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12 クエスト協会設立

 俺は無念のうちに、いばらの塔ピリシカフルーフを後にし、教会の町アルトグランツェに向かった。

「デジレさん、あんまり肩を落とさないでくださいよ。とても肩に座りにくいです」とエインセールから言われるくらい、肩を落として歩いてた。


 町ではまだ、6人の姫様たちは泉の畔の壇上に上がり、議論を重ねているようだった。そして、6人の姫達を囲むように、たくさんの騎士たちも集まっていた。いばらの塔の捜索をしていた騎士たちも、この場に集まっているのかも知れない。


 少し高い壇上にシンデレラさんとアンネローゼンさんは、互いににらみ合い、議論をしているというよりは、口論をしていると言った感じではあるが……。そして、議論は平行線でまったく進んではいないように思えた。


「何度も行っているであろう。ルクレティア様を目覚めさせることが先決だ。聖女様の祈りがこの世界の平和を保つのだ。2000年以上、この世界が平和に保たれていたことが何よりの証拠ではないか!! 騎士を結集させ、ルクレティア様を捜索するべきなのだ!!」とシンデレラさんは言った。


「では、あなたは目の前に苦しんでいる民を見殺しても良いと言うの? 今、世界は呪いによって混乱している。魔物の数も増えるばかり。畑は魔物に荒らされ、街道にも魔物が溢れて危険に満ちている。それをほって置けというの? 世界の均衡を保つべき聖女が不在のこの時こそ、結束の時! そして結束した者達を誰かが導かなければならないのよ。そして、その力があるものこそ、この私よ。私が皆の平和と平穏を約束する者よ」


「何を言う。人々を導くのは、聖女であるルクレティア様だ」とシンデレラさんが言った。


「いつ起きるか分からない、それに何処にいるのかすら分からない姉上を待っていても後手に回るばかり。私はいま、ここに、クエスト協会の設立を宣言するわ!!」とアンネローゼさんが言う。


「よっ! 待ってました!」と、ラプンツェルさんが、アンネローゼさんの横で豪快に拍手をしている。また、半分くらいの騎士たちも拍手をし始めた。おそらく、改革派の姫様たちに仕えている騎士達なのだろう。


「みんな一緒に頑張ろうね!! あたしの手の届くところは全部、あたしが守るよ!」とリーゼロッテさんも嬉しそうに飛び跳ねている。


「なっ。何を勝手に話を進めて言っているのだ! それに、クエスト協会とはなんだ?」とシンデレラさんは、盛り上がっている改革派の歓声を打ち消して言った。


「クエスト協会というのは、困っている人々の拠り所となる場所。困っている人がクエスト協会に依頼、つまり助けを求め、それに騎士達が応えるの。シンデレラ。あなたの街、神聖都市ルベールにもクエスト協会の支部を作りなさい。そして、あなたの騎士も、クエスト協会に参加させなさい」とアンネローゼが言う。


「なっ。何を勝手に! そんなことは認めないぞ!」


「愚かね。シンデレラ。あなたは何も分かってはいない。あなたが私の姉上を探したいのであれば、クエスト協会にそう依頼すればよいのよ。きっと、その依頼に応えてくれる騎士がいるはずよ」


「なっ! だっ、だが……」とシンデレラさんが反論の言葉を探し出すのに苦労しているようだ。


「ルーツィア。港町ウォロペアーレでは、困っている人はいないのかしら?」と、アンネローゼさんは今度はルーツィアさんに話しかける。


「呪いの影響で、船が出せずに困っているわ……。街道が危険なせいで、荷物も運べないし……」とルーツィアが小さな声で言う。


「クエスト協会を設立して、騎士に荷物の運搬を依頼したり、商隊の護衛を依頼すれば、その問題は解決するのではない? 」


「そうかも知れないわね……。ご、ごめんなさい……。これは…… 違うの……」と、ルーツィアさんはアンネローゼさんの意見に同意したことをシンデレラさんに謝り始めた。


 そんなルーツィアさんを無視して、アンネローゼさんはアリスさんに同じようなことを言った。


「アリス的には~ 楽しければ、なんでもいいかな~。でも、クエスト協会のリーダーはアンネローゼがやるのかな? そしたら、アンネローゼは、自分以外の騎士の人にも命令できる権限を持つってことじゃないの? たとえば、強制的にそのクエスト協会の依頼を受けさせて、アリスを殺せって命令しちゃったりとかとかとか? そんなことまで出来ちゃうんじゃないかぁとアリス的には思うんだよね~~」とアリスさんは笑いながら言う。


「それに関しては、否定はしないわ」とアンネローゼさんは高慢に言い切る。


「すってきー! 最高にイカれてる! アリス、その意見に大賛成!! とっても面白いことになるんじゃないかなぁ」とアリスさんは、アンネローゼさんの意見に賛成の意を示した。


「これで、賛成4。反対は2…… いえ、1かしら?」と、ルーツィアさんの方を見ながら言った。


「ごめんなさい……。たくさん困っている人がいるの……」とシンデレラさんにルーツィアさんは謝っていた。


「わっ。分かった。その案を飲もう……」と、シンデレラさんは言った。


「初めから私に従えばいのよ。では、各自の姫は、自分の町にクエスト協会を出来るだけ早く設立なさい」と高らかに宣言し、壇上の真ん中に移動し、周りを囲んでいた騎士たちに向かってアンネローゼさんは言った。


「姉上が正体不明の呪いに倒れてから、すでに数週間。世界の均衡を保つべき聖女が不在のままでは、何が起きるかも不明……。けれど! 立ちすくんではいけないわ! 今こそ結束の時! そうでしょ!? 不安におびえる者よ。私の元に集いなさい。私が皆を率いましょう。心配などいらないわ。私が皆の平和と平穏を約束するのだから!」

 アンネローゼさんがそう言うと、騎士たちから大きな拍手が沸いたのだった。

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