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第73話 魔法部門決勝トーナメント 2

『第二回戦第一試合は美少女の勝利です!というかそのフード、何で出来てるんですか!』


 本当に脱げないな、あのフード。

あれも魔法道具だったりするのかな。


「さて、次の試合は見物だと思うけど、どっちが勝つと思う?」


「う~ん、ウチはロレンタさん。技はロレンタさんのほうが上だと思う」


「私もロレンタさん。グレンは所詮バカだもの」


 ユウの言い方はどうかと思うがボクも同意である。


「ボクもロレンタかな。理由はグレンに優勝して欲しくないからだ」


「それはどうかと一瞬思ったけど、納得したよ」


「うん。私もやだ」


 みんなの心は同じだった。

少なくともこの件に関しては。


『さぁ二回戦、第二試合です!グレンvsロレンタ!グレンさんは兄弟と一緒にロレンタさんの教え子だった時期があるそうです!弟子が師匠を超えるのか!まだ早いと師匠が弟子の頭を抑える事が出来るのか!』


 そうだったのか。それは知らなかった。


「ああ、そういえば昔ロレンタは領主の子供に魔法を教えてた時期があったな。その時の教え子の一人なんだろう」


 ボクとカイエン師匠のような関係か。

今の二人はどんな気持ちなんだろう。


「お久しぶりです、先生。前にお会いしたのは七年前くらいでしたか?」


「もうそんなになるかね。どうだい、ちったあマシになったのかい」


 グレンが普通の会話をしている。

そんな普通の会話できたんならボクの時もそうしてよ。


「ええ、まあ少しは認めてもらえるんじゃないと思えるくらいには強くなったつもりです。先生は御変りないようで」


「言うじゃないか、私の強さは七年前から変わってないと?


「いえ、そうではなく。変わらずお美しいですね。私の妻になってくれる話は考えてくれましたか?」


「相変わらずの見境なしか、お前らは。私はお前らの親よりは年下だがお前らよりは大分年上だぞ。というか、あっちこっちに声かけ過ぎだろう。少しは自重しろ。そこも変わってればよかったのに」


 昔っからあの調子なのはなんとなく予想できたけど、まさかロレンタまで口説いていたとは。

美人ならなんでもいいのだろうかあいつらは。


「私達兄弟は美しいモノが好きなだけですよ。何故かよく誤解されるのですが」


「誤解じゃないだろうね、それ。断言できる」


 ボクも同意です。


「まあいい。今更お前らを矯正出来るとは思ってないしするつもりもない。そろそろ始めるよ。周りもしびれを切らしてるだろうからね」


『そうしてくださーい!そろそろ突っ込むとこでしたー!試合開始です!』


 試合開始直後に魔法の打ち合いを始める二人。

グレンは一回戦と同じように両手で火と風の魔法を連射。

ロレンタは氷の壁と土の壁を出し防いでいる。


「グレンの魔法を最小限の魔法で防いでる」


「でも、防いでるだけだよね」


「いや、そうでもない。ロレンタは準備中だよ。大技のね。アレみて」


「わ~お。なにあれ」


 ロレンタは氷の壁と土の壁を出し防ぎながら攻撃魔法を発動していた。

同時に三つの魔法を発動しているのだ。

流石魔法兵団団長。


「グレンはアレに気が付いてない、よね?」


「多分ね。気づいてたらとっくに対処してるでしょ」


 これはグレンがバカだからとは言えない。

ボクも戦闘中にアレを仕掛けられたら気が付かないかもしれない。

こうして貴賓席で見れるから一早く気が付いただけだ。

他の観客も気が付いてない。


「どうしました先生!防戦一方ですか?そんなわけないですよね、あの先生が!」


 バッとロレンタから視線をはずし上空を見るグレン。

意外だ気が付いていたのか。

上空にはロレンタが準備してた魔法の水の塊が浮かんでいる。

観客もグレンが上空を見た事でようやく気が付いたようだ。


「チッ、アクアフォール!」


 気が付かれてすぐに仕掛けていた魔法を発動するロレンタ。


「凄い!空中に突然滝が出来た!」


 アクアフォールはアイの言ったように滝を作る魔法だ。

あれだけの水量が突然上空から落ちて来たらアッとゆう間に場外に落とされるだろう。


「でも、安全地帯はありますよね、先生!」


 ロレンタの土の壁と氷の壁はグレンの魔法を防ぐ為だけのものではなかった。

自分が作った滝で自分が流されないように壁を配置していた。

グレンはそれに気が付いていて、壁の内側に入って滝をやり過ごした。

舞台の周りは水で一杯。ちょっとした池だ。


「おかしい、グレンが賢い!」


「本当にね。普段の言動はアレだけど優秀は優秀なのね」


 もしかしてアレンとエレンも実は優秀なんだろうか。

考えてみれば本戦までは勝ち残ってるんだし、それだけでも充分優秀なのか。


「よく気が付いたじゃないか、グレン。それに周りをちゃんと見て安全地帯を見つける事も出来た。成長したね」


「先生の教えですからね。覚えてますよ。戦場の状況と環境を把握する事。基本だと。あと、先生が防戦一方で大人しくしてるなんてありえませんよね」


 本当にどうしたグレン。

今の君は非常に優秀な魔法使いに見えるぞ。

普段のバカな姿が嘘のようだ。


「さぁ続きをしましょう先生。私は勝ちます。勝ってジュン様と先生を手に入れるとします」


 あ、やっぱりバカだった。

ちょっと安心した。


「そういうとこがなきゃ少しはモテるだろうに。まぁいい。続きをやろうじゃないか」


 今度は壁を使って防ぐのではなく魔法の打ち合い合戦を始める。

魔法の打ち合いはロレンタに分があるようだ。

ただ打ち合ってるように見えても的確に魔法を当てる技術がロレンタにはある。

技術はロレンタがやはり上のようだ。


「さて、グレン。悪いがそろそろ終わりにしようじゃないか」


「まだまだ、私はまだ戦えますよ、先生」


「いいや、準備が出来たんでな。終わりだ」


 突然、舞台の周りにあるロレンタが作った池から何かが出て来る。


「あれはゴーレムだな。魔法で作られた人形だ」


 自分の魔法で出した水で作ったアイスゴーレムを五体。

細身の全身甲冑を着た騎士のような姿をしている。

ゴーレム五体が一斉にグレンに直接攻撃を仕掛ける。

同時にロレンタ自身も魔法攻撃を再開する。


「魔法部門は武術や武器を使っての直接攻撃は禁止じゃなかった?」


「ああいう、魔法で作り出した物を使っての攻撃は許されてる。つまり合法だ」


 アイスゴーレムの複数同時攻撃とロレンタの魔法に押され防ぎきれなくなったグレンは遂に敗北する。

いや、頑張った。思ってたよりずっと強かったよ、グレンは。

少しばかりバカ三兄弟を見直したよ。


「くっ、申し訳ありません、ジュン様!次こそはジュン様の夫になる者として相応しい結果を示して御覧に入れます!」


「だから君らと結婚は出来ないってば。性別的に」


 例えバカでもボクと結婚を狙ってたり気に入った者なら男でも女でも~なんて事がなければ親衛隊に勧誘してもいいくらいの力量を示したというのに。残念な人達。


 残る第三、第四試合ではフレデリカとシルヴィさんが順当に勝ち進んだ。

魔法部門のベスト4が決まった。

次の対戦は無口っ子vsロレンタ。

注目の一戦だ。

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