ひとりでお散歩
思いきりました。
でも、冬の間だけです。
冬です。
年末の忙しいときに、りとさんがいつものように「お散歩したい」と熱望しました。家族がいると、今日は休みだと分かるんでしょうね。とにかく、お外へ出たいと訴えてきます。最終的には実力行使で、腕に咬みついて来たりするので大変ですよ。
それで、悩んだ末にひとりでお外へ出すことにしました。
ここに至るまで、十箇月間いっしょに毎日散歩して、交通量の多い道路には出ないようにしつけていましたが、どうなんだろ。大丈夫なんだろうか、とか。
猫の行動半径は雄だと100mから200mくらい、とか。
色々と考えました。
ふだんの散歩の様子から、だいたい回るコースは3種類ほど。
お気に入りは、ご近所の猫のいるお家etc.
だいたいは把握しました。
今は冬場で、車のスビートも交通量も少ない。くわえて、地面が冷たいからいつまでも外をウロウロできないだろう。
と、判断してひとりでお散歩に出しました。
万が一のとき用に、いつものハーネスは背負わせました。
仕事場の玄関から出す時に
「道路に飛び出さない、車に気を付けること、木や屋根に上らないこと。気を付けてね、気を付けてね」
と声をかけて送り出しました。
さて、雪の上にぽてんと足をおろした、りとさんはわたしをしばらく見上げてから、とてとてとて……といつものお気に入りの麦畑のほうへと歩いて行きました。
残されたわたし。いちおうタイマーをかけて、どれくらいで戻ってくるかも観測。
仕事場で片づけやら年賀状作りやらをしていましたが、やはり落ち着かない。
怪我していなか、迷子になっていないか、高い所にのぼって降りられなくなっていないか、ほかの猫と喧嘩をしていないか……。
心配したらキリがない。
玄関と仕事場を行ったり来たり。うろうろしていたら、カタカタカと玄関の簀子を踏む音がして
「にゃーん」
と、帰還したのは30分後でした。
体をすっかり冷たくして、それでも満足したような顔をして戻ってきました。
ああ、よかった。無事に戻って来た。
それから、いつものようにオヤツをあげたら、毛づくろいをしてわたしが仕事をする傍らでお昼寝に入ったのでした。
なにゆえ、ひとりで散歩に出そうかと思ったのか、もうひとつ理由があります。
年末の連休のある晩。りとさんの散歩のスタートが遅かったのです。そして、リードを外したら帰らない帰らない。気づけばなんと11時を過ぎています。雪は降る、人気はない、とにかく寒い、猫帰らない。と家の軒下でヤキモキしていたら、とつぜん車のライトが近づいてきました。
なんで、こんな時間に!? と思ったら、近所のみなさんの忘年会帰りにぶつかってしまったのです。
11時すぎに、モコモコした近所のおばちゃん(わたし)が雪の中立っている、ってたぶんギョッとされましたよ。
そんなわけで、あまり夜遅くに散歩ってどうよ……と思ったのでした。
猫の散歩はおおむね30分前後ですが、長いと一時間くらい帰ってこないので、とても心配です。
もうすぐまた以前のようにします。しかし、寒い。




