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33.噂のラーラ姫01

 つい先日、王室に現れたラーラ姫の噂は瞬く間に広がっていた!


『なんと現国王に腹違いの妹姫がいた!』

『妖精のごとき可愛さに父である元国王ロード殿下も女嫌いで有名な国王バート陛下もメロメロだとか!』


『何でもご生母様は遠い異国の巫女姫様で、心根もお姿もそれはそれは美しいお方だったとか何とか』

(ロードがでっち上げた話は、侍女ズを通じてもれなく尾ひれ羽ひれをつけてばらまかれた)


 ラーラを一目垣間見た王宮勤めの従者や貴族たちは皆、その愛らしさに皆ハートを鷲掴みにされていた。

 あの初めて王の謁見の間に転移して日以来、ラーラは、毎日のように王城に遊びに来ていた。


 王城の庭園はラーラのお気に入りになったし、公務の合間にラーラが顔を出すとバート兄様がすごく喜んでくれるので、毎日公務の休憩のお茶の時間を目指して三人の侍女ズ(ドレン、ミーファ、ソラ)を伴ってやってくるのである。


 王城に努める騎士や従者たちも毎日、ラーラ姫の顔を一目いたいとそわそわしていた。

 何しろラーラ姫の顔を見れたその日はいつも何かしら良い事に恵まれるという噂である。

(まるで座敷童扱いである!)


 王城は高い城壁に囲まれ聖騎士たちに護られ魔物の心配も盗賊などの心配もいらないと、お父様やお兄様も自由にさせてくれる。

 今のところラーラが自由に歩き回れるのお城から東にある先王離宮(ロード邸)内か、王城の中だけである。


 今日もラーラは銀の髪をきっちりと帽子の中にしまいこみ可愛いドレスに身を包み、王の謁見の間に近い庭でお花や木を眺めていた。


「ふんふんんふ~ん」


「姫様はお花に囲まれてると本当にご機嫌ですねぇ?本当にお花の妖精さんのようですわねぇ」

 ドレンが、可笑しそうにそう言うとミーファも同意するように言葉を続けた。


「本当に、今日はロード様に置いてけぼりでご機嫌斜めだったのにこちらの庭園にきたらすっかりご機嫌も治って…」


「あ、こらミーファ!せっかく姫様のご機嫌が治ったのに!」ドレンが咄嗟にミーファを窘める。


「あ」


「むぅ~!おとうしゃま、いつもはわたちの事、さそってくれりゅのに、今日行くとこりょは、危ないって~」


「そ、そうですよ!姫様の安全を考えての事ですから」ソラがそう言うとラーラは不本意そうに言った。


「大丈夫にゃのにぃ~!わたしは、いいつけは守りゅし、危なくなんかにのでしゅ!自分の身は自分でまもえるのでしゅ!」


「まぁまぁ、姫様。それより国王陛下も姫様とのお茶をそれは楽しみにしてあられますよ!そろそろ陛下もご休憩の時間になりますし」


「ん、お兄しゃまとこ、行くの…」


「「「はい、姫様」」」


 そうして三人の侍女ズは王の謁見の間までラーラを送り届け外で待った。


「ラーラ、よく来たな!」


「あい、おにぃしゃま、お仕事ひと段落しまちたか?」


 そう言いながらラーラは、とてとてと、部屋の中に入って行った。


「何と!本当に、()()も無くこの部屋に入れるとは!」と先にその部屋にいたであろう人物が驚きの声をあげた。










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