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再会 その③



「さて、これで私の仕事もおしまい」


 王都の中心部から少し離れたところにある高台。


 地下通路を抜けて辿り着いたのは、王宮の全体が見下ろせるこの場所だった。


「助かったよコルナ。俺達だけで脱走していたら余計な騒ぎを起こしていたかもしれない」

「お礼はお礼として受け取っとく。これでナクファ様も一安心だね」

「……まさかナクファの依頼だったのか、俺たちを逃がしてくれたのは」


 俺が言うと、コルナはいたずらっぽい笑みを浮かべた。


「魔導院の院長直々のお願いなら断るわけにもいかないじゃない? ナクファ様も色々手を回してくれていたみたいだよ」

「道理で脱出がスムーズだったわけだ。余計な借りが出来たな、あの人に」

「もしナクファ様に頼まれなくても、助けに行くつもりではあったけどね」

「そりゃ嬉しいね。もう一回捕まろうかな」

「冗談でもやめて。万が一クルシュが死刑になっちゃったらマジでショックだから」


 呆れたような顔で言うコルナ。


「分かったよ。……なあ、助けてくれたついでにもう一つ頼みたいことがあるんだ」

「何? 高くつくかもよ」

「いや、大したことじゃない。一晩だけ俺を匿ってくれないか? 王都でやっておきたいことがあるんだ」

「え? この王都で? いや、そりゃまあ、一晩くらいなら何とかなるとは思うんだけど――そっちの子たちも一緒に?」


 コルナはキナとフィラの方を見た。


「いや、こいつらは先に逃がしてやってくれ。残るのは俺だけで良い」

「な、何を言ってるんですかクルシュさん! 私たちも―――」


 すごい勢いで俺に詰め寄って来たキナを、俺を両手で何とか抑えた。


「最後まで話を聞け! 一時的に別れるだけだ。明日になれば俺もちゃんと合流する。な、頼むよ」

「そう言われても……」


 困ったように目を伏せるキナの背後で、人影が動いたような気がした。


 一瞬イヤな予感がしたが、その人影は俺たちにある程度のところまで近づくと立ち止まり、言った。


「ナクファ様のご命令でお届け物に上がりました。こちらのバイク2台はあなた方の所有物だそうですね」


 人影の正体は見覚えのある鎧を着た兵士たちだった。魔導院の私兵団だ。その脇にはインテレストと俺のバイクがあった。


「動くようになってるのか、そのバイク」


 俺が訊くと、リーダー格らしい兵士が口を開いた。


「ええ。動力系のパーツを交換しています。どうぞお使いください。良い旅を―――と、ナクファ様が仰っていました」

「そうか。そりゃありがたいな。……キナ、フィラを連れてインテレストで先に行け。明日の昼に合流しよう」

「……クルシュさんがそう仰るなら、私はその言葉に従います。でも、絶対に来てくださいね!」


 キナは俺の目をまっすぐに見つめながら言った。



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