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第61話 予選開始

親衛隊志願者の選考も終わり。

当初の予定の百名を大幅に超えた七百名で親衛隊は設立された。


隊長はボクの師匠でもあるカイエン。

副隊長にクリステアが選ばれた。

なんだかんだで彼女は優秀なのだ。

非常に残念な一面があるが。

そんなクリステアが暴走しないようにルチーナもいる。

ルチーナには頑張ってもらいたい。


リディアさんも結局親衛隊に選ばれた。

今は訓練をしつつ親衛隊の備品や装備品等の倉庫管理を任されている。

怪力の紋章を持つ彼女には倉庫整理くらい苦ではないのだ。


しかしボクと同じ十二歳のリディアさんが親衛隊っていいのだろうか。

まだ未成年、子供のはずだが。

そう思って父アスラッドに聞いてみた。


「あ、年齢制限掛けるの忘れとった」


との事だった。

ダメじゃんパパ上。


そして春が来た。

各地で武闘会の予選が始まっている。

今日は王都でも予選が行われていて試合を見学中だ。


「あの槍使いは中々ね~。ジュンには劣るけど」


「そうだね~お兄ちゃんには劣るね」


「あちらの戦斧使いの男も中々です。もちろんジュン様に勝る事等有り得ませんが」


「あっちの剣士の人も強そうですぅ。でもジュン様のほうが強そうですぅ」


皆が予選会場でボクより強そうな人物を探しているのには訳がある。

ママ上がやらかしてくれたのだ。


事の始まりは先週。


「お兄ちゃんは本当に武闘会に出ないの?」


「出ないよ。大体もう締め切られてるし」


「う~。つまんないなぁ」


「お母さんも見たかったわ~。ジュンが活躍する姿」


「ウチも。自分で出れないならせめて愛する人のカッコいい姿は見たいな」


「そう言われてもね。大体ボク、武闘会って柄でもないでしょ」


中身は至って穏やかなつもりだ。

そりゃ生まれ変わってから戦う力を身に着けて来たけども。


「ん~、あ、そうだ~。ねぇジュン~」


「はい、なんです?」


「二戦だけなら武闘会で戦ってもいい?」


「はい?どういう事です?」


「武術部門の優勝者と魔法部門の優勝者とジュンが戦うの~。特別戦って形で」


「えええ?」


「いいじゃない、それ!」


「エキシビジョンマッチってやつね!」


ユウとアイはノリノリだ。

やるのはボクなんだけども?


「そんなの優勝者が納得するんですか?」


「別にジュンと戦って負けても優勝が取り下げられるわけじゃないわ~。余興の一環よ」


ユウとアイはキラキラした目で見つめて来る。

そんなに見たいかね。


「はぁ…わかりましたよ」


「「やったー!」」


「んふふ。ありがとうジュン」


「告知とかお母さんに任せますけど、あまり派手にはしないでくださいね?」


「任せて~、うふふ」


まあ仮に負けても相手は武闘会の優勝者だ。

恥にはならないだろう。


こうしてママ上に任せたのが先週。

そして発覚したのが昨日。

ママ上がボクと優勝者の特別戦を新たに追加する事を告知したチラシを持ってきたのだ。


「できたわよ~ジュン。こういう事だから頑張ってね~」


「はぁ。チラシですか」


「お兄ちゃんと優勝者の特別戦の告知と・・・ちょっとお母さん、何コレ!」


「ジュンとの戦いに勝利した場合、ジュンが出来る範囲で勝者の望みを叶えます?ちょっと御義母様!?」


「こうでもしないとジュンってば本気でやらなさそうだもの~。負けても問題ないとか考えてたでしょう?」


うっ。

偶に鋭いなママ上。


「でも、だってこれ、優勝者が女性だった場合嫌な予感がしませんか?」


「そうよ!お兄ちゃんと結婚とか望まれたらどうするの?」


「ん~そうねぇ、その時はシャンゼちゃんとアイちゃんがいるし三番目の婚約者って事でいいんじゃない?」


「いや、ダメでしょう!?」


武闘会を優勝するような女性と結婚?

プロレスラーのようなごつい人が出て来そうな気がしてならない。

魔法部門のほうはまだ希望が持てそうだが、だからって結婚したいわけじゃない。


「まぁまぁ。勝てば問題ないのよ?頑張りなさい~」


ニコニコ笑いながら去っていくママ上。

何て事をしてくれたんだママ上。

親衛隊の件もひと段落してしばらくは落ち着けると思ってたのに。


「ジュン!特訓しましょう!武闘会本戦まではまではまだ時間があるから!特訓だよ!勝てばいいんだから!」


「そ、そうだな勝てばいいんだ。そもそも相手が女性と決まった訳でも相手が結婚を望むとも決まった訳じゃないしな」


「そうだね、お兄ちゃんの言う通り!でも特訓はしよう!」


そうこの時はこう考えていた。

相手が女性とは限らない。女性でも勝てば問題ないと。

甘かったー。


「それではこれより武闘会予選を開始します!」


王都の会場での武闘会予選が始まった。

ボク達は貴賓席で見学だ。

今日はいつものメンバーに両親とセバスン、チビッコメイド達四人も来ている。

ハティ含むフェンリル一家は興味がないようで来ていない。


「それからみなさん既にご存知かと思いますがー!予選を突破し本戦で優勝すると!我らが魔王子!ジュン様と対戦する権利が得られます!もし勝利すれば!ジュン様がどんな願い事でも叶えてくれるそうですよ!気合いいれてください!」


「「「ウオオオオオオオ!!!」」」


おいいいいいいい!

な~に言ってんだあの司会!

なんでも叶えられるわけないだろう!


「因みに魔王様一家が貴賓席で見ておられます!ジュン様ももちろん来てらっしゃいますよー!」


「「「ウオオオオオオオ!!!」」」


うおおおう。

凄い視線を感じる。

王都の予選に参加する人数は数百人。

数百人の視線の圧力って凄いな。

てゆうかあの司会見た事あると思ったらウーシュさんじゃないか。

何やってんだあの人。


「あの司会、冒険者ギルドの受付嬢のウーシュさんじゃないか。何で?」


「バイトだよ。武闘会の次期は冒険者も参加するからギルドは多少暇になるんだ」


「おう、ラルク。来たのか」


「ギルドマスター、失恋の傷は癒えたんですか?」


「ぐぅ、お嬢ちゃん、そこは触れないのが優しさってもんだぜ」


アイの問に涙声になるギルドマスター。

完全復活はまだまだかかりそうだ。


「そ、それよりよ、参加者の声に応えてやれよ。色々言ってんぞ」


「声?」


確かに参加者がこっちに向かって叫んでる。

声が重なってよく判別できないけど。

いくつか分かったのもある。


「ジュン様ー!私が勝ったら結婚してー!」


「私が勝ったら一晩私のモノになってー!」


とかが女性参加者の声だ。

そして考えが甘かったと認識したのは男性参加者の声でだ。


「ジュン様ー!俺が勝ったら俺の娘と結婚してもらうぜー!」


「俺が勝ったら妹を嫁にもらってくれー!」


そうなのだ。

男性に負けても結婚を要求される可能性はあったのだ。

自分の血縁者との。

そしてそれより問題なのがいる。


「ジュン様ぁ~ん!あたしが勝ったらあたしを御嫁さんにしてねえええん」


「ダメー!ジュン様の御嫁さんになるのはあたしよ~ん!」


「あぁ!?んだごらぁ!」


「やんのかごらぁ!」


ボクは想像以上の状況の悪さに絶句する。

もしあのオカマさんが優勝したら・・・

どうしよう手加減せずに吹き飛ばしてしまいそうだ。

そして極めつけの存在を確認してしまう。


「ちょっと、やだ。嘘だよね。ほんとやだ、誰か嘘だと言ってよ」


認めたくない存在が参加者の中にいるのを確認してしまった。

なんであの人が参加してるの?


「ジュン、どうかしたの?」


「お兄ちゃん、どうし、あ」


「おお?ステファニアじゃねえか。あいつも出てたんだな」


「あらステファニアちゃんだ。頑張ってね~ステファニアちゃ~ん!」


ママ上の声に気付いて応えるステファニアさん。

どうしてあの人がここに。

今回ばっかりは参加して欲しくなかった。


「ジュンちゃ~ん!私、頑張るから~!私が勝ったらセバスンちゃんとセバストちゃんを貸してね~!三ヵ月くらい~!」


息を呑み顔を青くするセバスンとセバスト。

ごめん、ボクが狙いじゃないとわかって、ちょっとホッとしちゃった。


「お父さん、ステファニアさんの実力ってどのくらいなんですか?以前自分で腕っぷしはダメだとか言ってましたが」


「んん?そんな事言ってたのか。あいつは強いぞ?冒険者として護衛した事は何度かあるが正直護衛なんていらねえんじゃねえかってくらいにはな」


「そうねえ振り下ろすハンマーの速度がとんでもなく早くて腕力もあるから凄い威力なのよねえ。ただの石の塊なら一振りで砂になっちゃうわ」


何それ、凄すぎない!?


「この参加者の中じゃ見た感じ・・・群を抜いてるな」


「予選は楽々突破でしょうねえ~」


やはりそうなのか。

初めて会った時から強いんじゃないかとは思ってたけども。


「ジュン様」


「セバスン?」


「ジュン様、もしもステファニアさんが優勝したら必ずステファニアさんに勝ってください。後生でございます」


「オレからも頼むぜ、ジュン様。あの人にだけは負けないでくれ」


「う、うん」


セバスンとセバストの眼は真剣だ。

自分の貞操の危機だからな、無理もない。

ボクも全くの他人ごとではないし。


「う~ん、ティナはあの人とセバスンさん達の絡みは邪道だと思うの」


「私も。正直気持ち悪いだけっていうか」


「あたいもだな。男は男らしくしてほしいぜ」


「やっぱり王道はジュン様xセバストさんだよね」


非常に気になる会話がチビッ子メイド達から聞こえてくる。

誰だこの子達にそんな世界を教えたのは。


「ジュン様!ご安心ください!私が優勝すれば何も問題ありません!」


「あんまり安心できないと思うよ、姉さん」


そう叫ぶのはクリステアだ。隣にルチーナさんもいる。

正直、クリステアが優勝しても不安はあるがオカマさん達が優勝する事を考えたら・・・。

応援しよう。


「頑張れ!クリステア!今回ばっかりは応援しよう!」


そう、今回ばかりはな!


「いやいや、ジュン。優勝候補はまだいるぜ。そっち応援するほうがいいんじゃないか?」


「優勝候補?」


「ああ。ほれ、あそこ。カイエンがいるだろう」


師匠が出てるのか!


「本当だ!師匠だ!流石師匠!弟子の危機を救いに来てくれるなんて!」


師匠が輝いて見える!


「いや、お前との特別戦は参加受付の締切後に決まったんだから関係ないだろう」


パパ上が何か言ってるがそこは大して問題じゃない!

重要なのは師匠が参加しているという事なのだ!

師匠が出てるなら優勝候補の一角なのは間違いない。

やばい人達が師匠に当たって負けてくれるのを祈ろう。


ほんと、頑張ってくださいね、師匠!

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