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41.疑惑のラーラ姫03

しばらく言い合っていた侍女たちとラーラ姫だが、なんと姫君の方が最後には折れた。

侍女達、姫様がご主人と言うわりに譲らないなと正直ボルガとシルバは呆れていた。


「姫様は王家の姫君なのですから召使の方が偉いだなどと決して言っても思ってもなりませんわ!下手な貴族共に付け込まれれでもしたら大変です!」そうドレンという侍女が言い二人の侍女がこくこくと頷いているが、この姫君ならばそういうのは上手く立ち回れるようになるのではないかと何となくボルガとシルバは感じた。


ハッとしてボルガは自分の頬を両の手ではたいた。

その音に驚いたラーラがボルガの頬をさすった。


「おじいしゃん?どうちましたか?虫でもいまちたか?」


これには侍女たちも驚いた。

「姫様!なりません!そんな植木屋などに触れるなど!」


そう言うとラーラは、とたんに、その可愛らしい顔から厳しい表情になり周りを驚かせた。


「ドレン、何をいってるのでちゅか?そんな植木屋()()と、失礼な事を言うドレンは嫌ですちゅ!それも、わたちの記念樹を植えにきてくれた人なにょにですよ!」


「「「姫様っ!」」」


「そんな声をだちでも駄目です!わたちは、王族がえらそうにちて、手を差し出す事すらできない立場の者ならでていきまちゅよ!ほんきでしゅからね!」と言った。


「「「ひっ!姫様っ!」」三人の侍女は真っ青になり、ドレンという侍女は、ひれふさんばかりに謝った。


「ひ、姫様、心無い事を申し上げました。申し訳ございませんっっ!後生ですから出て行く等と仰らないでくださいませ」

涙目で謝る侍女に、ラーラはにっこりとほほ笑んだ。


「わかってくれたにゃら、良かった!みんな仲良ししないとだめなのよ?」

そうラーラが言うと三人の侍女はまたうるうるしながらコクコクと首がもげそうな勢いで頷いた。


『『何なのだこの三歳児!』』

大神殿長も聖魔導士も頭の中がパニックである。


「ら、ラーラ姫様?」シルバが問いかけた。


「ん?なんでしか?」


「では、ラーラ姫様は王族は…どうあるべきかと?」

シルバは、およそ三歳の子供に問うようなものではあり得ない質問をした。


しかし、ラーラは答えた。

答えたのだ。

ボルガも聞いたシルバもびっくりだった。


「おうしゃまも、民と同じ”()()”であるべきでしゅよね?」


「え…?そ、それは…どういう意味ですか?」


「王しゃまも、民の立場になって考えられるおうしゃまだと民も王しゃまもいっちょに幸せになれましゅね」


「「!」」二人は驚き押し黙った。


そして三人の侍女は姫君をもてはやす。

「「「さすがは姫様!」」


二人は思った。

『さすがは姫様!』じゃねぇ!この侍女たちは、この姫様が言っている本当の凄さが分かっているのか???

ありえない三歳児に畏怖すら覚える大神殿長と魔導士だった。


そして二人は、とにかく考えをまとめたいと思い、その木を植樹して、立ち去ろうとしたその時だった。

その記念樹から精霊が現れラーラの肩や頭にくっついてスリスリしているのである。


精霊…それは聖なる魔力の強い者にしか見えない。

ラーラは父から貰った、魔力を制御する指輪を嵌めているせいで見えていないようだった。

気が付けば、そこここから精霊や妖精までもがラーラを取り囲み、楽しそうにはしゃいでいる。

精霊たちがラーラを愛しそうに愛でているのである。


「「あわわわわわわわわわわ!」」


二人は慌てて、植樹した道具を道具袋にしまった。


「す、すみませんの。姫様、わしらは作業も終わったので、これで帰りますですじゃ!」

「お、お邪魔致しました!」

二人はそそくさとその場を立ち去った。


「あ、そうなにょ?植樹、ありがとでちた~!」

そう言って、ラーラは二人の姿が見えなくなるまで手を振っていた。



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