夢から覚めて
今回の話は、いつもより投稿日が遅れ話数も少なくなってしまいました。
ですが、どうぞ御覧下さい。
時刻は過去から戻り現在、夜中の1時過ぎである
「⋯けて⋯たす⋯けて」
あいつが⋯私の手を掴んで抑えつけてる⋯
幾ら足掻いても手が外れない⋯
とても怖い⋯
怖ろしい⋯
今すぐここから逃げたい⋯
やめろ⋯
⋯⋯⋯⋯
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「⋯ちゃん!⋯怜ちゃんっ!」
誰かが⋯呼んで⋯る⋯
誰かが必死に自分の名前を呼ばれている事に気付き夢から現実に引き戻される
誰⋯
ぼんやりだが少しずつ顔が見えて来た⋯
「つっ⋯!奈穂⋯ちぃ⋯」
あいつに会って忘れ去りたい過去の出来事を完全に思い出した⋯
もう⋯嫌だ⋯何もかも忘れてしまいたい⋯
「怜ちゃんっ!大丈夫っ⁉︎大分うなされてたから心配で⋯」
心配そうに奈穂ちぃが私の顔を覗き込んできたがそれどころでは無かった⋯
「うっ⋯ごめ⋯ん⋯っ」
恐怖で身体が震える⋯
そんな私を見てもなお奈穂ちぃは何も言わずただ優しくギュッと抱きしめてくれた
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「ありがと…」
しばらくしてようやく落ち着いた私は、一言お礼を言った
「いいよこのくらいそれより、もう大丈夫なの?」
未だ心配そうにする奈穂ちぃに思い出した事の全てを打ち明けるか迷っていた
「もう平気だって昔から心配性だな〜」
これ以上心配かけまいとわざとおどけて見せた
こんな子供騙しじゃバレバレなんだろうが⋯
明だったらきっと騙されてくれるだろうに⋯
「言いたく無いならこれ以上聞かないけど⋯」
不満そうではあるが渋々と言った感じで引き下がってくれた
こういう気転がきく所はほんとにとてもありがたい
だからこそ安心して色々と正直に打ち明ける事が出来るのだ
「昔の事⋯思い出したんだ⋯思い出したく無かった事を⋯」
これは正直に話しても良いだろう
「そうだったのね⋯それは辛かったね…だけど無理して話そうとしなくて良いんだよ…いずれ、時期が来て教えてくれるまで私は待つよ」
再び私をギュッと抱きしめながらそう言ってニッコリ笑って返してくれた
「ありがとう⋯」
ホッとしたら段々眠くなって⋯き⋯た⋯
そして私は睡魔に負けて意識を手放した⋯
「いいよってあれ?安心して寝ちゃったかな⁈普段はしっかりしてかっこいいけどこういう時は本当可愛いんだから…」
私の知らないところで怜ちゃんも色々あるのね⋯
知らないってことは何も出来ないのだからとても悔しいわ…
こんな私だけど少しでも怜ちゃんの役に立ててたら良いなぁ⋯
ほんと怜ちゃんのこと好きだなぁ…わたし…叶わないと思っていても思わずにはいられないの…ごめんね…怜ちゃん…
誰に聞かれることもなく寝てしまった怜を腕の中から解放して起こさないようにそっとベッドに寝かせた
そして、額に軽くキスをした⋯




