表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
596/604

兄vs妹 2

「でさ、ノエラさん」


「何ですか、クー」


「グリーンマウンテンバッファローの情報をくれよ。マウンテンバッファローの変異種だとは聞いたけどさ」


「言ってませんでしたか?」


 私も聞いてない。目的からして、美味なんだろうけど。


「グリーンマウンテンバッファローは通常のマウンテンバッファローと比べて少し小さいそうです。それでも8メートル前後の巨体ですが」


「え。小さいんだ。意外」


「意外なのー」


「そして背中には草…香草が生えているそうです。グリーンと名が付いた理由ですね」


 ああ、なるほど。

背中に緑の草が生えてるからグリーンマウンテンバッファロー…わかりやすい。


「でも…香草?もしかしてその草が目的なんですか?」


「半分はそうですね。グリーンマウンテンバッファローは通常のマウンテンバッファローに比べ小さい。その分、肉も旨味が凝縮されているらしくとても美味。更に背中の香草と相性が良く、肉を香草で包み一日置くと肉の臭みが消えて肉質も良くなるとか」


「おいしそう…」


 ハティちゃんが話を聞いただけで涎を…ちょっとはしたない。


「そっかぁ。つまり背中の香草と肉を出来るだけ傷付けずに仕留めないと駄目なんだなぁ」


「そうなりますね」


「じゃあ…リリーさんの出番ですね」


「リリーさんの弓で急所を狙い撃ちなのー」


「頑張るですぅ。ね、ウルさんも頑張るですぅ」


『了解だよ』


 リリーさんの弓ならマウンテンバッファローの急所を穿ける…はず。

私だと炎で倒す事になるし、ティナさん達は使う得物が小さくて傷を少なめに倒すのに不向き。

ハティちゃんも同じ。

ミースさんは…どうなんだろう?


「ところでミースさんは騎竜…ワイバーンは呼び出さないんですか?」


「呼び出せなくはないですけど…」


「今回は止めてください。ワイバーンはどうしても目立ちますし、山に居る魔獣を不必要に刺激する事になりかねませんから」


 それもそっか。この辺りにはワイバーンはいないらしいし。


「あの、ノエラさん。グリーンマウンテンバッファローが美味しいのはわかりましたけど、他に情報はないんですか?強さとか、能力とか」


「そうですね…巨体故にパワーはあります。小さくても通常のマウンテンバッファローよりもパワーはあるそうですから突進攻撃には注意が必要です。あとは…口から幻惑効果のあるブレスを吐くそうですが、私達の装備なら抵抗出来るでしょう」


 ルーさんの質問にノエラさんは淀みなく答える。

私はグリーンマウンテンバッファローなんて、ノエラさんから聞くまで知らなかったけど。

ジュン様のメイド長って魔獣の知識も豊富じゃないとダメなのかな。


「ふ〜ん…で、ノエラさん。此処にいるのは確実なのか?」


「昨晩、冒険者ギルドに行って情報を集めました。此処が最も可能性が高い場所の筈です」


「でも…この辺りには大きな魔獣が歩いた形跡がないのー」


 私達が居るのは山の中。

当然周りは木で一杯。巨体のマウンテンバッファローが通ったなら木々は倒れてる筈。

足跡も無いし。


「確かに…もう少し奥へ行きましょう」


「はーい…あ、皆!魔獣が来るよ!多分蛇!」


「上ですぅ!」


 ハティちゃんとリリーさんの突然の警告。

襲って来たのは…アサシンスネークだ。


「あたいらに任せろ!」


「クーちゃんは右のをお願い!」


 ルーさんとクーさんが素早く動いた。

上から落ちてくる二匹のアサシンスネークに対して二人とも空中で迎撃。

鉤爪でバラバラに引き裂いた。

確かアサシンスネークって討伐難度Aの魔獣。

それを瞬殺出来るメイドって…人の事言えないけど。


「「いえ〜い!」」


「中々成長してるようですね。ですが返り血を浴びたのは減点です。アサシンスネークは血にも毒がありますからね。注意しなくては」


「「う…はい…」」


 中々厳しい…返り血を浴びたと言ってもほんのちょっとメイド服にかかっただけなんだけど。


「で、でも凄いですよ。アサシンスネークを瞬殺なんて」


「そうでもねぇよ」


「アサシンスネークは接近に気付くのが難しいだけで、襲って来る前に気付く事が出来れば倒すのは簡単だよ」


 と、言いつつも。

褒められた二人は満更でもなさそう。

特にルーさんは尻尾が揺れてるし。


「それじゃ、進みましょう」


「えっと…どっちに向かうですぅ?」


「そうですね…此処から北北西に向えば小さな湖がある筈です。そこへ行ってみましょう」


 そして二時間後。目的地の湖に到着。

一つ目の山を越えた盆地にあった。

湖はこの辺りの魔獣が集まる水飲み場なっているみたい。

魔獣だけじゃなく、普通の動物達も集まってる。


 私達はその様子を岩陰から見ていた。


「此処まで来れる冒険者や狩人には美味しい狩場かもしれないですね」


「鹿に猿…熊。鳥も一杯ですぅ」


「危険な魔獣も居るから、狩り目的で此処まで来る人は居ないでしょうけど」


「わたし達が来てるのー」


 確かに魔獣や動物が集まってるけど、もっと浅い場所でも見られる魔獣ばかり。道中はアサシンスネークも居るし。

確かに明確な目的が無いと此処まで来る人はいなさそ。


「で。肝心のグリーンマウンテン…長ぇからグリーンでいっか?」


「いいと思うの」


「そうですね…では今後は目標をグリーンと呼称する事とする!」


「「「「………」」」」


 えっと…何だろ、今の。

非常にノエラさんらしくないセリフ。

リリーさんとハティちゃんは何か生暖かい眼でノエラさんを見てるけど。

ノエラさんは真っ赤になってるし。


「…リリーさん?説明してもらっても…」


「ジュン様の真似…ですぅ。多分…」


『うん…以前似たような事言ってたねぇ…ジュン君が』


「うん。言ってた」


「「「「ああ…」」」」


 そうなんだ。多分一回だけじゃなく、何回か言ってるんだろうなぁ。

で、ノエラさんも言ってみたくなったと。


「え、ええ〜と…ま、マウンテンバッファローは見えますけど、グリーンは見えませんね」


 ミースさんが空気を読んでくれた。

流石は常識人っぽいだけある!


「んんっ…そう、ですね…グリーンは見えませんね」


「どうします?更に奥まで行きます?」


「まだ日が暮れるまで時間はありますけど」


「そうしましょう。取り敢えず反対側の山へ……」


「右後ろから何か来るよ!」


「大っきい何かが来ますぅ!」


 右後ろって…湖に続く山間を流れる川しか…って、川から何か出てきてる!


「って!もしかしてアレがそうなんじゃねぇの!?」


「背中に草がありますよ!」


「間違いありません!アレがグリーンです!」


 川から出てきた魔獣はグリーンだった。

もっと普通に出てきてくれればいいのに…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ