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35.噂のラーラ姫03 ラーラ視点

 お兄様は、いつも午前中から午後にかけては王の謁見の間にいる。

 大切な公務らしい。

 そして午後のお茶の頃に合わせて兄様に会いに行ったら、この国の将軍だと言うクルディガン・ドゥグァルガさんに会った。


 お兄様が、私を抱っこして紹介してくれたので私はまだまだ下手くそなこの国の言葉であいさつした。

 聞き取りは大丈夫なんだけど、やはりまだ発音が難しい。


「くるでぃがん将軍?ラーラともうちます。宜しくお願いしましゅ」

 そう言うとクルディガン将軍はハトが豆鉄砲くらったような顔をした。

 何か私を見て随分と驚いているようだ?


 この国では珍しいらしい銀色の髪は帽子でしっかり隠しているのに、やはりこの瞳の色も珍しすぎるのかもしれない?

 今度、タマチャンに髪染めとカラコンでお父様やお兄様の色とお揃いにできないか相談してみよう。

 タマチャンなら簡単に作ってくれそうだし…。


 そんな事を考えつつ最初の印象って大事だと思い力いっぱい微笑んで見せた。

 クルディガン将軍は、二メートルはあろうかという巨体で、お顔はかなり険しいっていうか、男前なんだけど彫りが深くて渋くて迫力がある!


 映画とかでだと悪役で出てきそうな感じ?

 極めつけは額の傷だ!眉間に刻まれた大きな傷は中々の迫力だ!


『か!カッコいい~っ!!!』とか内心、思っちゃった!

 もう心の中で叫んじゃったね!


 小さい子ならびびっちゃうかもしれないが、私は何せ記憶が、()()()()()()()()()でしたからね…ほほほほほっ!


 はっきり言ってモロ『()()のタイプ』ですよ!

 お父様がちょい悪な感じだとしたら、クルディガンさんは悪役の親玉って感じだ!


 まぁ、個人的には、お父様の方が理想なんだけどクルディガンもまた違ったタイプと言うか何というか、捨てがたい男の魅力が…。

 そんな阿保な事を考えていると何と悪役ボス面のクルディガン将軍は、ちびっこの私にまるでお姫様にかしずくかのようにひざまづき騎士の礼?らしきものを取った。


 それが正式なものかどうかなど知らないけれど、まるで中世の騎士が姫君にする挨拶のようだと驚いた。


「はい。クルディガン・ドゥグァルガでございます。ラーラ姫様、こちらこそ宜しくお願い申し上げます」


 その荒々しい出で立ちに似会わぬ紳士的な態度にギャップ萌えした私はキュンとしちゃって、それはもう心からの笑顔を大盤振る舞いしてしまってたよ!


 そして再び顔をあげたクルディガン将軍のお顔がとにかく驚きに満ち満ちているので、私は自分から声をかけてみた。


「くるでぃがん将軍、わたち、何かへん?」


「「えっ?」」お兄様と将軍が同時に叫んだ。


「まさか!姫様はどこも変なところなど…」


「でも、何か、将軍びっくりちてる?」


「や、いや、これは…姫様があまりにも物おじしないから、少々驚いてしまったというか」


「?やっぱり、わたちが変なのでちゅね?」しゅんとしながらそう言うと将軍とお兄様はほんとに慌てた様に否定した。

 二人とも優しいなぁ。


「「いやいやいやいや!」」


 そして将軍はちびっこの私に一生懸命説明してくれた!

 本当に見た目に反して真面目で良い人だ!

 まったくもってギャップ萌えの大放出である!


「滅相もないですぞ!姫様!このクルディガン、嘘は申しません!その…自分で言うのも何ですが、わたしは強面で近寄る皆が緊張するようで女性には怯えられ子供に至っては泣かれてしまうのが常だったので姫様のように笑いかけて頂いたのは初めてで、それで驚いたという訳で…つまり変なのはわたしの方な訳です!」と慌てふためきつつ、私を慰めて?くれた。


「?」


 私はその言葉にむしろ驚いた。

 まぁ、小さい子が怖がるのは分かるけど女性が怯えるなんて…こんなに優しいのに!


「将軍は怖いんじゃにゃいの!カッコいいの!」


「「えっ?」」何故かお兄様までもが驚きの声をあげる。

 お兄様、それは将軍に失礼だよ!


「それに、優しいにょ!わたちの様なちびっこに、ちゃんと考えて答えてくれるにょ!とっても誠実で素敵な人なのでしゅ!」


 わたしがそう言うと何故か将軍は、うるうるしていた。


 あれ?何かまた間違えた?

 泣かせたい訳じゃないんだってば!

 いやもう、ほんと言葉選びって難しい?


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