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THE TOWER OF PRINCESS タワーオブプリンセス  作者: 池田瑛
4章 ヴァングロットの戦い
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22 港町ウォロペーレア

 港町ウォロペーレアに入ると、真っ先に目を引かれるのが、ガレオン船だ。帆は畳んであるが、広げたら如何ほどの大きさになるのだろう。船も、全長40メートル近くあるのではないだろうか。船の横には4砲の大砲が備え着けられる。風によって進んで行く船。こんな大きな船が進んでいくということが、不思議に思われる。

 しかし、どこかこの町は寂しいように思えた。ガレオン船の横には、樽や木箱が乱暴に積み重なれている。ガレオン船の船員達と思われる人達は、船が作り出す影の中にだらしなく座って、酒瓶を囲んで座っている。おそらく、船が出せないせいで仕事がないのだろう。暇を持てあましているように思える。酒を飲んだり、横になったりと、暇そうにしている人の数がとても多いように思える。その人達が全員忙しく、荷物を運んだり、出航の準備をしていたりと、働き回っていればとても活気のある港町だろう。いまは、浮浪者の溜まり場のようになってしまっているが……。


「デジレさん。本当にこの水、塩辛いですよ」とエインセールが海から水を両手で抱えて運んで来てくれた。俺はその水を貰って舐めてみた。本当に塩辛い。「海の水は塩辛い」と知識では知っていたが、想像以上の塩辛さだった。


「海に住んでいるお魚は、こんな塩辛い水を飲んでいて喉が渇かないのでしょうか?」とエインセールは真剣な様子で悩んでいる。確かに……と俺は思ったが、回答できる知識が俺にはない。


 空を飛びながら悩み続けるエインセールを連れて、俺は宮殿らしき建物を探すがどうも見つからない。品物の並んでいない市場や、建ち並ぶ倉庫、海へと突き出た長い桟橋。俺達は、高い所から宮殿を探してみようと、灯台を登ることにした。灯台の頂上へと続いていく螺旋階段は、いばらの塔ピリシカフルーフを思い出させる。二階へと続く扉の前に立ちはだかった雪の女王ヴィルジナルと厚い氷の扉。そして今回の西の海が冷たいという情報。関連性はあるのだろうか……? シンデレラさんから聞いた噂では、各地の魔物も雪の女王がけしかけているという。雪の女王の目的は何なのだろうか? はっきりしていることは、俺を呼んでいる人に俺が会うのを、雪の女王は邪魔をしているということだ……。


「デジレさん、凄いです。海の先が見えないです」と灯台の頂上の窓からエインセールは遠くの海を指差しながら言う。想像も付かないような遙か遠くで、空と海が繋がっていた。


「ですが、宮殿は見当たりませんね。港町ウォロペーレアも、神聖都市ルーヴェルや要塞都市シュノーケンと同じくらいの規模の都市です。それに、商業力という点では、随一を誇るはずなのですが……。それに、ルーティア様も、確かに『宮殿に来て』とおっしゃっていました。宮殿が見当たらないのは、不思議な話です……。あ! あそこに、兵士さんが立っているのが見えます」


 兵士が、堤防の所に独り立っていた。暇だから海でも眺めて居るのかと思ったけれど、そんな雰囲気ではない。ルーヴェルやシュノーケンの衛兵のように、背筋をしっかりと伸ばして立っている。仕事をしています、って感じだ。


 もしかして……? そういえば、ルーティアさんは人魚姫だよな……。 俺は、嫌な予感をしながらも、兵士に道を尋ねるために、灯台の螺旋階段を下るのだった。

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