双剣を求めて 6
囚われていた女性達は全員救出。
盗賊団の頭目は捕縛済。残るは後十名の盗賊だけど…
「おい。情報によるとお前らは三十人規模の盗賊団らしいな。だが此処にいたのは十人。残りはどうした?」
「…仕事に行ったよ。ルジャワ方面とリジャル方面に分かれてな」
想像通り、別行動の奴らいたらしい。
リジャル…この山を挟んでルジャワとは反対側にある街ね。
「どうする?王子」
「女性達や頭目を連れて残りの盗賊を捕まえに行くの〜?」
「そうだな…私と爺さんの二人で始末してくる。十人程度なら二人で十分だ。お前達は此処で…何の音だ?」
突然、入口の方から大きな音が。
何か崩れるような…
「…入口に置いてきた私のゴーレムが破壊された」
「盗賊達が帰って来たのかしらぁ?」
「そうだろうな。よし、此処で迎え撃つ。カトリーヌとターニャは女性達の護衛だ」
「はーい」
「…わかった」
ゴーレムが居る時点で怪しんで逃げ出してないといいけど…と、思っていたけど、その心配は杞憂だった。
何も考えずにダダダと階段を駆け下りる音が聞こえる。
でも人数が少ないような…?
「おらおらぁ!出てきやがれ、盗賊ども!」
「ウ、ウリエル、突入時は私より前に出ないで…」
「それは無理よね。ウリエルには」
「待て、が出来ない脳筋だものな」
「うっせぇ!お前らも似たようなもんだろうが!…ん?」
「「「「……」」」」
入って来たのは四人の女性…冒険者っぽい。
美人だけど…結構荒っぽい人達みたい。
「んだぁ?お前ら…盗賊…じゃないよな?」
「…あー…私達は此処の盗賊団の討伐依頼を受けた冒険者だ。頭目はこの通り捕らえた」
「囚われていた女性達も救けたわ」
「マジか!先越されたのかよ!」
「でも、おかしいわね。誰も受けてない依頼だから、私達が受けたのに」
「そうよね…貴方達、いつその依頼を受けたの?」
「今日の昼だが…」
「昼…?それはおかしいです。私達は朝に受けたのに…」
「もしかして…そちらはリジャルの冒険者ギルドで受けたのでは?私達はルジャワで受けたんですけど」
「あ。あ〜…そういう…」
つまりは同じ依頼がルジャワとリジャルで出ていて。
この場合、本来なら片方で依頼を受注した冒険者が出た場合、もう片方のギルドの依頼は一旦下げられるのだけど…ギルド側の不手際でブッキングしたのだろう。
「チッ!ギルドめ…職務怠慢じゃねーか」
「お、落ち着いて…こういう場合はギルドから謝罪としていくらか貰えるし、依頼は失敗扱いにはならないから…」
「知ってるよ!そういう問題じゃねーの!」
「私達が始末した盗賊十人分の報酬は貰えるでしょうけど…何だかね」
「そうね…ねぇ、もう帰らない?この人達が盗賊団を潰したなら、もう此処には用は無いでしょ」
「ちょ、ちょっと待って。す、少し話があるから」
四人組の一人…全身白で統一された装備の女性が近付いて来る。何故か盾を構えながら。
…何?戦うの?
「あの、そちらのパーティー名を教えてもらえますか。冒険者ギルドでブッキングした事を確認してもらう際に、貴方達の事を説明する必要があって…」
「は、はぁ…それはいいんだが…何故、盾を構えてる?」
「き、気にしないでください…」
いやぁ…無理でしょ。とっても気になるわ。
「…まぁいいけど。私達にはまだパーティー名は無い。今回は爺さん…ゴードン・フンフットの名で受けてる」
「そうですか…わかりました。あ、私達は『フローレス』
。アカード帝国のAランクパーティーです」
「アカード帝国の?」
「それが何故、トロープス魔王国の田舎町で依頼なんて?」
「それにこの依頼はBランクの依頼じゃなかったかしらぁ?」
「…たまたま別の依頼でリジャルに来ていて…盗賊団の討伐依頼が出てるけど、誰も受けてないのを見つけたんです」
「リジャルには腕利きの冒険者パーティーは居ないって話だったし、女が攫われたって話だから受けたんだけどな。とんだ無駄足だったぜ」
「ねー…まだぁ?早く帰りましょうよ」
「アタシもお腹空いてきた」
「えっと…今からリジャルに戻るんですか?」
「それだと〜…途中で夜になるんじゃないかしら?」
「ああ?大ジョブ大ジョブ!走って帰れば夕飯時には着くって!」
「はぁ…走って…」
この雪山を?…タフだなぁ。
「私は走らないわよ。飛行魔法で飛んで帰るから」
「何ぃ!?ズルいぞ、ラファエル!」
「ウリエルも飛べばいいじゃない」
「雪山を飛んで帰ったら寒いじゃねぇか!」
「だからって走って帰るなんて、アタシはやーよ」
「いいから帰りましょうよ。私はもう行くわよ」
「あっ、ガブリエル!もう…あ、あの、それじゃ、失礼しますっ」
白髪で、少し気弱そうな人がミカエル。
緑の髪で気の強い、少しガサツな人がウリエル。
赤い髪で気怠そうな眼をした人がラファエル。
青い髪でせっかちな人がガブリエル。
四人とも美人だけど、癖の強そうな人達…四人とも魔族っぽいかな。
「…何だか忙しない人達だっとわねぇ」
「悪い人達じゃなさそうだけどな…それより爺さん。あの四人、どう思った?」
「うむ…中々の強者じゃのう。儂とダーバ坊と良い勝負若しくは互角…少なくともマル嬢達じゃ相手にならんじゃろ」
「え…」
「やっぱりか」
「……」
あの四人が?そりゃAランクの冒険者なら強いんでしょうけど…
「ふ〜ん…ねぇ、あの人達アカード帝国の冒険者なのよね?」
「…そう言ってた」
「ならぁ、アカード帝国でばったり再会したりしてぇ」
「有り得ない話じゃないが…早々無いだろ、そんな偶然」
ん〜…私もカトリーヌと同じで、そんな気がする。
それも厄介事に巻き込まれそうな…




