009.~衝撃の事実!~ロイス博士は神だった?
卵の外の三人は大慌てだろう。
本気で心配してくれた、言わば恩人に何て言う恩知らずな仕打ちだ!
いや、だが私の今の姿は誰がどう見ても三~四歳の幼児だ!
子供のする事だ!許してくれ!
(本当は三十二歳だけどね!)
私は生命維持装置、通称”卵”の中に潜り込むと、外の声も無視して人工知能のタマチャンに話しかける。
「タマチャン、何コレ!どういう事?私、子供になってるし、若返ってるというより全然別人なんだけどっ!」
そう言うとタマチャンは私の前にまた四角いビジョンを立ち上げ、分かりやすいイラストつきの解説をしてくれた。
簡単に言うとまず私は眠りについて、生きていたのはせいぜい三万年ほどらしい。
(いや、冷静に考えるとそれでも凄まじく凄いんだけどね?まるで頭痛が痛いみたいなおかしな言い回しだが、それくらい凄いのだとわかってほしい。)
…それでも細胞は長期保存できたらしい。
ビッグバンのあと百三十億年ほどたち星々が生まれ、奇跡的な確率で生まれたこのかつての地球に良く似た星をみつけた”卵”はそこに降り立ち、地球上の酸素や重力、気候等々を確認した後に私をクローニングし、蘇生した。
そして、私は地上に降りたった。
原始の世界は何もかも予想を大きく越えていて、それでも、新たに生まれた生命の宿る星に私は感動して涙した。
その新たな生命の星の姿が見れただけでも諦めないでよかったと心から思えた。
自分がクローン体だなんて知らなかったしね。
ただ、その時に地上に降り立った途端に私の体は崩れだした。
地球科学の粋を集めた技術でもさすがに百億年以上の細胞の長期保存は耐ええられなかったのか、クローン技術が及ばなかったのか…カプセルから出た途端に私の体は一瞬でその地に溶け出し大地に吸われた。
骨まで残らなかったが、生き残っていた私の中の原子の細胞たちは希望通り新たな生命の種となった。
しかし、私の細胞の一部を分割採取していたタマチャンは、残りの細胞に、この生まれたての星の酸素、元素、素粒子を取り込み再生させた。
この星の元素と癒合させて細胞培養をしクローニングをしたのだ。
いわゆる今の私はクローン人間でありながらこの星の最初の知的生命でもある?的な?ああ、もうややこしいっ!
とにかく私はっこの星の人類が出来る為の細胞の種となり、また私の細胞とこの星の元素を組み合わせてタマチャンによって作られたクローンであり、尚且つ記憶は百三十七億年前の地球人、桐生綺羅の記憶をもつ奇跡の人間なのだ!
それから、わたしは”卵”の中で気が遠くなるほどのクローニングを繰り返したらしいのだが、さてここで問題です、なぜ私は最初オリジナルだった頃の記憶があるのでしょうか?という事である。
よくドラマとかで心臓移植とかしたら、ドナーの記憶が移植された人に蘇ってなんていう話があったりとかは聞いた事があるけど、それにしたって記憶が鮮明すぎるだろう。
『記憶の保存です。博士により、体の保存が限界に達した時にはクローニングと再生し目覚めた時に記憶の注入のプログラミングがこの生命維持装置通称”卵”には施されているのです』
「ま!マジか!マジで博士ってば超絶天才っていうか…私も天才とか神童とか呼ばれてたけど博士はもう神様の域なんではないの?」
『”神様”と呼ばれる存在が人類を管理する種族かという意味であれば、その通りです。、ロイス・ドーゾン博士は銀河の創生の管理者で更に高次元の銀河の外からの人類で世界の管理者でした』
私は息が止まりそうなほどに驚いた。
ロイス博士が地球人類の管理者?…神様だったってか?
っていうか…もう完全に脳みそがオーバーワークしていた。
これらを理解するには感情が邪魔をした。
あの人が神様だったなんて…。
なぜ?なぜ地球を壊したの?
ロイス博士…貴方が神だったのなら地球を救えたのではなかったの?
そう頭の中で問い続けたのだった。




