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実験ログ 1-5-34

 ログを無限に書くとただのSCPのサイトになるので、この小説が完結するまでは全文晒しません。

 

 特異-〇二三に対する負荷実験


 〇二三の起こす変容の限界を調べる為に、レベル八クリアランスによる負荷実験が命令されています。ただし、〇二三の生命に支障を来す実験は禁止されています。全ての実験は、先に〇二三から採取した体組織で実行しなければなりません。


 追記:体組織を対象とした全ての実験に特別な成果は得られませんでした。





 アイテム 市販のエアガン



 負荷実験の記録;

 F職員三名に入室させ、〇二三に向けてエアガンを発砲させました。〇二三は「やめてよ」と言い逃げようとしましたが、F職員は射撃を続けます。〇二三はその場にうずくまったままです。F職員が接近して、更に発砲しました。〇二三の至る所に内出血の痕が見られます。BB弾を打ち尽くしたF職員は銃口を掴み殴りかかりました。〇二三の周囲に正体不明の霧が発生。霧がF職員三名を包みました。五分後、霧は何処かに吸い込まれるかのように晴れましたが、霧に覆われたF職員の肉体は齧られた様な痕を残して消失しました。



 補遺;この時、発砲音が止んだ事を不思議に思った〇二三が死体を目撃。その結果、エリア全体に震度7を超える地震が発生。特異████と特異████が脱走しました。(現在は収容されています)




 

 アイテム AK-47



 負荷実験の記録

 F職員一名に二十秒間乱射させました。〇二三は耳を塞いだままベッドに隠れています。弾切れになり、F職員に退室を命じましたが、F職員は立ち尽くしたまま死亡していました。


 補遺;F職員はAK-47による発砲を受けた事が明らかになりました。また、死亡状況を撮影し後に確認した所、〇二三に向けて放たれた銃弾は、物理法則を無視してF職員に着弾していました。





 アイテム スピーカー


 

 負荷実験の記録;

 死刑囚に呪詛を読ませたものを録音し、〇二三の部屋に流しました。〇二三はティッシュなどを使い音を遮ろうと幾らかの抵抗を見せました。三〇分後、収容室の扉を叩き、「早く出して」と懇願しました。〇二三は扉に張り付いたまま無反応になりましたが、スピーカーの音量を上げると、〇二三を中心に████デシベルを超える音が発生しました。


 補遺;音を聴いてしまった職員六名は、鼓膜を著しく損傷。手術の必要性が検討されます。




 

 アイテム 下品なジョーク


  

 負荷実験の記録;

 F職員に思いつく限りの下品なジョークを言わせました。四つ目のジョークを言った時、空間が屈折しました。屈折は直ぐに治りましたが、F職員の上半身は物理的にあり得ない方向に捩れていました。その捩れ方は、屈折した空間越しに見えたF職員と全く同一のものでした。





 アイテム ゴキブリ


 負荷実験の記録;

 ゴキブリを三匹収容室に放ちました。〇二三は軽度の逃走反応を見せ、壁に張り付いたまま動かなくなりました。十五分後。一匹が〇二三に接近。〇二三が叫び声をあげながら泣き出しました。突然壁がせり上がり、巨大な杭が生成されました。杭は的確にゴキブリを突きささり、個体を蒸発。もう二匹も同様の方法で焼失しました。





 アイテム ████████



 負荷実験の記録;

 〇二三の全身から████████████。エリア████に居た職員████名が死亡しました。また、ユーラシア大陸に████████████████████████。


 補遺;誰の、どんな許可や権限があっても、二度としてはいけない。 芝前しばさき博士


 補遺2;〇二三の視力の低下が著しいです。レベルXクリアランスにより、今後の負荷実験においては一切の傷害行為、及び次ページに記載する行為を禁止します―――











 



「……これでインディゴってマジですか」

「まあ、特異ってそういうものよ。そもそもブルーでさえ、この地球を滅ぼしてしまいそうな酷いものがあるって話。風の噂だけどね」

 実験ログのたった一部だけでも、見るに堪えない。オレよりも遥かに酷い目に遭っている。クロネコの特性が判明されるまでに、一体どれだけの負荷が彼女に掛かったのだろう。しかし機関が残酷とは思わない。これも全て特性を調べる為の致し方ない行いだと思う。

 事実、オレは色々な殺し方をされた。そしてその度に誰かを殺してきた。特に最後の実験は…………当時俺が収容されていたエリアを半壊させてしまった。本当に申し訳ないと思っているが、しかしこのカウンターは自分ではどうしようもない。厳密に言えばこのカウンターをしているのは俺ではなく、俺の隣にいる謎の存在らしいから。

「所で、どうして急に実験ログなんか見たくなったの?」

「え、ああ。クロネコの事、もっと知りたいんですよ。一応担当職員ですから。でも変容の法則が分からないですね。報告書には一二四三種類って書いてありましたけど、本当はもっとあるんじゃないんですか?」

「……傷害行為をしてみれば分かると思うけれどね。でもレベルXクリアランスって、機関の最高クリアランスなの。誰も逆らえやしないわ」

「……クリアランスって何段階あるんですか?」

「基本が十段階ね。その特異の専門エージェントとか、そういう特殊な事情があれば、そこから特別クリアランスが作られていくわ。幸太の持っているクリアランスは五ね。まあ、大抵の所は行けるわ」

「はあ……成程」

「―――あ、そろそろ帰らないと。ごめんね、ちょっと長居しちゃった。じゃあね、また明日ね」

「はい。また明日」

 彼女の背中を見送りつつ、オレはこれからの事を考える。


 ―――クロネコと恋人関係かあ。


 不安しかない。

 

 特異を出す際はまず報告書を書いてから出すので、小出しで報告書が出てきた奴は全部あると思ってくれて良いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 特異はかなり不憫な環境下にいるんですね。
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