82.求人募集 ターニャ(綺羅)視点
私、綺羅…いいえ!ターニャ・ロイズ(苗字は今は今は亡きロイズ博士の名からもらった)は、ギルドに訪れた。
タマチャンは、現在、腕輪におさまっている。(さすがはロイズ博士の最高傑作?相変わらず便利な僕である)
ギルドの中には、様々な人があふれていた。
一見して、強面で強そうな男たちから、薬草採取目的の子供達までいる。
数は少ないが何人か女性もいた。
私のように助手や賄い婦のような仕事を探しに来ている人たちだろうか?
そしてこの国では女性は結婚すると殆どの女性が家に入る。
もちろん、家が商売をやっているとかなら別だが、それ以外では極一部で特殊な才能を開花させた女騎士や女性教師、女魔術師などはいるものの、特に本人が望まなければ専業主婦が通常のようで、私のように仕事を探しにくる女性は、よほど本人に問題があり嫁ぎ先がなく、家からも見放された行き遅れか、未亡人と言ったところであるらしい。(何だかとっても理不尽な気もしなくはないが)
しかし私の名誉を考えれば、タマチャンが設定してくれた『未亡人』という設定はありがたい?のかな?
別に私に問題がある訳ではないんだと示せるからね?
実際は前世の32年を足しても結婚はおろか恋愛経験すらない私だが…。(ある意味問題ありなのか?いやいや!そこは、個人の自由だ!多分)
あえて言うなら、今世のロード様との出会い!これこそが私の初恋である。
拗らせたとしても致し方ないではないかと思う。
決していい訳なんかでは…いい訳なんかでは…ううう。(やっぱりいい訳だな)
そんな事を脳内で巡らせながら私が、スタスタと一直線に掲示板に進む。
ギルドはかなり込み合っていたにも関わらず何故だか、周りの人たちはさっと私を見て?さっと道を開けてくれる。
不思議に思うがありがたいことである。
さっさと目的のものをGETしなければ!
さっさと、ロード様…あ、考古学者としての名前はルゼルジュ様だったわね…。
本人に会った時、間違えて呼ばないようにしなくては…と自分に言い聞かせながらも急いでお目当ての求人を探す!
何と言ってもルゼルジュ様の求人を他の誰かに先を越されてはたまらない。
そして私は掲示板の前に立った!
主に右の方に薬草採取やお使い、家事手伝いなどの比較的軽めの求人があるらしい(Byタマチャン情報)。
「あった!これだわ」
私は、私が眠っていたあの遺跡での助手兼賄い婦という求人を手に取った。
すると、周りから「「「「ええっ?」」」」という声が上がった。
「えっ?」と逆にこちらが聞きたい。
何に対しての「え?」であるのか?
悪いがこの仕事は私のものだからね。
そう思い、声のした方を向き返すと周りは何故か息をのみ顔を赤くしている。
「何か?」と私が聞くとなぜかビクッと肩を震わせ益々、顔を赤くしている。
はっ!ひょっとして、並ばないといけなかったとか?
皆さん怒ってらっしゃる???
何分、初めての場所である。
それでなくても、この世界の常識など心もとない私である。
ここは、素直に聞いて謝ろう。
一体、私は気づかず何をやらかしたのだろう?




