79.すれ違う時間
ラーラは、それから必死でロードを忘れようとした。
それがロードの為だと信じて…。
買い物などで街に出る時には髪や瞳の色を前世の髪色にあわせ黒く変えていたが、基本的には山に引きこもるようにして暮らした。
元々、前世では研究者だったラーラ…。
いや綺羅は、この国の歴史や自分の伝説について…またはこの国魔法や魔素などについて研究して日々を過ごした。
自分について調べるなど変な感じもしたが、この国の歴史と女神キラの伝承は切っても切れないようであり、その間のタマチャンによる歴史への関与も学んでいくと中々に興味深いものだった。
そうやって、研究にのめりこむことでロードの事を忘れようと必死だったのだった。
それに反してロードは、ラーラを見つけようと伝説のキラの手掛かりになりそうな遺跡を巡る。
間逆の理由でロードは女神キラについて調べるのだった。
しかし、結局は、最初にラーラを発見した現場に何度も何度も戻ってきては、さらなる発掘作業を繰り返していた。
城にも戻らず、遺跡の側に仮の粗末な小屋を建てそこに住み着いて昼夜を問わず、キラの伝承など(タマチャンが歴史に干渉し人々をキラのなの元に平和に誘導してきた軌跡)をひたすら調べるのだった。
現王バートも、ラーラの事は、実の妹でなかったと言われても、情も移ってもう妹としか思えなかった。
バートは自分が従える影の者を近隣の国々にまで放ち、ラーラの行方を探させていた。
表面上はラーラ王女がまた時狭間に迷い込んだという事になっていた。
そして、再び現れた王女をお救いするのだと、城に仕える者達も国民も皆が再びラーラ王女が帰ってくることを心から祈っていた。
そして大神殿でも独自に王女の行方を探しているのだった。
それは、政治も宗教も何もかもを凌駕した想いがあった。
かの姫にもう一度会いたい!
それは、この地に生命を受けしものの根底にある本能のようなものだったのかもしれない。
そう、ラーラは…キラはこの地の全ての生命の種であり母たるこの星の起源たる存在なのだから。
***
そうしてラーラが王家から姿を消して3年の月日が流れ
ラーラは、美しい淑女にと成長していた。




