表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/93

希望の船 その⑥


「じゃあここで俺がお前を倒しても、正当防衛だな?」

「どうだろう。ぼくは君に大事な商品を奪われているからね。……まず手始めに君の生体機械サイバネティクスとぼくの生体技術バイオテクノロジー、どちらの方が戦闘に向いているか検証してみよう」


 ドブラが動く。


 魔石で強化された今は、その動きを目で追うことは不可能じゃなかった。


 俺の腹部を狙うドブラの右腕を叩き落としつつ、カウンターで相手の顎を狙う――が、ドブラの方が少し速い。俺の右手は蹴り上げられ、空いた首筋に手刀を叩きこまれた。


 咳き込むのを堪え、ドブラから距離を取る。


「…………!」

「ミスだったな。さすがにぼくの方がケンカ慣れしているからね。単純な殴り合いなら分があるってわけか」

「じゃあ、こういうのはどうだ!?」


 魔石の組成を一部変更。


 メモリの一部に動力以外の属性を追記。


 火焔を生成し圧縮―――放出!


「!」


 俺が放った火球はドブラの半身を焼いた。


 しかし、消し飛んだはずの相手の身体は、次の瞬間には再生していた。


「な……!?」

「いや、確かにそうだよね。魔石と融合しているってことは炎や電気、水まで意のままに生成できるってことか。目の当たりにしてようやく納得できたよ」

「どういう……ことなんだ!?」

「え、ぼくの身体のこと? こんなのは大したことないよ。治癒能力に優れた下等生物はいっぱいいるからね。それを応用しただけの話だよ」


 身体が半分無くなっても再生できる生き物なんて――――聞いたことないけど!?


「だったら全身を一瞬で消し去るしかないってことか」

「試してみるかい?」

「お言葉に甘えて!」


 船の上で火球とか雷撃を放つのはリスクが高すぎる(さっきはやったけど)。


 接近して、近距離から最大火力を叩きこむしかない。


「……反撃しないとは言ってないけどね」

「!」


 ドブラが身をかがめる。


 その視線は、明らかに俺の胸―――魔石を狙っていた。


 だけど、多分、俺の方が速い!


「消えてなくなれ!」


 範囲を極力絞り、最大火力で放出する。


 一瞬でドブラの全身は焼けた―――はずだった。


 俺は胸の辺りに痛みを感じ、視線を下にやった。


 魔石にヒビが入っている―――!?


「……なるほど、いいデータを取得できた」

「な……っ」


 ドブラが焼けた後に残った僅かな灰―――それが集まり、再びドブラの身体を形成した。


 そしてドブラは、何事もなかったかのように俺の目の前に立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ