第67話 武闘会 三日目と四日目
武闘会本戦三日目。
今日で武術部門のベスト16が決まる。
師匠・クリステア・ルチーナの三人はブロックが違うからつぶし合う事はない。
ステファニアさんに仮面の少女も決勝トーナメントまで行くだろう。
他に注目なのは王都の予選に出てたハーフエルフの女性。
名前はフィーリアさん。
何かの紋章を持ってると思うのだけど何かはわからない。
最初はそれほどでもないように思ったのだが試合が進む度、実力が見えてきた。
いや、実力が上がって来た?
他に剛槍の紋章を持った男性。
普通の槍より大きく長い槍を使う。
ただそれだけの槍ではないようだ。
「見た限りではそのくらいかな?注目株は」
「うーん。そうだね。そのくらいかな」
意外に少ないな。
武術部門で親衛隊に勧誘するのはフィーリアさんくらいだろうか。
ステファニアさんを勧誘するわけにはいかないし仮面の少女は外国の人みたいだし恐らく勧誘してもこない。勘に過ぎないけど。
あと注目とはちょっと違うけど。
「ジュン様ー!あたしが勝ったら結婚してねー!」
「わたしと新婚生活を楽しみましょ~!」
多いな~婚活女子とオカマさん。
我が国は一体どうなってるんだ。
いや、他国の人も参加してるからウチの国とは限らないけども。
「お父さん、なんだかオカマさんと婚活女子多くありませんか」
「あ?ああ、まあ確かにな。オカマが多いのは今、ここに集まってるからそう感じるだけだ。なんでか冒険者がオカマになる、あるいはオカマが冒険者をやる事が多いんだ。婚活女子が多いのは我が国じゃ男より女のほうが多いんだ。だから一夫多妻を認めてるんだが殆どのやつが一夫一妻だからな」
そうだったのか。
オカマさんが多いの理由は正確な事はわからないが、婚活女子が多いのはそういう事か。
いや、しかし・・・
「ぜぁあああ!」「せえええい!」「ハァ!」
あの筋肉女性を見てるとそれだけじゃない気がしてくるな・・・。
「お見合いパーティーとか開くといいかもしれませんね」
「お見合いパーティー?」
「ええ。結婚相手を探してる男女を集めてパーティーを開くんです。その場に集まるのは結婚相手を探してるってわかってるわけだからお互いの目的は一致してる。カップルが成立しやすいってわけです」
「なるほど。参加費をとればいい商売になりそうだな」
日本でもあった商売だが女性のサクラが多かったとも聞く。
やるならサクラなしの健全な商売にしてほしい。
「お、出た、仮面少女」
「機嫌は直ってそうね」
出て来た仮面少女はこちらを見て手を振ってる。
確かに機嫌は直ったようだ。
ボクも合わせて手を振っておく。
「しかし、ほんとに懐かれてるわね、ジュン君」
「なんででしょうね」
心当たりはないんだけども。
「で、対戦相手は、と」
「あ、王都で予選に出てた婚活女性」
婚活女性の武器はトンファーだ。
開始、即全力で猛攻を加えて速攻で相手を沈めるのが彼女の戦闘スタイルだ。
「ちい!当たらない!」
対する仮面少女はその猛攻を全て躱し捌いている。
そして女性の動きが止まったほんの一瞬にボディに膝蹴り頭に回し蹴りそして両手で掌打を放ち場外に落としてしまう。
武器を使う事なく勝ってしまった。
「いや~強いね。それに優しい子みたい」
「優しい?」
「一見、容赦なく攻撃してるみたいに見えるけど、出来るだけ相手が怪我しないようにしてる。手加減してるって事だし実力差があって初めて出来る事だけど、相手の怪我とか気にせずに倒すほうが楽に決まってる、でもあえてやってる。相手を舐めてるとかバカにしてるとかじゃない。純粋に気遣ってそうしてる。良い子だよ」
よくわかるな、アイは。
言われてみれば確かに今の倒した女性も怪我はしてない。
これまでの対戦相手も痛い思いはしただろうけど、怪我にまでは至ってない。
ちゃんと手加減してる証拠と言えた。
「ねぇ、あの子、スカウトしたら?」
「スカウト?」
親衛隊にか?
でも武闘会の出場者から親衛隊にスカウトする話はアイにはしてないんだけどな。
「親衛隊でも近衛騎士にでもいい。余所に取られたら勿体ないよ」
「ん~なんとなくだけど、無理だよ」
親衛隊や騎士団に所属するとなれば正体は隠せない。
何故正体を隠しているのかはわからないけど知られたくないから隠しているのだろうから。
「そうかなあ、案外いけるんじゃない?あの子、ジュンを気に入ってるみたいだし。ダメ元で聞いてみれば?」
「だめだ、アイ。得体の知れないやつをジュンの傍に置くわけにはいかないんだ。腕のたつやつなら尚更だ」
父アスラッドがアイを止める。
まあ前もそう言ってたしね。
「う~ん、あの子は大丈夫だと思うけどなあ。悪意は感じないし」
「あの子がいい奴でもあの子に命令を下す存在は悪い奴かもしれないだろ。警戒は必要だ」
そういう事もあるか。
ボクもアイと同感ではあるんだけどね。
「そういう事もあるかも、か。う~ん」
「まあ名前くらいは聞いてみるよ、機会があればね」
それから試合は進み武術部門のベスト16が決まる。
師匠・クリステア・ルチーナは決勝トーナメント進出。
ステファニアさん・フィーリアさん・仮面少女も進出だ。
翌日の四日目。
今日は魔法部門のベスト16が決まる。
魔法部門の注目株は仮面少女の連れ無口っ子。
それに魔法兵団団長ロレンタ。
それからフレデリカとベリンダ、他の街の病院に勤める治癒魔法使い達だ。
自分で回復しながら戦える治癒魔法使いは非常に有利だった。
病院で働いて毎日魔法を使い攻撃魔法の腕も錆びていない。
いや、増しているだろう。
「いや~強いね。治癒魔法使い達」
「自分で傷を治せるってこういう戦いでは非常に有利ね」
「治癒魔法はそれほど魔力消費がそれほど多くないですしね」
「あ、バカ三兄妹の一人だ」
「対戦相手はフレデリカだね」
あれは三男のエレン・ツオーレだったかな。
「ジュン様ー!私が優勝したら結婚してくださいねー!」
「嫌だ。無理だ」
流石、三つ子。
言う事が同じだ。
「やっぱりバカなんだ」「バカだね」「バカなのねえ」
やっぱり満場一致でバカ認定でした。
三男が得意なのは風属性の魔法のようだ。
風の球、ウインドボールを幾つも浮かべ連射する。
ウインドボールは下位の魔法だが目視しにくいため避けにくい。
フレデリカも同じくウインドボールで対抗してるがフレデリカのほうが被弾数が多い。
「フレデリカが押されてるね」
「一見するとね」
だがダメージの蓄積はエレンのほうが深刻だ。
フレデリカは攻撃を続けながら合間に、自身に回復魔法を使いながら戦っている。
こうなればエレンは一気に大火力で決めるしかないがそれだとフレデリカを殺してしまう可能性が高い。
結局、エレンとフレデリカの持久戦はフレデリカの勝利だ。
エレンはフレデリカよりも攻撃魔法においては能力は上だろう。
しかし治癒魔法が使えるフレデリカの方が統合的に上だった。
フレデリカはこれで決勝トーナメント進出が決まり。
ロレンタ・ベリンダ・シルヴィさん・無口っ子も決勝トーナメン進出を決めた。
明日は五日目。武術部門の決勝トーナメント開催だ。




