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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第6章 エルフ編
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御前会議

 「それでは第1回ダンジョン強化会議を開催します」

 「ぱちぱち」

 「キュキュ?」 「ギュギュ」 「ピュイ!」


 地下墓地の中央ホールにメンバーが集まって、反省会と強化アイデアの検討会をすることになった。

 オブザーバーとしてルカとラムダも参加してもらった。まあラムダは集まっている意味が伝わっているかどうか微妙なんだけどね。今はコアと一緒にフワフワ漂っている。


 「先ほど話したピンポンダッシュを仕掛けてくる冒険者への対応なども含めて、意見や要望があったら挙手をしてください」


 「大頭、ちょっといいかな?ジャー」

 ハクジャと一緒に参加していたベニジャが真っ先に発言してきた。

 「キョシュってなんだ?新しい酒のこと?ジャ」

 ・・・そこからかい。


 「挙手は手をあげることだよ。この場合は「私に言いたいことがありますよ」っていう合図だね」

 「なるほどー、わかったぜ、ジャジャー」


 するとモフモフ軍団が一斉に前足をあげてきた。

 「えっ?皆、何か不満があった?」

 普段、大人しいチョビまで加わっているからビックリした。


 「すまん、主殿。親方に合図の仕方がわからないと聞かれたので、つい、「お手」と一緒だと答えたのだが、それをコア殿が同時通訳してくれたのだ」

 ああ、なるほど、それで皆が一斉に同じポーズをとったのか。


 「しかしあれだな。この光景は、宮廷画家に写生させるべきではないかな」

 ロザリオのモフモフの病が再発している・・・



 「だば、オイラから相談があるだ」

 ノーミンが手を挙げて発言した。

 「この前、エルフに奇襲くらった時に、もう少し外に監視の目があると良いと思っただ」

 確かにそれは重要だね。出入り口にケン達が潜んでいるだけだと、どうしても死角ができるし、少し聡い敵なら風下から接近してくるだろうしね。

 群体の警戒網も広げすぎるとデメリットが大きくなるし、地味に消耗もしているんだよね。主にバッタがどっかに飛んでいって帰ってこないだけなんだけど。


 「だで、行動半径が広くて、帰巣本能の強い群体生物を召喚したらどうだべか」

 「何か当てがあるの?」

 「オイラの使えるドルイド呪文の中に、森の生物を呼んで手を貸してもらうのがあるだ。それで呼び出した蟻か蜂を眷属化できないかと考えただよ」

 なるほど、それは試してみる価値あるね。蟻だと移動速度に問題がでそうだから、蜂がいいかな。


 「よし、後で蜂で試してみよう」

 蜜蜂なら養蜂もできるかな。ハチミツかー、色々作れそうだね。

 「はにー」

 そして熊が襲ってきそう。

 「ぷー」


 

 「次は私から良いかな」

 モフモフを堪能したロザリオが、お仕事モードに戻ってきた。

 「六つ子の乱ではスケルトン部隊に3体の戦死者がでた。損害を吸収し、同胞の身の安全を図るのが我らの使命なので、彼らも草葉の陰で満足していることだろう」

 それって意味が違うんじゃあ・・・


 「部隊の補給は後で願うとして、問題は冒険者の呪文攻撃にどう対処するかだ」

 それが難問だよね。まさかカスタムで全属性の抵抗つけるわけにもいかないし。


 「もっとランクが高くて耐久力のあるスケルトンが呼べないっすか?」

 ワタリが無茶振りしてきた。

 「召喚リストにないから無理かな」

 「エターナル・ガーディアンは呼べるっすよね?」

 あっと、それは盲点だったね。今のロザリオは、4方位の騎士の一人だから同僚の召喚はできなさそうだったけど、その下の階位なら予備役の存在がいるかもね。


 ただしその案には一つだけ欠点があるんだ。

 「ギャギャ?(ロザリオさんがもう一人?)」

 「・・・前言撤回するっす」

 「だよね」

 「よし!二人とも、ちょっとこっちでお話しようか」

 「「結構です!」」



 僕は会議の司会があるから、ロザリオはワタリだけ連れて隣の部屋に移動した。

 遠くからスノーゴブリンの絶叫が聞えたような気がしたけど、きっと空耳に違いない・・・ガクブル


 考え方を変えよう。

 スケルトン部隊に被害が出るのは、冒険者を引き込む囮の役をしているからで、これを代用するものがあればいいわけだ。

 「宝箱でも置いてみるとか・・・」

 「ギャギャ(怪しいです)」

 ちょっとあからさま過ぎるかー。


 「幻影とかどうでしょうー」

 ルカが精霊らしい意見をだしてきた。

 「フィッシュボーンで幻影の罠を使ってみたけど、それだけだと見破られそうだったね。混乱の罠と併用してこそ威力を発揮するかんじ」

 「ああやっぱりですかー」

 やっぱりってなんだ。


 「ギャギャギャ(囮なしでも奥まで来ないですかね)」

 アップルが放置プレイを進言してきた。

 「囮が無いと、冒険者の行動をコントロールし辛いんだよね。例えば十字路の右左どっちから攻略してくるかとか」

 まず正面は来ないだろうね。脳筋じゃなきゃ、正面扉を触れば落とし穴と槍衾で、通行自体が難しくなることがわかるはずだから。

 次に左右の扉だけど、条件は一緒だから、どっちを選ぶかは冒険者次第・・・でもないか・・・

 

 「そうか、こちらに有利な方を選ぶように仕掛けをすれば誘導できそうだね」

 うん、その方向で検討しておこう。


 「主殿、めどはついたのかな?」

 「ああ、今やっとね・・・って、ロザリオ?」

 「そしたらさっきの話の続きをしようではないか」

 「いやいや、まだ会議は終わってないからさ」

 「そうか、ならもう少しだけ待とう・・・」


 会議が終わったときが僕の終わりかも知れない・・・

 

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