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THE TOWER OF PRINCESS タワーオブプリンセス  作者: 池田瑛
7章 THE TOWER OF PRINCESS
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63 ピリシカフルーフ最上階へ

 俺とアリスさんがピリシカフルーフに到着して、塔を守っていたリーズロッテさんと合流をした。


 リーゼロッテさんも、俺と一緒に現われたアリスさんに驚き、そして警戒していたが、俺が事情を話すと警戒を解いてくれた。どうやらまだピリシカフルーフの中の混乱は続いているようで、茨が道を塞いだりしているそうだ。


「じゃあ、これからアリスも私の守りたい人の1人だね!」と屈託のない笑顔でリーゼロッテさんはアリスさんに対して言ってくれた。


「ありがとうございます」と、アリスさんも照れながらお礼を言っていた。リーゼロッテさんって、ある意味、対人関係で無敵だよな……。ラプンツェルさんとかだったら、アリスさんを見た瞬間、攻撃をしてしまう気がする……。


「そうだ! デジレさんにルチコル村の林檎ジャム残してあるからね! 大人気なんだよ! 林檎も無駄にならなかったし、グレーテルも大喜びだよ。それに、またデジレさんにルチコル村に来てほしいって言ってたよ!」とリーゼロッテさんは言った。どうやら、リンゴをジャムにして売るということは成功したようだ。グレーテルさんが俺に来てほしいって言っているのはたぶん、俺に何かの仕事をさせたいのだろう……。草むしりとかを、ヘンゼルと一緒にやる羽目になってしまうのだろう。


「リーゼロッテさん。雪の女王はどちらにいらっしゃいますか? 手錠を外したいのですけど」と、アリスさんは言う。確かに、雪の女王もルクレティアさんを守ろうとしていた人だ。やり方は強引で、たくさんの誤解を生んだ守り方ではあったけれど……。だが、雪の女王も強い。赤の女王との対決、これから起こることに備えて、俺たちの戦力を増強しておく必要はある。


「アンネローゼが連れてくるはずだよ」とリーゼロッテさんは元気よく言った。リーゼロッテさんの表情を見て俺は安心をした。雪の女王の疑いは既に解けているのだろう。アンネローゼさんとか、きっちり尋問とかしてそうだけど。


「リーゼロッテさん。アンネローゼさんには連絡がクエスト協会経由で連絡が届いたのだろうけど、ツヴィンガーの魔窟にいるシンデレラさんや、ヴァングロットの穴にいるルーティアさんには連絡は届いているのかな?」と俺は懸案事項を言ったが、「大丈夫だよ」とリーゼロッテさんは笑顔だった。シンデレラさんとは、伝書鳩で定期的に連絡を取っていたらしい。

 考えてみれば、何も連絡手段を持たないまま1人でツヴィンガーの魔窟に行くと言うのは無茶だ。もし、たくさんの敵が襲って来たりしたら、救援を呼ぶ必要が出てくる。また、逆にシンデレラさんの力が必要になったとき、こちらから救援を依頼することもある。当然、その為の連絡手段はあってしかるべきだし、クエスト協会のネットワークが完成したのも最近で、それ以前から使われていた情報共有の手段。それが伝書鳩であるらしい。


「一番遅いのがシンデレラさんだろうけど、今日の夕方にはこっちの到着できると思うよ」とリーゼロッテさんは言った。


 その後、ピリシカフルーフの入口で俺達は他の姫の到着を待った。


「アリス! キサマァ!!」がラプンツェルさんがアリスを見た瞬間の第一声だった。いきなりハンマーを振り降ろそうとした。俺がラプンツェルさんを羽交い絞めにしてとりあえず抑え、リーゼロッテさんがラプンツェルさんを説得する。

 が、完全に頭に血が昇り切ってしまったのか、「ノンノピルツの連中の話を信じられるかっ! まただましているに決まってるだろ!!」と、ラプンツェルさんはリーゼロッテさんの話を聞いてくれない。

 アリスさん自身も弁明すればいいのに、ラプンツェルさんを見ながらツンとしている。リーゼロッテさんに謝った時の殊勝さが全くない……。

 「これだから、ピラカミオンの連中は……」なんて愚痴っている。どうやら、赤の女王に支配されていたということが無くても、アリスさんとラプンツェルさん、というより、ノンノピルツの住民とピラカミオンの住民は馬が合わないようだ。


 それに比べ、アンネローゼさんと雪の女王ヴィルジナルさんは落ち着いていた。淡々としすぎていて怖い。「次は無いわよ」とアンネローゼさんがアリスさんに言ったくらいだった。アリスさんも黙って首を縦に振るだけ。ラプンツェルさんの時とは違う無言の緊張感が場に漂う。


「妾の友を殺そうとしたあなたを許しはせん……、が、友に免じて許そう」とヴィルジナルさんも一言だけ。アリスさんも「感謝します」と答えただけだった。


 それを黙って聞いていたリーゼロッテさんは、

「雪の女王にも友達っているんだね……」と小さく呟いていたあと、「雪の女王さん! アタシとも友達になろうよ」と絡み始める。

「なっ。あなたは何を言っているのです。妾は冷たい氷。妾と寄り添っても、ただ冷たいでけ……」

「大丈夫。アタシ、寒いの平気だし。おばあちゃんも、子供は風の子であるべきだって!!」

「……」

 雪の女王はリーゼロッテさんを冷たくあしらうが、どこか雪の女王は照れているようでもあった。


 夕刻、シンデレラさんもルーティアさんと一緒にピリシカフルーフに到着した。どうやら、ルーティアさんの魔法で、水脈を通って移動してきたらしい。


「全員揃いましたね。姫会議を始めましょう」と、アンネローゼさんが言う。

 シンデレラさん、ルーティアさん、アリスさん、アンネローゼさん、リーゼロッテさん、ラプンツェルさん、雪の女王、そして俺。全員という言葉に、エインセールが含まれていないことを俺は寂しく思った。


 姫会議の話し合いの内容はもちろん、赤の女王について。そして彼女への対策。聖女ルクレティア様をどうやって守り抜くか、封印せれた魔物を封印している魔法陣をどうやって守るか。赤の女王をどうやって探し出すか…… 話は多岐に及ぶ。


 会議が始まり、以前のように保守派と改革派の意見対立など無く、穏やかに会議が進行していた時だった。


「あはははは。全員がこの場所に揃っているなんて、やっぱり聖女は、この塔の中にいるみたいね!」と赤の女王が現れた。


「赤の女王!!」と俺は、剣を抜く。

 

「私を、女王様と呼びなさい!! そして膝を曲げて首を指しだしなさい。全員、首を刎ねてあげる。それが礼節というものなのだから」と言って、涼しい顔をして笑っている。


「飛んで火にいる夏の虫…… 議事が一つ減ったわね。ここでアナタを倒せば解決するのだから」とアンネローゼさんが言う。全員、すでに戦う態勢へとなっている。


「ばっかじゃないの? あたしが正面からアナタたちと戦うはずないじゃない! そんなに超イカレた頭はしてないわ。じゃあ、この塔の中にいる聖女を殺してくるからぁ。バイバイ~」と言って、後方に真っ黒な円が現れる。


「転移魔法……」とアリスさんが叫ぶ。


「狼さんパ~~~~ンチ」と、先陣を聞いたリーゼロッテさんであったが、リーゼロッテさんの拳は、空を切った。


「や、やつは何処にいったのか分かるか? アリス!」とシンデレラさんが叫ぶ。


「正確には…… ただ、観測された重力波から、近くに転移したことは間違いないと思う」とアリスさんは言った。


「では、ピリシカフルーフの中へ!?」


「その可能性は高いと言わざるを得ません」とアリスさんは真剣な面持ちで言う。


「ルクレティアは、最上階だ」と雪の女王が口を開く。


「行くぞ!」


 俺たちは、めいめい、ピリシカフルーフの入口へと駆け出し始めた。

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