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45.専属の護衛騎士

「あっ!サラしゃんだ!」

私は入ってきたその美しい女性騎士を見て叫んだ!


「姫様、お久しぶりでございます!ようやくお側に来れました!」


「サラしゃん、騎士団の方はよいのでしゅか?」


「ラーラ様の護衛に着きたくて、ラーラ様がルゼルジュ(ロード)様とこちらに戻られてから直ぐに退職届をだしましたの」


「えええっ!しょんな!」他人様(ひとさま)の進退を私のようなちびっこの為に!と青くなっているとサラさんが慌てて声をかけてきた!


「ああ!自分で望んだことですから、姫様はお気になさらないで下さいましね!元々家の者には女だてらに騎士など辞めろと言われ続けておりましたし!」


「何ででしゅか?騎士様カッコいいののっ!女性で騎士だから余計にカッコいいのではないでしゅか?」と私が言うとサラさんは頬を染めつつ、私の小さい手をとった。


「流石、姫様はわかってらっしゃいますわ!でも姫様!私は見つけてしまったのです!自分の()()()()()を!」


「自分の()()()()()()…でしゅか?」


「そう!それはラーラ姫さまですわっ!」


「えええっ?わ、わたしでしゅかっ?なんでまた?」


「それは!もちろん姫様の事が可愛くて愛しくて仕方ないからですわ!」


「は?…はぁ~」

その、どストレートなサラさんの言葉に私は改めて『可愛い』とは凄いと感動した。

()()()って最強の武器である!


しかし、それだけの理由で騎士団を退職してくるなんて…と私はちょっぴり引いてしまったが…。

呆然とする私を気遣うようにお父様が言葉を足してきた。


「サラは、女ながら騎士としては中々だぞ!サラなら男の私がついてってやれない所でもついてってあげられるしこれからラーラも行きたいところが増えるだろうし」


そんなお父様の言葉に私は『なるほど!』と納得した!


ちなみに遺跡現場にしてもお外にしても一番の問題はおトイレである!

まさかいくら小さいと言ってもわたしの意識は大人なのだからトイレに着いて来られるのはまっぴらごめんである。

一度、遺跡で「おトイレに行きたい」といったら、草むらまで着いてこようとしたので、「絶対嫌だ着いてこられるくらいならおしっこ我慢して病気になって()()()()()()()」と言ってお父様をビビらせた事があった!


頑としてあの日は本当に帰るまでトイレを我慢したのだ!

いくら三歳児でも譲れないものは譲れない!


お父様は、私が本当に病気になってしまうのではと気が気ではなかったようで、その日は、いつもより早めに仕事を切り上げてくれていたみたいだった。

皆に迷惑をかけたかと少しだけ罪悪感に苛まれたのを覚えている。


思えば、()()次の日からかもしれない!

あれからお父様が遺跡調査に何かと理由をつけて連れて行ってくれなくなったのは!

なるほど…()()()()()()()()()()()()があると思ったからか…と納得した。


「じゃあ、サラしゃんとなら街にも森にも行けるでしゅか?」


「もちろんでございますわ!私だったら()()()()()()()お供致しますし、命に代えてもラーラ様を危険な目には合わせません!」と力を込めて答えてくれた。


「おお!頼もしいな」

その言葉にお父様も満足そうにうなずいていた。


「お任せくださいっ!」


そして三人の侍女ズは、サラさんの出現に何か『はわはわ』していた。

「「「サラ様が護衛なんて素敵です!」」」

三人の言葉が綺麗に重なっていた!

相変わらずのチームワークである!うん、素晴らしいね!


そう!どうやら、サラさんは女子達から『憧れの存在』だったようです。

女性ファンからは『男装の麗人』とか『麗しのサラ様』とか呼ばれ、密かにファン倶楽部のようなものまであったとか…。

高位貴族のご令嬢や王家の警護を名指しで受けることも多く、騎士業界?で『双剣の女騎士サラ』『双剣の()騎士』と言えばその実力と麗しさで有名だったという。

そんな彼女がいきなり『母性』にでも目覚めたのかこの三歳児姿の私に何故かメロメロになり護衛を自ら買って出てくれたのは私的にはかなりラッキーだったのだろう。


それほどの名声と実績をもつ彼女と一緒なら本当にどこへでも()()()()()が許されそうだ!

これはかなり有り難い!私は素直に喜ぶことにした。


「サラしゃん!とっても嬉しいでしゅ!ありがとうでしゅ!」私は精いっぱいの感謝を込めて満面の笑みを浮かべると、サラさんも周りにいる皆もまたまた紅い顔をしながら何故か鼻を押さえていた。


鼻血?皆、大丈夫?あっ!ミーファがマジで鼻血だしてる。

もしかしなくても私のせい?とようやく気づいた。

あんまり笑顔を出しまくるのは控えた方が良いだろうか?と反省した。


そんなこんなでざわついたものの、その日からサラさんは、私の続きの部屋に寝泊まりすることになった。

住込みの本当に日がな一日中の私の為だけの()()()()である!

(凄いな~!王家の姫さまって!)等と他人事のように思ったよ。


翌日は、お父様をお見送りした後、サラさんと二人で街にでる事になった。


三人の侍女ズも着いて来たがったが、それは、サラさんとお父様が、却下した。


本当に何か危険に遭遇した場合に特殊な訓練を受けていない侍女ズは返って足手まといになると言われたのである。

もし他に人をつけるとしたら騎士団に要請してサラさんの元部下をつけるから…という事だった。


取りあえず今日はお城近くの治安の良い表通りだけのお散歩という事でサラさんと二人のお出かけだ。

一応、庶民の服装で変装もすることに!

サラさんがお母さんで私が娘という設定である!

色々とはじめての私はワクワクだった!


さぁ!この世界で()()()としての生活で始めて「初めての外出」である!

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