちゃってもいいんだけど、今後のことも考えると、こっちにも治癒関連の拠点を造った方が良いね。


 「コア、地底湖の癒しのリンゴの木をもう1本殖やして、さらにその側に、癒しのハーブ畑を設置して」

 「らじゃー」

 「それと懸案の治癒精霊を呼ぶ為の泉もここに設置しちゃおう」

 「こっち?」

 「地下墓地の方だと、冒険者がたまり場にしそうだからね」

 「ん」

 これ以上、あそこに治癒関連を集めると、ギルドが差し押さえに来る可能性がでてくるから。


 

 「ところで、この大量の大蛙どうするっすか?」

 それかー、本当にどうしようか。

 ヴォジャノーイが置き土産にしていった大蛙は全部で8匹。好きにしてくれと言い残していったが、この大蛙、煮ても焼いても美味しいらしい。「下弦の弓月」でも、年に何回かの宴席では、メイン料理として出てくるそうだ。

 「でも食材にするなら死体1個あれば分解吸収すればすむんだよね」

 実際、戦闘で倒した大蛙もまだ吸収していないので、わざわざその為に生きてるのを屠る必要はない。

 それと、ヴォジャノーイに指揮されているときは、両目を赤く光らせて、ひたすら襲ってきたけれど、その束縛が無くなった今は、おどおどとこちらの様子をうかがっている。


 「ケロケロ」 「ケロッ」 「ケロケロッ」 「ケロ」

 はっきり言って屠殺するには忍びない。

 しかし眷属化するにしても8匹は多くないか?

 「ハクジャはどう思う?」

 「地底湖の守りに何匹かいれば安心ですが、数はお任せしますです、ジャー」

 なるほどね、水中戦力としては優秀か・・・


 「よし、全部眷属化しよう」

 「けろっぴ♪」


 ノーザン・トード・ジャイアント:北方大蛙

種族:両生類 召喚ランク4 召喚コスト160 眷属化コスト80

HP24 MP4 攻撃10 防御6

技能:半水棲、跳躍、丸呑み、耐寒

特技:シューティング・タン(射舌)

備考:射舌 使用MP0 射程5m 単体を捕獲して引き寄せる。


 能力的には普通かな。魔獣でもないし、こんなものでしょう。

 「じゃあ大蛙は地底湖に配備するから、ハクジャよろしくね」

 「お任せください。ただ、指揮はベニジャに任せようかと思っています、ジャー」

 「それは構わないけど、8匹も動かせる?」

 「それが、あの三つ又矛があれば大丈夫かと、ジャ」

 ああ、あれ蛙支配の矛なんだ。

 「どうやら、そのようで、ジャー」


 ベニジャいわく、三つ又矛を持っていると、なんとなく蛙の気持ちがわかるし、蛙にも伝わるらしい。

 「なら適役だね、名前もベニジャが付けてあげて」

 「よっしゃ、任せてくれよ。いぶし銀な名前考えるからな、ジャー」



 そして次の日から、地底湖で大蛙を訓練するベニジャの姿が見られるようになった。


 「次、唐獅子、昇り龍、弁天で壁つくって。雷神、風神は隙間から狙って。毘沙門、不動、鬼子母は後方に回りこむ!」

 確かにいぶし銀な名前だけど・・・


 「お嬢、さすがですぜ、ジャー」


 DPの推移

現在値: 3030 DP

撃退:北方大蛙x11 +880

設置:癒しのりんごの木 -500*(即効性のある回復方法が使用済みなので)

設置:癒しのハーブ畑 -750

設置:精霊の泉(湧水の滝バージョン) -1000

眷属化:北方大蛙x8 -640

残り:1020 DP


 召喚リスト

その51 ノーザン・トード・ジャイアント

 本文参照のこと


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