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第87話 そんな縁はいらない

「今度はロックバードを狩ったのか。相変わらず予定外の大物に縁があるようだな」


「あまり嬉しくない縁ですね、それは」


冒険者ギルドに戻ったボク達は依頼完了の報告をギルドマスターにしていた。

お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが一緒だからか受付嬢に任せず自分から対応している。


「で、今回はどうする。またオークションに出すか?」


「いえ、羽毛は売らずに全て貰います。後の肉とか骨は売ります。あ、肉はいくらか貰います」


羽毛は皆の防具を作る際の素材に使えるだろう。

あれだけあれば全員分作れるだろうし、予備にも充分な量を確保できるはず。


肉はかなりの美味らしい。

肉もかなりの量があるので城の皆の分と、イグナスの言ってた孤児院の子供達に振る舞うぐらいの量は確保できるだろう。


ドラゴンの時も自分達用にいくらか素材を確保しとけばよかったかと、後で思ったけど、犯人を捜す目的に使う事になっただろうし、皆が大金を得る事が出来たので良しとする。


「そうか。まぁあれだけの巨体だ。残った肉と骨だけでもかなりの額になるだろ」


「あと、ハーピーの討伐何ですけど、ハーピーの死体は回収する前にロックバードに吹き飛ばされたんですけど、依頼達成になります?」


「お前達なら問題ないだろう。ハズラッドさん達もいたわけだしな。これが普通の冒険者ならギルドの調査員が現地に向かって、その結果次第になるんだがな」


特別扱いはしてくれなくていいんだけど、どうせロックバードの胃袋から出て来るだろうし、嘘もついていない。問題はない。


「ああ、そうだ。一つ情報があるぞ」


「何です?」


「アスラッドにも、もう伝わってるだろうけどな。ムスベルのほうで見たことの無い魔獣の目撃の報告がいくつかあったらしい」


「それって、遺跡の研究者絡みですか?」


「まだわからん。単に新種の魔獣が生まれただけかもしれん。可能性はあるだろうがな」


ムスベルは日本で言えば埼玉のあたりにある街だ。

行った事がある街なので転移魔法で簡単にいける。


「わかりました。有難う御座います、ギルドマスター」


「おう。じゃあな」


城に戻って、父アスラッドとムスベルの件で話をする。


「ああ、その件か。今調査中だ。続報はないぞ」


「そうですか。じゃあボクも明日にでも行ってきます」


「いやいや、何でお前が行く?」


「え?だって…」


遺跡の研究室を発見したのはボク達だし、ルーとクーの件もある。当事者の一人だと思うのだけども。


「確かにこの件はお前達が発見者だが、お前達が解決しなければならない訳じゃ無いぞ。お前は魔王子なんだぞ?冒険者として働いている時はともかく、普段はもう少し部下に任せる事も覚えろ」


そうかもしれない。

今世ではボクは魔王子。

あまり魔王子が出しゃばると部下を信用してないと思われるかもしれない。

ボクだけじゃなく父アスラッドも。


「お前ら、何の話をしてるんだ?新種の魔獣が出た事とジュンが何か関係あるのか?」


そういえばお爺ちゃん達にはまだ説明してなかった。

二人に遺跡で見つけた研究室の話をする。


「なるほどな。まぁアスラッドの言う事もわかるが、ジュンの気持ちもわかる。だから明日は冒険者としてムスベルに行こうか、ジュンよ」


「え?」


「だからよ、魔王子としてムスベルに行くんじゃなくてただの冒険者としてムスベルに行くんだよ。んで、何か依頼を受けてな。その依頼中に新種の魔獣発見とか、あるかもな?」


それはただの方便ではないだろうか。

まぁ方便も必要な時があるのはわかってるつもりだけども。


「それでかまわんだろ、アスラッド。わしらも付いて行ってやるから、心配はいらんぞ」


「…はぁ~。分かった。親衛隊も何人か連れて行けよ」


「お前も結構、心配性だな」


「うるせー。親父も同じだろ」


そうして一応、父アスラッドの許可を貰い、翌日。

ボク達はムスベルに来ている。

メンバーはいつものボク・ユウ・アイ・セバスト・ノエラ・リリー・ハティにお祖父ちゃんとお祖母ちゃんを加え、親衛隊の五人。

それから話を聞いて、どうしてもとルーとクーの二人も参加。

合計十六人と、冒険者のパーティーとしてかなりの大人数になってしまった。

 


親衛隊の面子は師匠・クリステア・ルチーナ・ユリア・イグナスだ。親衛隊の中でも実力者が揃っている。

父アスラッドが師匠に言ってなるべく実力者を同行させるように言ったからだ。

イグナスは元冒険者としての経験も期待されている。

クリステアは実力者でもあるのだが今回は自分が行くと、強引に決めたのでルチーナとユリアもなし崩し的に参加だ。


「前回、ノエラさんはジュン様との混浴に成功したとか。一生の不覚です。あれほどジュン様のお供を譲った事を後悔する羽目になるとは。これからは全て私が同行します」


「ふふふ、ジュン様との入浴は私の悲願でしたので。ジュン様はガードが堅いのでそう簡単に出来るとは思わない方がよろしいですよ」


悲願て。ガードが堅いて。

普通逆じゃない?男が女に言うセリフじゃない?


「……」


「クーちゃん…」


クーは親の仇に会えるかもしれないと思っているのだろう。

ルーはそんなクーを心配そうに見ている。

無茶をしないか心配なのだろう。

ボクも二人が無茶をしないか心配だが、気持ちは分かるため連れて来た。

セバストとノエラには二人から目を離さないように言ってある。


「じゃ、冒険者ギルドで目撃情報の詳しい場所を聞いて、適当な依頼を受けて来るよ」


一応、冒険者として来ているので建前として依頼を受ける必要があった。

こんな大人数で行くのも迷惑だろうからボクとお爺ちゃん達の三人で行って来た。


冒険者ギルドで依頼を受けて、聞いて来た話を皆にもする。


「場所はここから北西にある大森林。その中央の辺りで目撃されたらしい。一番最近で五日前。それから森の中に遺跡とか無いか聞いたら、廃棄された大昔の砦が在るらしい。目撃情報もその砦の近くらしいから、そこを目指すとしよう」


「森にはどんな魔獣が出るかも聞いた?」


「うん、それがね?ここ二日間の間にすんごい厄介な事になっててさ。事態が判明したのが今朝で、ホットなニュースなんだけども」


全く、なんでこんな厄介事が重なるのか。

ギルドマスターの言う縁が本当にあるのだろうか。


「何、どしたの?」


「受けて来た依頼に関係するんだけどね?その厄介事のせいで一つしかその森での依頼が無くて。受けないって選択肢もあったんだけど、お祖父ちゃんが受けちゃってさ」


「大丈夫大丈夫!お前なら勝てる!」


そうかなぁ。

前回のロックバードより強いかもしれないんだけども。

あっさり勝てる可能性もあるけどさ。


「何?何なの?はっきり言いなさいよ」


「今、森の中の魔獣は殆どが身を隠してる。すんごい危険な奴がどこからかやって来て徘徊してるから。そのせいでムスベルの兵による調査も止まってるらしい。危険過ぎるから」


「だから、何がいるの?お兄ちゃん」


「うん…ドラゴンゾンビだってさ。参ったね」


しばしの沈黙が場を支配した後。


「「「「えええ!!!」」」」


皆驚きの声を上げる。

うん。驚くよね。ボクも驚いた。


「ドラゴンゾンビって、あのドラゴンゾンビですの!?」


どのドラゴンゾンビか知らないけど、多分そのドラゴンゾンビです、ユリア君。


「討伐難度は文句なしのS!只でさえ強力なドラゴンがアンデットになった事で不死性まで得た危険極まりないアレですか!?」


説明をありがとう、ルチーナ。


「ジュン様。森に入るのは止めましょう。私達だけでは準備が足りません。危険過ぎます」


こういう時のクリステアはまともだね。

普段からまともならよかったのに。


「いや、しかしドラゴンゾンビほどの危険な存在は一刻も早く討伐しなければ…」


師匠の言う事も間違っていない。

アンデットは生者に惹かれる性質があるらしいから、いつ人里に向かうのかもわからない。


「一応、倒す手段はボクが持ってるんだ」


「あ!そうか神聖魔法!」


ユウ、正解。

神聖魔法ならアンデットを浄化できる。

ただし条件が一つ。


「ボクの魔力が尽きる前に浄化できなきゃ失敗だ。生前に強力な存在ほど浄化に必要な魔力が多くなる。ドラゴンゾンビなら尚更だ。もしボクの魔力が先に尽きたら転移魔法で逃げる事も出来なくなる」


シーンと、再び沈黙する皆。

まぁ何とかなると思うんだけどね。


「一応、魔力回復の魔法薬もあるし、ダメな時は転移魔法が使える程度には魔力を残して逃げに徹するよ。放置は出来ない存在だし、皆には突然で悪いけど協力して欲しい」


勝算があると分かって落ち着いたのだろう。

皆、冷静になり話し合いの結果、ドラゴンゾンビ討伐に向かう事になる。


大丈夫。ダメなら逃げるだけだ。

何とかなるさ。

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