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双剣を求めて 10

「お!来たな!」


「時間ピッタリね」


「おはようございます」


「ああ、おはよう」


「今日はよろしくお願いします」


 ミカエルさん達「フローレス」の人達と合同でケルベロス討伐をする事を決め、ギルドで依頼を受けた翌日。

私達の馬車で現地近くにある村まで行く事に。


「中々に広い馬車ですね」


「わ、私達まで乗せてもらって…助かります」


 いつもなら王子の為の食糧でいっぱいなんだけど。

食糧の補充前だったし、王子用の剣も此処に来るまでで結構消費したからヤーマンを出発した時より馬車の中は広々としてる。

村までは夕方までには着く距離にあるらしく、村で一泊してからケルベロス討伐に山に入る予定だ。


「あ、あの…」


「何です?」


「戦闘時の話なんですけど、私達は私達、そちらはそちらで勝手にやる…という形で宜しいですか?」


「ん?それじゃ合同でやる意味が…」


「も、勿論、最低限の協力はします。でも…」


「あたいらは会ったばかりのあんたらと上手く連携とか出来そうにねーし」


「アタシ達が何が出来るか、何が出来ないか。全くわからないでしょ?」


「逆に私達もそちらの事を全然わからないわけだし」


 …無理に連携をとろうとするより、最低限の協力だけしてお互いに自由に動こう、て事ね。


「ふむ…その方が気楽ではあるか」


「いいんじゃない?でもお互いに、パーティー内での役割くらいは事前に説明しません?」


「ですね…じゃ、じゃあ私達から」


「あたいは見ての通りの剣士!パーティーの切り込み役だ!」


 ウリエルさんは見た目通り。身軽そうだし、スピード重視の剣士かな。


「アタシは魔法使いよ。治癒魔法以外なら大体の魔法が使えるわ。後方から魔法で攻撃と支援がメインね」


 ラファエルさんも見た目通り。

赤いローブに長杖。ターニャと同じで魔法専門か。


「私は斥候。戦闘時は短剣で戦う事になるわ」


 ガブリエルさんは私と同じ斥候…でもせっかちな人に斥候役って…出来るのかしら。


「わ、私はパーティーの壁役です…大抵の攻撃は耐え切る自信があります…」


 ミカエルさんは大盾を持ってるだけあってパーティーの守りの要らしい。

四人とも装備から推察出来る通りの役割らしい。


 ま…実は昨日、彼女達と別れた後に可能な限り彼女達の情報は集めて知ってるんだけどね。


「じゃ、私達の番か。私と爺さん、御者をしてるブロイドは前衛役だ。私は双剣。爺さんは槍。ブロイドは戦斧だ」


「へぇ?という事は王子さんは『双剣の勇者の紋章』持ちってわけだ」


 自分と同じ双剣使いと聞いてウリエルさんが王子に興味を持ったみたい。

あの顔は…後で手合わせしようとか言い出しそう。


「私とターニャちゃんは魔法使いよ〜。ターニャちゃんは攻撃魔法と補助魔法が得意で、私は中位までだけど治癒魔法が使えるのぉ」


「あら。治癒魔法を?」


「それは良いわね。アタシ達は怪我したら高価な魔法薬を飲むしかないから」


「変な人に狙われたら面倒だから〜秘密にしてねぇ」


 治癒魔法使いが貴重なのはアカード帝国でも同じか。

噂のエルムバーン魔王国の魔王子が治癒魔法使いの育成法を確立して、エルムバーン魔王国と交渉して育成法のノウハウを分けて貰った国では治癒魔法使いが増えてるらしいけど。

まだ、この辺りの国では中位の治癒魔法使いは貴重だし、カトリーヌが狙われる可能性はある。


「私は斥候と情報収集が仕事。簡単な罠なら解除出来ます」


「情報収集…ね。私達の情報も集めた?」


「…少しだけ」


 もしかして彼女達の事を調べたのはバレてた?


「気に触りましたか?」


「いいえ。問題無いわよ」


「あたい達、アルカンタラじゃそこそこの有名人だしな」


「逆に私達も貴方達…というよりヤーマンの王子についての情報を集めたりしたしね。大した事はわからなかったけど」


「よ、よく知らない相手を警戒するのは当然ですから…気にしないでください」


「あと、あたいらに丁寧な言葉はいらねーぞ」


「私達も王子様に丁寧な言葉を使ってないわけだしね」


 他の王子相手だと問題になりそうだけど…まぁいっか。


「ところで…王子様達はどうして旅を?」


「王子が居るにしてはお供が少なすぎよね」


「ああ…実は…」


 私達が旅に出る事になった経緯をミカエルさん達に説明。

私達の事を調べたらしいけど、旅の目的は調べられなかったみたいだ。


「というわけで…ウリエルさん。剣を見せてくれないか?」


「あたいの?いいけど…王子の剣には出来ないと思うぜ?」


 ウリエルさんの剣は小剣。

私にはそれなりに良い剣に見えるけど…


「王子、どう?」


「うん…ダメだな。良い剣だけど私の力に耐えれそうにない」


「だろうな。あたいの剣は純ミスリル製だから。王子の話だと、欲しいのは最低でもミスリルとアダマンタイトの合金製だろ?」


「うん。出来ればオリハルコンも混ざってるのがいいな」


「オリハルコンの剣ならミカエルが持ってるわよ」


「「「「え」」」」


 ミカエルさんの剣がオリハルコン製?

え?ほんとに?


「ミ、ミカエルさん?良ければ…」


「だ、ダメです」


「…最後まで言ってないが…」


「ゆ、譲るのはダメです。これは私に剣を教えてくれた人から譲り受けた剣で、今となっては形見の品です。絶対に渡せません」


「そ、そうか…」


 初めて会った時から何処か怯えた感じのミカエルさんからの強い拒絶…流石の王子もアッサリ引いちゃった。

まぁ…形見の品とまで言われちゃあね…


「なら…私が使えそうな剣に、心当たりとかないか?」


「王子が使えそうな剣について、ですか…」


「あ!ある!一つだけあるぜ!」


「ウリエル?適当な事言わない方が良いわよ?」


「あんたには記憶力なんて期待出来ないんだから。今朝見た夢と勘違いしてたりしない?」


「何だとぉ!」


 そう言えば私達の事もうろ覚えだったような…でも一応…


「ウリエルさん、教えてくれる?」


「お?…おう!エルムバーン魔王国の魔王子も双剣使いらしいんだけどな。その魔王子が持つ剣はすげぇ綺麗な剣だったらしいぜ」


「あ。ああ〜……有ったわね、そんな話」


「去年の話よね?よく覚えてたわね」


「あったりまえだろ!何せあたいらの恩人の…」


「ウリエル」


「おっと…何でもねぇ」


「…?」


 何かしら?言いたくない事なら無理強いするつもりも無いけれど…


「ふうん…エルムバーンの魔王子…」


「ねーえ?アカード帝国からもエルムバーン魔王国は遠いじゃない?私達もエルムバーンの魔王子の噂は少しは聞いてるけど〜魔王子が持ってる剣の話なんてよく知ってたわね〜?」


「ああ…えっと…」


「…私達がお世話になった人はエルムバーン出身の方で。もう一度会って御礼が言いたくて、エルムバーンに関する噂話とか、集めてたんです」


「魔王子の剣なんて関係無いから忘れてたんだけど」


「あたいはほら、同じ双剣使いだし」


「それにしたって…魔王子の剣の噂なんてあったかしらぁ?」


「ああ、噂にはなってねえな。でも、あたいらは魔王子の剣を近くで見たって奴から聞いた話たから。法螺話をする奴じゃないから、信憑性はあると思うぜ?」


「近くで見た?」


「ああ。アルカンタラの割と親しい冒険者仲間からな。そいつが仕事でエルムバーンの王都まで行った時にアーミーアントの討伐依頼があったらしいんだわ。知ってるか?アーミーアント」


 アーミーアント…確か人並に大きな蟻が組織立って行動する事から付けられた名前で、一匹一匹は大して強くないけど、数が膨大。

巣があるなら最低でも数千匹は居ると言われてる…


「でな?その時王都に居た冒険者のほぼ全員に参加要請が出されたらしいんだけど、その魔王子もアーミーアント討伐に参加してたんだってよ」


「長剣と小剣の組み合わせで…小剣の方は変わった形の剣だったとか言ってたわね」


「そ、その人の目利きによれば…アレは純オリハルコン製の剣で、神様の祝福を受けてたとしても不思議じゃないくらいに綺麗で凄味のある剣だったとか…」


 純オリハルコン製の剣…それが本当なら、とんでもない価値のある剣の筈。交渉して譲って貰えるなんて思えないけど…


「ダバちゃんはどう思うの?」


「そうだな…どうせ目的地はエルムバーンの王都なんだし…会いに行ってみるか」


 やっぱり、そうなるわよね…エルムバーンの魔王子…会う事になるのかぁ。

…正直、ちょっと興味はあったし、エルムバーンに行くなら会えるかもとは思ってたけど。いざ会いに行く事が決まると…ちょっとドキドキするわね…

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