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とんでもスキルで異世界放浪メシ  作者: 江口 連


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第四百十八話 フェル、ドラちゃん、スイの肉好きトリオ歓喜

 一夜明けてしっかりと休息をとった俺たちは、再びボス部屋の重厚な扉の前へとやって来た。

『では行くぞ』

 その声とともにフェルが前足で扉を押し開けた。

「ゲッ、12匹もいる……」

 部屋の中には巨体のギガントミノタウロスが12匹もいた。

「みんな、あの数だけど大丈夫か?」

『フン、愚問だな。俺たちがあんなのに負けるわけないだろ』

『ドラの言うとおりだ。あのようなのがどれだけいようとも我らの敵ではないわ。そんなことよりも、この階もこの部屋で最後だ。肉を落としてくれるといいのだがな』

『フハハ、違いねえ』

『お肉が出るといいねー』

 フェルたちには「大丈夫か?」っていうのは野暮な質問だったらしい。

 ギガントミノタウロスが12匹いようが、フェルたちにとっては問題無しってことのようだ。

「ブモォォォォォォッ」

 俺たちに気付いたギガントミノタウロスたちが、雄叫びをあげ武器を振りかざしながら一気にこちらに迫って来る。

 その様は怪獣映画さながらのド迫力だ。

 その迫力に腰が引ける俺をよそに、フェルとドラちゃんとスイはいたって平然としている。

『ドラ、スイ、さっさと片付けるぞ。ドラは右側の4匹を、スイは左側の4匹だ。我は中央の4匹をやる』

『おう、了解』

『はーい』

 ドゴンッ、ドゴンッ、ドガンッ、ドガンッ―――。

 中央の4匹は、脳天に電撃を受けてゆっくりと崩れるように倒れていった。

 ドシュッ、ドシュッ、ドシュッ、ドシュッ―――。

 右側の4匹は、炎を纏ったものすごいスピードの弾丸が次々と腹に風穴を開けていきドミノ倒しのように次々と倒れていった。

 ビュッ、ビュッ、ビュッ、ビュッ―――。

 左側の4匹は、酸の弾丸が胸の辺りを溶かしながら貫通していくと音を立てながら前方へ倒れていった。

「さっさと片付けるって言ったけど、本当に一瞬で勝負がついたな……」

『フン、当然だ。そんなことより、肉が出た。さっさと肉を拾え』

『お肉出て良かったね~』

『おう。しかも最後の最後で3つも出るとはな。運がいいなこりゃ』

 肉塊が3つも出て、フェルもドラちゃんもスイもホクホク顔だ。

 でも、拾うのは肉塊だけじゃないよ。

 その他のドロップ品ももったいないからきっちり回収していくからね。

 斧、魔石、皮、角にそれからまた魔石に……。

「ん? これは……」

 ギガントミノタウロスのドロップ品の中になぜかバスタードソードが落ちていた。

 剣を持っていたギガントミノタウロスはいなかったし、巨体のギガントミノタウロスが持つにしてはいささか小さ過ぎる。

 持ち上げて全体を見てみると、何となく見覚えのあるバスタードソードにもしやと思う。

「なぁ、これって俺たちより前にこの部屋に入ってた冒険者パーティーの人が持ってた剣だよな?」

『そうだな』

 フェルが何でもなさそうに答える。

「何でここに落ちてんだ?」

 そう聞くと、ドラちゃんが頭を振りながらこちらにやってきた。

『お前相変わらずニブちんだな。死んだからに決まってんだろ』

「え……」

『あいつ等が持ってた大斧と片手剣もそっちにあるぞ』

 ドラちゃんが指差した方を見ると、確かに大斧と片手剣が落ちていた。

『おそらく全滅したのだろうな。お主が持っている剣を持っていた者が、あの中では1番の強者だった。その者が死んだとなれば、他の者が生きていることはほぼないだろうからな』

 フェルがそう言うとドラちゃんが『だよな』と返す。

 フェルの話では、ダンジョンにもよるが概ね人の死体や着ている服、それから皮鎧など要は有機物で出来ているようなものは吸収されるのが早く、鉱物で出来た武器などは吸収されるのが遅いということだった。

「あのパーティー全員が死んじゃったってこと? で、でも、あの人たちこの国屈指の実力派冒険者パーティーって言われてた人たちだよ」

『どんな風に言われていたかは知らんが、ここはダンジョンだぞ。こういうこともある』

 いやまあ、俺だってそれは分かってはいるんだけど……。

『この階に挑むのにあいつ等は実力不足だったってだけだろう。だいたいダンジョンに挑むんだ、あいつ等だってそれなりの覚悟はしてたはずだろう』

 まったくもってドラちゃんの言うとおりではあるんだけどさ。

 最悪の場合は生きて出てこれない命のやり取りをする場所がダンジョンだっていうのは俺も分かってるつもりだ。

 だけど……。

 仲の良い知人でも何でもない間柄ではあるけど、ちょっと前に出会って元気だった姿を見ている分その人たちが死んだって言われるとさ、何とも言えない気持ちになるよ。

「しかし、覚悟か。改めて言われると重い言葉だな。こう言っちゃなんだけど、俺、ダンジョンで死ぬ覚悟なんて出来てなかったわ……」

『そんなもんせんでいい。我らと彼奴らを一緒にするな』

『そうそう。俺とフェルとスイがいるんだぜ。お前が死ぬようなことは万に一つもねぇよ』

『あるじはスイが守るもん大丈夫!』

「フェル、ドラちゃん、スイ……」

 みんなの言葉にちょっとジンと来てしまった。

『美味い飯が食えなくなったら一大事だからな』

『うんうん』

『あるじのご飯美味しいもんね~』

「お、お前ら……、飯て……」

 分かってたけど、分かってはいたけど、やっぱり俺の作る飯だけが目的なのかぁぁぁっ。

『アハハ、というのは冗談で、飯も含めてだけどみんなで旅したりってのはけっこう楽しんでるんだぜ。フェルもスイもそうだろ?』

『うむ、まぁな。1人でいるよりは面白き生活だ』

『みんなと一緒にいるのとっても楽しいよー!』

「フン、飯ってのはほぼ本音だろうに。でもまぁ、俺もみんなと一緒に旅するのはけっこう楽しいからな」

『だろ。ということだから、俺たちはこれからも持ちつ持たれつ仲良くやっていこうぜって話だよ』

 そう言いながら俺の肩をポンポンと叩くドラちゃん。

 まったく口が上手いんだから。

「ま、それはいいとして、これどうしよう?」

 残されたバスタードソードと大斧と片手剣。

『所有者は既にいないのだ、もらっていけばいいだろう』

『そうだぜ。どうせここに置いておいたってダンジョンに吸収されちまうだけだろう』

「それもそうか。まぁ、とりあえず持ち帰ってどうするかは冒険者ギルドで相談してみるよ」

 そして、残りのドロップ品を拾うと俺たちはボス部屋を後にした。

 階段を下りて38階層へと足を踏み出すと……。

「ブモォォォォォォッ」

 聞き覚えのある雄叫びが聞こえてきた。

『ククク、我らは運が良いな』

『ハハッ、確かに。日頃の行いが良いからだぜきっと。しかし、またこいつ等と出会えるとはな』

『お肉だー!』

 38階層、初っ端から出会ったのはギガントミノタウロスだった。

 それが巨大通路を所狭しとひしめき合っていたのだから、フェル、ドラちゃん、スイの肉好きトリオも歓喜するはずだよ。

『よし、狩るぞ!』

『ヒャッハー!』

『お肉ーっ!』

「ああっ、突っ込んでっちゃったよ……」

 それからは当然のごとくフェル、ドラちゃん、スイの肉好きトリオはギガントミノタウロス狩りに邁進。

 37階層よりはるかに多くいたこの階のギガントミノタウロスを嬉々として狩り続けて、最後のボス部屋にいた大量のギガントミノタウロスを片付けたときにはドロップ品の肉塊は終に3桁を超えていた。

「しばらくはギガントミノタウロスの肉に困ることはなさそうだな……」

 俺が遠い目をしてポツリとそう言うと、フェルとドラちゃんとスイは満足気な顔をしていたよ。






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― 新着の感想 ―
フェルさんだけでも一国を落とせる戦力に、それに並ぶドラちゃん+スイちゃんのトリオ、これで勝てない相手がどれほどいるのか(;^ω^)マーイナイヨネ
フェル・ドラが命の重さを軽視しているように感じた。 肉という命をいただいているのにな・・・、なんか切ない。
ご飯だけのつながりならわざわざ同じ部屋で寝たりしないし。ちゃんと絆が感じられてほっこりします。
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