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双剣を求めて 8

 どうしようか。ウリエルさんは顔見知りではあるけど、事情もわからないまま喧嘩の仲裁に入る程の仲でもないし…あっ。


「上等だ!喧嘩売ろうってんなら…あたっ!」


「おうよ!買ってもらおうじゃ…いでぇ!」


「いい加減にしなさい!喧嘩は御法度だって、知ってんでしょ!」


 喧嘩を始めた二人をナタリーさんがゲンコツを落とした。そんな事して大丈夫なのかな…火に油を注ぐだけじゃ…


「ナ、ナタリー…わ、悪かったよ…」


「け、喧嘩なんてしねぇさ…ちょっと熱くなっただけで…」


 あらら。あんなに荒れてたのにナタリーさんの一喝で大人しくなっちゃった。


「お母さん、凄いでしょ?」


「あ、うん…凄いわね、冒険者同士の喧嘩を止めるなんて」


「お母さんも冒険者なのかしら〜?」


「ううん。お母さんは昔からこのお店で働いてて、このお店の常連さんは皆お母さんにお世話になってるから頭が上がらないんだって、店長さんが言ってた」


「あ、ここお母さんのお店じゃないんだ?」


 話の流れからして、ナタリーさんのお店だとばかり。


「じゃあお世話になってるって?」


「えっと…駆け出しの冒険者さんてお金が無くてお腹を空かせてる人が多いんだって!そんな時にお母さんが店長さんに頼んでお店の余り物で食べさせてあげたり、安くしてあげたりしたんだって!今、喧嘩してたお姉ちゃんとおじちゃんもそうだよ!」


 へ〜…それじゃナタリーさんには頭が上がらないのも当然。そしてレベッカちゃんが客に人気なのも納得ね。


「しかし…それにしては…」


「なあに?お兄ちゃん」


「あ、いや…何でもない」


「? あ、私、そろそろ行かなきゃ!お母さん!リーリアと遊ぶ約束してるの!行って来るね!」


「暗くなる前に帰りなさいね!」


「うん!」


 行っちゃった。

ふふっ…子供らしくて、可愛い。


「で?王子。レベッカちゃんに何か思う所でも?」


「ん?いや…そんな風に他人を助ける余裕があるにしてては、レベッカちゃんは痩せてるな、と思ってな」


「あ〜言われてみれば〜?そうかも〜」


「…確かに。少し痩せてるように思う」


「…ナタリーさんも少し痩せてる」


 それは私も思ってたけど…でも…


「下手に二人の事情に首を突っ込むべきじゃないわね。相談でもされたなら別だけど」


「そうじゃのう。それに痩せてはいて、苦労はしているのだとしても不幸というわけでもなさそうじゃ。今日会ったばかりの儂らがとやかく言うべきじゃないのう」


「そうだな…よしっ、さっさと食って冒険者ギルドに行くぞ!」


「まだ食べてるの、ダバちゃんとマルちゃんだけよ」


「…早く行かないと、また良い依頼が無くなる」


「私は仕方無いでしょ!」


 昼食を終えて。ナタリーさんに挨拶してから冒険者ギルドへ。因みに私達が食べ終わって店を出る頃には「フローレス」の面々は居なかった。


「で。やっぱりこの時間だと…」


「良い依頼は残って無いわねぇ」


「トロープス魔王国までの商団の護衛……これはダメだな。戻る事になるし、拘束期間が長すぎる」


「…これは?スティンキースラッグの討伐。討伐難度C。報酬は金貨五枚」


「お?初めて聞く魔獣だが悪くなさそうだな」


「止めておいた方がよいのう。少なくとも儂はイヤじゃぞ」


「どんな魔獣か知ってるの?ゴードン爺さん」


「うむ。スティンキースラッグはナメクジ型の魔獣で強くは無い。むしろ弱いんじゃが…非常に臭いんじゃ。武器を使えば得物に体液が付着するが、その体液が非常に臭い。思わず愛用の武器を捨てたくなるほどじゃ。服や身体に付いたら最悪じゃな。誰も近付いて来なくなるぞ」


「なら…魔法で退治すれば?」


「それも難しいのぅ。火魔法で焼けば悪臭が煙となって辺りに拡がる。煙の匂いが服に染付くぞい。水魔法や氷魔法には耐性が強く効かない。土魔法だと潰す事になるわけじゃが…肉片が飛び散ったら…」


「もういいわ…」


「人気が無い理由は良くわかったわ〜…」


 でも…そうなると…


「私達が受けれる依頼は…無さそうだな」


「そうね…どうする?王子」


「今日はお休みでいいんじゃなあい?」


「…私もお休みが良い」


「そうだな…仕方無い…ん?」


「あ」


「アンタ達、依頼を探して……ん?どっかで会ったような」


「ウ、ウリエル。交渉は私が…あ、貴方達は…」


 ミカエルさんにウリエルさんが話し掛けてきた。

向こうにはラファエルさんにガブリエルさんが居る。



「ミカエル、知り合いか?あたいもどっかて会った気がするんだけど…どこだっけ」


「わ、忘れたの?ほら先月、雪山で…」


「あ。あー!思い出した!盗賊退治の依頼受けたけど先越された時の!」


「えっと…お、お久しぶりです」


 忘れてたのか…まぁ、いいんだけどさ。

でも、それなら尚更何の用で話し掛けてきたのか。


「…それで、私達に何か?」


「あ、ああ!あんたら、前に会った時にも思ったけど、結構強そうだな。特にあんたと爺さん」


「ウ、ウリエル。私が交渉するから…貴女だとまた喧嘩になりそうだし」


「大丈夫大丈夫!あたいに任せて…あら?」


「はいはい。あんたはこっち」


「あんたは短気なんだから。交渉には向かないわよ。ミカエルに任せなさい」


「何だとこの野郎!お前に言われたくないぞ、ガブリエル!」


「はいはい。良いからこっちに来なさい」


 …ウリエルさんはラファエルさんとガブリエルさんに引っ張られて少し離れた場所へ。

交渉?何だろ…


「…えっと、すみません。お騒がせして。少し、お時間を戴いても?」


「あ、ああ…それは構わないが…何故、盾を?」


「前もそうだったわねぇ」


「き、気にしないでください。えっと…貴方達は依頼を探してる、でも受けれる依頼が無い。それで間違いありませんか?」


「…そうだが?」


「な、なら私達と合同でこの依頼を受けませんか?」


「この依頼って…」


 討伐難度S…ケルベロスの討伐?…嘘でしょ?

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