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023.なんと王族に?

 とりあえず、おじ様…お父様とセイバス…爺の話を垣間聞いた感じでは、遠い異国の地で、この世の者とも思えぬ美しい巫女姫と出会い結ばれたけれど相手が巫女であり自分も身分を隠しての旅の途中でだった為、再びの再開を約束して別れたと…ほんでもって、その時出来た子供が私と言う設定らしい。


 そして、その私の母設定の架空の巫女姫様は、体が弱く私を人知れず生み落とした後、絶命したと…。


 そしてそして、巫女姫の妊娠と言う神殿の醜聞(スキャンダル)を隠す為に私を神殿の隠し部屋に三歳になるまで外にも出さず育ててきたと…。


 そしてそしてそして、息子に仕事も引き継がせ、身軽になったところで、ようやく再開を果たそうと巫女姫に会いに行ってみれば巫女姫は亡くなっていて、しかも子供を生み落としていて、その子供は隠すように神殿に閉じ込められるようにひっそりと生きてきたというような設定である。


 な、なんて可哀想な設定なんだ!


 泣けてくるよ。

 建物に閉じ込められてたところなんかは、前世の自分とも被って、とても他人事とは思えない…ってか、自分の設定でしたね。はい。


「ごめんなちゃい、まだなれなくて…」


 なんだか架空のお母様と自分が可哀想でしゅんとしてしまった私のしょんぼりした様子に爺は慌てて私を慰めた。


「滅相もない!姫様は悪くないのですよ!悪いのは姫様のお母様をすぐにもこちらにお連れしなかったロード様でございます!そうですとも!姫様は、ちっっとも悪くございませんとも!」


 爺が、そう握りこぶしで力説すると後ろに控える三人の侍女さん達も両手を組んでぶんぶん首を縦に振って頷いている。


「おとうしゃまは、何者なのでしゅか?」


「「「「は?」」」」


「えっ!姫様はお父様が前の王様だったという事をご存じなかったのですか?」

 爺がそう言うと侍女さん達が口々に爺に言葉をかけた。


「セイバス様、姫様はまだこんなに幼いのですもの事情を知らなかったのも分からないのも当然ですわ!」


「そうですとも!だってお母君も亡くなって、ずっと神殿で隠された子供として暮されていたのですもの!」


「なんて、おいたわしい!」


「えっっっ!前の王しゃまっっっ?」私は驚いて叫んだ!

 まさか、前の王様だったなんて!


 確か…国の仕事を息子に譲ったって…。

 国王って…んん、まぁ、た、確かに国の仕事か…!

 小さい子に分かりやすく言ったつもりなのかもしれないけど、余計わかりにくかったわーっ!


「えーと、お父しゃまは、前の王様で、お兄しゃまは、今の王しゃまって事ですね?」


「「「左様でございます!」」」


「なんと、姫様は賢いのでしょう!こんなにお小さいのに!」


 爺と侍女さんたちは感激してまた瞳をうるうるさせていた。


 いや、もう、ほんとにごめんなさい。


 そんな感心されるような事じゃないんです!

 絶対に言えないし言わないけど、中身、三十二歳のおばさんで本当にごめんなさいぃぃぃぃ~。


 罪悪感に苛まれる私である。


 つまり私は王族に?


 なるほど…それでお姫様呼びに…。

 何か色々納得した私だった。


 しかし…つまり今の王さまがお兄様って事だよねぇ…。

 うう~ん。


 これから、無事にやっていけるのか少々、いや…大々的に不安になる私だった。


 でもまぁ、元王様だったら戸籍でも何でもどうとでもしてくれそうでは、あるけどね?

 ある意味、最強の保護者だったみたいである。

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