008.~ガチで魔法ですか?~
私は頭の中がパニックである。
何あれ!何あれ!何アレー!!!!
魔法?魔法なんすか?魔法ってか????
物語の中のアレですよね?って何じゃこりゃーっっ!
か!科学はどこへ言った!?
ここじゃ私の英知は無意味なのかっっ!
はっ!
魔法→超能力→超自然科学!ということか?
そういうことなのかっっ!
やっぱ、この世界じゃわたしゃ無価値かーっっ!と、青くなって焦っていると何を勘違いしたのか、二人が口々に私を励ましだした。
「真っ青よ!ああ、可哀想に!こんなことなら最初から卵もこちらに運び込めば良かった」
「大丈夫ですよ姫様、ルゼルジュ様ならあっという間にこちらに、その卵とやらを運んでくださいますとも!」
ふたりが、あーだこーだと私を宥めすかしていると、急に目の前の空間にピッと切れ目が入ったかと思うとにゅっと腕が出てきた。
ひぇぇぇぇっ!マジか!
これは夢なのか?
そうか夢かもとぐいぐいとほっぺをつねってみた。
い…痛いじゃないかいっ!うううっ
すると空間から伸びた手がすっと私の頬を包んでなでた。
何コレ怖いっっ!
「そんな事をしたら痛いだろう?赤くなっている」と低音の渋い声で囁いてその姿を全て現わした。
いかにもなフード付きのマント?らしき布をまとった四十代前後?らしき魔導士が私達の前に現れた。
そしてその傍らには、”卵”が!
「あっ!卵っ!」
私はすかさず卵にダッシュした!卵は閉じていたが私が近づくと、自動的にピッと反応しドアが開いた。
『お帰りなさいませ綺羅様』
「「「えっ!」」」と、魔導士とやらとサラさんとメイドさん(もうメイドさんと呼ぼう)が驚きの声をあげたが、取りあえずスルーして卵に飛び込む。
そしてドアを閉じた。
申し訳ないが、とにかく私の頭の中は今、許容範囲を大幅に越えている!一旦冷静になりたい!
いや、もう本当にごめん。
そして私は”卵”に閉じこもった!
とにかく私は一旦冷静になりたかったのである!




