第三百三話 ランベルトさんと再会
今日は302、303話の2話更新です。
「マリーさん、お久しぶりです」
ランベルトさんの店の前に行くと、ランベルトさんの奥さんのマリーさんが店に出ていた。
「まぁ、ムコーダ様! お久しぶりです。カレーリナに戻っていらしたんですね」
「ええ、久々に戻ってきました。石鹸やシャンプー、売れてるようですね」
石鹸やシャンプーが置いてある店の一角には女性たちが群がっていた。
「おかげさまで、毎日この盛況振りですのよ。ただ、数に限りがありますし、買占めを防ぐためにも各種1人につき1つと限定させていただいているのが心苦しいのですが……」
ああ~、やっぱりそうか。
もうそろそろ在庫が危ないんじゃないかなとは思ってたんだよ。
ベルレアンの街で卸して以来だもんなぁ。
「その辺のことも関わることで、ランベルトさんに相談に乗ってもらいたいことがあるのですが、ランベルトさんいらっしゃいますか?」
「ちょっとお待ちくださいね」
マリーさんが小間使いの少年にランベルトさんを呼ぶように伝えると、すぐにランベルトさんが店の奥から姿を現した。
「ムコーダさん、お久しぶりですっ」
「お久しぶりです、ランベルトさん」
「ご注文頂いているワイバーンのマント、今、最後の仕上げに入っていますが、素晴らしい出来ですよ!」
「おおっ、それは楽しみですね~」
「あと20日程度かかるかと思いますが」
「もちろん大丈夫ですよ」
約束の期限よりだいぶ前に来ちゃったからね。
「お話もあるようですから、奥へどうぞ」
ランベルトさんに、店の奥の部屋へと案内された。
石鹸やらシャンプーやらの卸の話もあるので、マリーさんも一緒だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「早速で申し訳ないのですが、仕入れの話を先にさせていただいてよろしいでしょうかな? マリーが気が気でないようですから、ハハハ」
「もう、あなたったら。ですが、石鹸もシャンプーもムコーダ様から仕入れた品はすべて人気で品薄なのです。在庫を切らしてしまっては、せっかく買いに来ていただいたお客様に申し訳ないですし」
……何というか、相変わらず仲のいい夫婦だね。
あんまり見せつけられると、俺のライフが削られるんだけどな。
「ムコーダ様もお戻りになったことですし、是非とも近日中に仕入れさせていただきたいですわ。できれば……」
マリーさんの話では、できるだけ早くベルレアンで卸したくらいの量が欲しいとのことだった。
それだけの数があれば、買占めはお断りだが今の各種1人につき1つの限定というのは解除できそうだとのことだった。
ベルレアンで卸した量か……。
壺やら木箱への詰め替えが大変なんだよなぁ。
できるだけ早くというのは分かるけど、できれば明日丸1日くらいは時間があるとありがたい。
マリーさんには明後日の昼前に届けるということで了承してもらった。
話がまとまると、マリーさんは店の方が気になるらしく、いそいそと店へと戻っていった。
「すみませんね。マリーも今の仕事が楽しいようで」
「女性が働くのはいいことですよ」
「そうですな。マリーも毎日楽しそうで、私もうれしい限りです。……それで、ムコーダさんは何やら私に相談事があるとか」
「ええ。実は…………」
俺は、少し前から考えていることをランベルトさんに話した。
俺が考えていたのは、ズバリ家が欲しいということだ。
旅の先々で一軒家を借りるようになって、やっぱり家があるといいなぁと思うようになった。
広々してるから、フェルたちも気兼ねなく過ごせるし、俺としても気を使わなくていい。
キッチンや風呂などの設備が整っているのもいいよな。
もちろんそれは俺が借りていたのが豪華な屋敷だったからではあるけど、今ならフェルたちのおかげで金も相当に貯まっているし。
豪華な屋敷だって十分買えると思うんだ。
それに何より、帰る家があるっていうのはいいもんだよ。
これからももちろん旅には出ると思うけど、帰る家があるのとないのでは気持ちの持ちようが違うと思うんだ。
そこで家を持つならどこがいいかって考えたとき、ここカレーリナの街が1番に浮かんだ。
ドランも考えなくはなかったけど、ドランに家を持ったらエルランドさんが入り浸りになりそうで却下したよ。
ドラちゃんが欝になっちゃいそうだしね。
そんなわけで、家を買うならやっぱりカレーリナの街でということになった。
「ほ~、この街に居を構えると。それはいいですな!」
「この街には、ありがたいことにこうしていろいろ相談できるランベルトさんもいますしね」
「そう言っていただけるとうれしいですな」
「それで、ご相談なんですが、この街で家を買うとなったら、やっぱり商人ギルドに行くのが1番ですかね?」
「そうですなぁ、どんな家が欲しいかにもよりますが、やはり商人ギルドを挟むのが無難かと思いますね。それで、ムコーダさんはどんな家をご希望で?」
買うとなったら、やっぱり今までに借りた屋敷くらいの大きさが欲しい。
フェルが余裕をもって出入りできて、部屋の造りも大きめ、かつキッチンや風呂などの設備が充実していて、できれば庭も広めの方が。
そういう家が欲しいのだとランベルトさんに説明すると、ランベルトさんがポンと膝を叩いた。
「ムコーダさんのご希望にピッタリの家がありますよっ! しかも家具類もそのままなので、すぐにでも住めます!」
その家は何でも元は高位貴族の別邸で、街の中心街ではないものの離れすぎているわけではないので買い物などをするにも便利な立地なうえ、敷地も広いそうだ。
屋敷自体も大きくて、何と14LDKもあるという。
それに加えて、その14LDKの母屋のほか、使用人専用の小ぶりな家が3つも建っているそうだ。
「とある事情で手放されることになり、商人ギルドで取り扱うことになったそうなんですが、それだけの物件ですからねぇ。売値もかなりの額になってしまい、なかなか買い手が付かないそうなんです」
ランベルトさんも商人ギルドから、誰かいい方がいれば是非とも紹介をと言われているんだそう。
「ムコーダさんがSランクの冒険者になったとお聞きしましたので、どうかなと思いまして」
お、やっぱり知ってたか。
でも、かなりの額ってどれくらいなんだろ?
俺の持ち金で買えそうなら、とりあえず見てみるのはありなんだけどな。
「それで、おいくらなんですか?」
「金貨1万2000枚ですね。これだけ聞くと高いと思われるかもしれませんが、立地と敷地の広さ、そしてあの屋敷を考えると安いくらいですね。しかも、家具付きとなるとお得ではありますよ」
金貨1万2000枚か。
高くはあるけど、買えなくはないね。
というか余裕で買えるよ。
ランベルトさんがお得という物件だし、見てみるくらいはいいかもしれないな。
「うーん、買うかどうかはわかりませんが、見せてもらうことはできますかね?」
「そうですか。それでは商人ギルドの者に取り次ぎますので、早速行きましょう」
少々乗せられた感はあるけど俺としても買うなら早い方がいいので、ランベルトさんに付いて商人ギルドに向かった。




