<おとぎ話3>
むかしむかしあるところに、一人の女の子がいました。その女の子は、外に出ることが禁じられていた女の子でした。
その女の子は自分の妹のように外を自由に歩きたい、友達が欲しいと、心の中ではずっと思っていました。しかし、その願いを誰にも言えず、ずっと心の中の奥底にしまっておきました。女の子のとても、とても、深い心の奥底に、その想いはずっとしまわれたままでした。女の子は、ずっとその想いに鍵をかけて、心の奥底にしまっていたのです。
毎日、毎日、楽しそうなお外の話を聞いては、私もお外に出たいなぁ、いろいろな所へ行って、たくさんの人とお話したり、一緒に遊んだり、おいしい林檎を食べたりしたいと、その女の子は思い続けていました。しかし、その女の子の願いは適うことはありませんでした。
この話を聞いている賢いみんなならば、この話の結末はすでにお分かりでしょう。外に積もった雪を御覧なさい。降り積もる雪は、一見、大したことがない様に見えても、一晩ずっと雪が降り積もると、とてもすごい量になっています。一晩の間に、みんなの身長ほどの高さの雪が積もることもあるでしょう。それに、積もりに積もった雪が屋根に貯まると……
ドスン
と家を潰してしまいます。
女の子の心の中に積もった、外で遊びたいなぁとか、友達が欲しいなぁという想いは、女の子の心の中で積もり積もっていました。
さてさて、屋根に積もった雪の重さに家が耐えられなくなるのと同じように、ついに女の子の心に、その想いがしまって置けなくなりました。みなさんが、朝起きて見上げて驚く積雪よりもずっとずっと高く、そして多く、女の子の心の中に想いが積もってしまったのです。
ある日、女の子の心に積もっていた想いは、女の子の心の中に入りきらなくなり、女の子の体から飛び出てしまいました。女の子の想いは、天高く昇っていきます。そして、世界中が見渡せるような場所で、その思いは花火のように散らばっていってしまいました。
その散らばっていく想いの美しさと言ったら、とてもこの世のものとは思えないほどでした。細かい宝石のように輝くその思いは、無数の欠片となって世界中に降り注ぎます。それはオーロラが見える夜だったそうです。
世界中の人々は、その光り輝くそれを見ました。神様が過って、神様の持っている宝石箱を転がしてしまったから空から宝石が落ちてきているという人もいました。天井を支える柱が折れてしまって、星が落ちてきてしまっているのだという学者さんもいました。
さてさて、そんな世界中に散らばった女の子の想いですが、ほとんどは霧のように小さく、手のひらに載せたとしても見えないような大きさでしたが、たった2つだけ、大きな結晶となって空から地上に降り注ぎました。
1つは、カンテラの上に落ちたと言われています。残念ながらその結晶は、蝋燭の炎に溶かされてしまい、どうなってしまったのか誰も知りません。
そして残りの1つの、その想いの結晶を見つけたのは、孤独な魔女でした。その魔女は、結晶の持ち主が誰なのかがとても気になりました。そして、魔女はその結晶の持ち主を探し出しました。そして、その魔女は、ついに女の子の所へと辿り着いてしまいました。
あらあら。女の子は、外に出ることが禁じられています。魔女が恐かったとしても、女の子は逃げ出すことはできないのです。
さて、この話はこれでおしまいです。え? 女の子がどうなったかって? その女の子と魔女がどうなったかは、その2人以外は誰にも分からないのです。




