54 Why is a raven like a writing desk?
「ライツ、笑ってないで助けなさいよ」とリューゲが泣きそうになりながら言う。俺の剣は、リューゲの喉元に突きつけたままだ。
「おいおい。一体全体、誰がイカれ帽子屋だなんて言ったんだ?」と、ステッキを右手でクルクルと回しながら左手で帽子を取り、その帽子に乗っけられているネズミのぬいぐるみに話しかけている。
「あそこのお兄さんだよ」と甲高い声でライツが言った。ネズミが喋っているように演出するために、腹話術のようなことをしようとしたのだろうけど、ライツ自身の口元が動いているし、明らかに裏声を使って喋っているだけだ。それに、誰も『イカれ帽子や』だなんて言ってない。
「こんにちは。私は、ライツと申します。以後お見知り置きを」と、今度は帽子を取って深々とお辞儀をし始めるライツ。いきなり、紳士的な態度にころりと変わった。やっぱり変なやつだ。
「俺はデジレ。アリスを探している」とだけ言った。
「あ? り? す? あぁ、アリス様をお捜しで。では、この謎かけに答えられたらお教えしましょう。鴉と机が似ているのは何故だ?」
え? 鴉と机? 共通点が無いように思える。 飛ぶのか? いや、机は飛ばない。食えるのか? いや、机は食えない。
・
・
「降参か? 降参するなら、リューゲをさっさと解放しな」とライツは言う。おいおい、完全に趣旨が変わってないか?
鴉に机…… 牙と鳥、そして木と机……
「分かった! 鴉も机も、部首で構成されている! 牙、 鳥、 木、 几。全てが部首だ!」
「な、なんだと!?」と驚くライツ
「どうなんだ?」と俺はライツを問い詰める。
「答えを出されても、俺も正解は知らない! キャハハハハ。答えは、nevar note ってな!! キャハハハハ」とライツは笑い出す。
やっぱりこいつは変な奴だ。一時でも真剣に謎解きに取り組んだ自分が恥ずかしい。
「おいおい。喧嘩か? 喧嘩をしてる暇があったら、ワインでも飲もうぜ」と、三日月ウサギの耳を付けた、くたびれた感じの中年がやって来た。足取りが覚束なく、酔っているようだ。
「おう、お前さんか〜。ワインはどうだい? 席もグラスも無いけどな!!」と、俺に微笑みかけながら笑い出す三日月ウサギの耳をした男。はっきり言って、気持ちが悪い。何で、男が三日月ウサギの耳を付けているんだ? 情報収集の為に足を運んだ、深夜のシュノーケンのパブでは、女性が三日月ウサギの耳を付けて、黒の網タイツ姿で客にお酒を注いでいたりしたが……。
「バニーガールちゃんが良かったって? 奇遇だな。俺も毎日、そう思っているぜ」
何!? 心を読まれた!! 俺の警戒心は一気に急上昇した。
不思議の国のアリスの"Why is a raven like a writing desk?"という有名な謎々。
いろいろな方が答えを考えているので、気になる方はご自分で検索してください。
私は、日本語ならではの、私なりの答えを考えてみました……。




