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勘違い系○○  作者: 流音
第二章:高校生
22/218

2-16それぞれの変化


修学旅行が終わって二週間が過ぎた。


何だか最近私の周りが変わってきたように思う。


一番気になってるのは涼華ちゃんだ。


修学旅行以降、涼華ちゃんはよく木下君と一緒にいる。

いつも人気のないところで、何か熱く語り合ってる。

私には言えない事なんだろうか?

少し寂しいけど、木下君と一緒にいる涼華ちゃんはすごく可愛くて見ていて嬉しくなる。

これは私の予想だけど、涼華ちゃんは木下君に恋してる。

一回聞いたことがあるんだけど、

「そんなんじゃないよ!」と誤魔化されてしまった。

今後に注目していきたい。



次に気になるのは麻友の事だ。

この間電話があったとき、麻友はひどく興奮していた。


『紗英!!紗英の学校の野球部の先生に若い人いる!?』


第一声がこれだった。

私は突然の事に驚いたけど、冷静に野球部の先生を思い出してみて

思い当たる人が一人いたのを彼女に伝えた。


すると、しばらく無言だった麻友が私にお願いごとをしてきた。

その願い事というのが、野球部の先生に会わせてほしいということだった。

私は以前吉田君のことで麻友には迷惑をかけたので

快く引き受けた。

麻友に会いたい理由を尋ねたけど、上手く躱されて電話を切られてしまった。

うーん…何でなんだろう…そこだけが疑問だ。



最後に翔君だ。


修学旅行からこっち以前よりもおかしくなった。

野球部の練習を見に行くと追い返されるし、

かと思えば帰りは一緒に帰ろうと言ってくる。

帰ろうと言ってきたのはあっちなのに、すごい急ぎ足で駅まで行くし、

急いでるのかと思ったら電車を降りたらやたらとゆっくり歩くしで

意味が分からない。


修学旅行で一緒に行動してくれたメンバーにお礼を言いに行ったときもだ。

私が圭祐君や木下君、小野君と話してたら、

急に横から割り込んできて用もないのに職員室に連れていかれた。

奇行が目に余る。


まぁ、私の堪忍袋の緒が切れないうちに元に戻ってほしい。



そして私はというと二学期になっても引き続き、壁にぶち当たっていた。

ピアノのレッスンの先生に呼び出しされて、お叱りを受けた。

『身が入っていない』

私的には一生懸命頑張ってるつもりなのに、

この一言はきつかった。


夏休み、サボっていたわけじゃない。

練習していた…していたけど、集中力が足りなかったと言われればそれまで。


私…音楽続けて何したいんだろう…?


私はまだ暑い外を、廊下の窓から見てため息をついた。

外には練習に励む運動部の姿が多い。

修学旅行に一緒に行動した浜口さんはバレー部だと言っていた。

きっと彼女は将来の目標をきっちり定めて練習している事だろう。

翔君に対しての気持ちもはっきり言える人だから、

きっとそうだと思った。


涼華ちゃんも佳織ちゃんも美優ちゃんもしっかり考えてそうだなぁ…

翔君なんて悩みなく野球をずっとしてそうだ。


色んな人の顔を思い浮かべて、またため息が出る。


このままここにこうしていても仕方ないので、

家へ帰ることにした。

練習する気分でもなかったので…


今日は翔君にからまれると下手につっかかりそうなので、

顔を見られないように足早に校門へ向かった。



***



私は一人の帰り道、色々な事を考えた。

さっきまで悩んでいたレッスンの事もなんだけど…


修学旅行の二日目、翔君たちと別れて嵐山を観光中の事だ。

私は麻友と同じ高校の制服を着た集団に出くわした。

麻友もいるかもしれないと立ち止まって見てたんだけど…

その中に吉田君の姿を見つけてしまった。

それも板倉さんと腕を組んで歩く姿を…


吉田君は私に話したくないと言った。

何でなのか…ずっと考えていた。

話したくないほど、嫌なことをしてしまったんだろうか?

何か彼を傷つけてしまったんだろうか…?


でもそんなことは関係なかった。

板倉さんの事が好きだから…

彼女に誤解されなように、私の事を遠ざけたんだ。

中学のときチョコレートをあげたんだから、

私の気持ちは吉田君知ってるはずだし…


二年越しに振られた気分で胸にぽっかり穴が開いたようだった。

私はまだどこかで期待してたのかもしれない…


ばかだなぁ…


いつまで経っても気持ちの踏ん切りがつかない。

あんなに仲良く歩いている姿を見ても

吉田君の事を嫌いにはなれない現実が目の前に立ちはだかる。


きっと私にとって吉田君はずっと特別なんだ。





読んでいただきましてありがとうございます!

ここから三人の関係に動きがでてきます。

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