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017.銀色の卵~ルゼルジュ視点~2

 その小さな"超絶"愛くるしい女の子は何故わたし達が驚いているのか訳が分からないというような顔をしている。

 そりゃあ、そうだろう。


 そして詳しく言いなおした。

 自分の言い方が悪かったのかと思ったようだ。

 可愛いだけではなく聡い子だ。


「えと…きら…が名前で、きりゅうが苗字…」


「ミョージ?」

 聞きなれない言葉に私達は首を傾げた。


「きら・きりゅう!といいましゅ!」


「「「キラ・キリィ?」」」


「キリィじゃなくて、きりゅうでしゅ!」


 何度も言いなおしているが、どう聞いても『キラ・キリィ』と聞こえる!


 どう考えてもどちらも王家を現わす名前である。


「「あわわわわ」」

 サラと侍女はあまりの事に動揺していた。


 わたしもだが…。


「ははっ!()()!とはね」私は思わず苦笑した。


「笑い事じゃございませんわ!こんな事、誰かに聞かれたら!」


 サラがそう言った。


 確かにうかつに聞かれたら王家への不敬罪だ何だという輩も出てくるかもしれない。


 すると私達のただならぬ様子にその子、キラは、心配そうに聞いてきた。


「わたちの名前…何か…わりゅい?」


「ちっとも!ちっとも悪くないぞ!キラは悪くない!」


 わたしは、こんな小さな子に理解できるはずもないと思いながらも、キラに言い訳した。


「悪くはないんだが、この国の王家の王位継承者のみが名乗るセカンドネームが()()と言うんだ」


 すると、キラは、こういった。


「キリィちがゆの!()()()()なにょ!」


 キリィじゃなくてキリ…なに?

 慣れない発音だがキリィとば微妙に違うと言っていた。


「キラ…銀色の卵から現れた女の子…まさか、本当に本物の伝説の…」


 私は、本当にもしかしてこの子が伝説のキラなのか?と思い始めていた。

 もしくは、その眷族…。


 おとぎ話だと諦めかけていた王家に伝わる伝説…。


「え?何ですかルゼルジュ様?」サラが私の呟きを聞き咎めたが私は首をふり自分のその考えを取りあえず振り払った。


 いやいや、いくらなんでも伝説は伝説だ。


 この子が伝説のキラ…女神だと言うのは早計すぎる…。

 確かに人間場馴れした可愛らしさだが、女神と言うより妖精の子供のようである。


 女神と言えば成人もしているくらいの大人の女性のイメージしか湧かない。

 ぶんぶんと頭を振りサラ達に向き返る。


 どちらにしても、この子は、綺麗すぎる事を除けば人間のようだ。


 保護すべきか弱い幼子なのだ!

 今は余計な事を考えず保護することが最優先だろうと思いなおした。


「い、いや、何でもない」


「とっ!取りあえず、その呼び名は呼びずらいですわ!何か別の呼び名を考えましょう!」


「うむ、そうだな」

 サラの意見に私も賛成した。

 すると、キラは、その紫水晶のような瞳を輝かせながら笑顔で言った。


「じゃあ、新しいお名前ほしいのっっ!」


 ぐぬぅっ!(心の嗚咽がもれそうだ!)


 実に可愛らしい!

 こんな娘が欲しかった!


 私はそう思いつつおススメの名前があった事を思いつき提案してみた。


「じ、じゃあ、とりあえず、”ラーラ”でどうだろう?娘ができたらラーラという名を付けようと思っていたんだが、うちには息子しかできなかったんだ」


「はい!可愛い名前っ!ラーラ!」


「おお、気にいったか!」


「はい!とっても!」


 キラはそう言ってほほ笑んだ!

 微笑んだその顔が可愛すぎて私やサラ達は思わず悶絶しそうになった。


 何とも危険な可愛さだ…ごほんげふん。


 何はともあれ今日から『キラ』は『ラーラ』である。


 もう、このまま家に連れて帰ってしまおうか…うん、いいかもしれん!


 いっそ養女に!


 いやいや、もう実の娘だって周り言っちゃおうか、うん!いいかも!それだっ!


 思えば妃も娘を欲しがっていた。

 二人目の王子を生んで若くして亡くなってしまったが…。


 そんな事を現在国王である息子に相談もなく考えていた。

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