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双剣を求めて 4

「寒いわね…」


「私達は雪に慣れてないものねぇ…」


「…温かいシチュー食べたい」


 私は今、カトリーヌとターニャの三人で盗賊が出る山道に来ている。山に出るなら山賊と言った方がいいかもしれない。


「どうせなら早く出て来てくれればいいのにねぇ」


「多分、あそこを曲がった先だと思う。襲ってくるなら」


「あら、どうして?」


「山陰に入るからね。此処らだと、街や街道から見えるもの」


 私達三人だけで、歩いてる理由。

至極簡単、囮だ。この広い山を雪の中六人だけで盗賊のアジトを探し周るより、向こうから来て貰った方がラクだから。


「でも〜…囮ならダバちゃん達でも良かったんじゃないかしらぁ。いくら私達が美人だからって、女の子を囮にしなくってもねぇ」


「仕方無いわよ。王子はともかく、ブロイドは足遅いもの。爺さんは長距離を走らせるのは不安だし」


「…私も脚は速くない」


「ターニャとカトリーヌは飛行魔法で飛べばいいのよ」


「あ、そっか〜。でも飛んで逃げたら追いかけて来ないんじゃない?」


「そうね。だから地面スレスレを飛んで頂戴」


「…難しそう」


 飛んで逃げたら雪に足跡が残らないからそれに気付かれたら厄介だけど…その時はその時ね。


「…マルレーネ、カトリーヌ」


「来たみたいね」


「マルちゃんの予想通りねぇ」


 山陰に入ってすぐ。

前方に盗賊達が現れた。

ザッと…十人。


「そこで止まりな。お嬢ちゃん達、大人しく…あっ、こらぁ!」


「逃がすなよ!上玉だぞ!」


「おらぁデカ乳の娘を貰う!」


「オ、オレはあのちっこいのだ!」


「おめぇは相変わらずどうしようもねぇ変態だな!」


 盗賊とまともに会話する気なんて無い。

完全に囲まれる前に戦略的撤退!


「待てー!デカ乳の姉ちゃん!」


「うひふへへへ!ち、ちっこいお嬢ちゃん〜!オレと遊ぼうぜぇ!」


「…良かったわねぇ。マルちゃん狙いは居ないみたいで」


「そうだけど、なんか複雑!」


「…別に嬉しくない」


 私だって盗賊に見初められても嬉しく無いけど!

おのれ盗賊!見る眼の無い奴らばっかりか!


「って!?気を付けて!矢が飛んで来るわよ!」


「気を付けてって言われても〜!」


「…結界を張るから、近くに入って」


 魔法を使うと警戒されそうだから避けたかったけと…狭い山道だから避けようが無いし…仕方無いか。


「んだぁ!?結界?」


「気ぃつけろ!魔法使いが居るぞ!」


「どんどん矢を放て!脚を狙えよ!」


 遠慮無く射ってくるなぁ、もう!


「マルちゃん!反撃しないのぉ!?」


「ダメよ!立ち止まったら追い付かれる!」


「…もうすぐ王子達との合流地点」


 王子達との合流地点は…あった!

目印の赤いハンカチ!

あの木の下を通ってー…少し進んだ先でコケた振りをすれば!


「へっへっへっ…観念した、うわおぅ!?」


「タップリねっとり揉みまくって…どおうっ!?」


「こ、怖く無いから、大人しく…ぐお!?」


 王子達が仕掛けた罠に引っ掛かって盗賊達の大半は網に捕らわれ宙釣りに。罠に掛からなかった三人の盗賊は…


「ぐはっ」「げうっ!」「や、やめっ、がぱぁ!」


 木の上で待機してた王子達が瞬殺した。

こうなると罠に掛かった方が良かったかもしれないわね…


「お疲れ。上手く行ったな」


「驚くほど、アッサリとね」


「でも、怖かったわぁ。ターニャちゃん、怪我は無い?」


「…平気」


「…まだ終わってない。気を抜くな」


 あっと…そうだった。

まだ盗賊のアジトに行って攫われた女性達を助ける仕事が残ってた。


「そうだった。というわけで…おい、お前ら。死にたくないならアジトの場所を言え」


「大人しく白状しないと…そこの三人みたいになるわよ」


「「「ひ、ひぃ!」」」


 捕まえた盗賊達を尋問した結果。

盗賊達のアジトは山の中腹にある砦跡。

そこの地下室だそうだ。


「砦跡の地下室って…そんなに大きな地下室があったの?」


「お、お頭が土魔法が得意で…魔法で地下室を拡張したんだ」


「なるほど…そんな能力があるならどっかの魔法兵団に入るなり冒険者になるなりして真っ当に生きればいいものを」


「…お前らにゃわからねぇよ。真っ当に生きたくても生きられない奴がこの世にはいるんでぇ」


「苦労なんてした事無さそうな面しやがって…お前らみたいなのがいるから俺らが苦労するんだ」


「まるで他人のせいで盗賊になったような言い分だが?どんな理由があろうとお前らの犯罪行為は正当化されないぞ」


「…お前達が不幸だからと言って、お前達が他人を不幸にしていい理由にはならん」


「「「……」」」


 すっかり大人しくなった盗賊達は宙釣りにしたまま放置。

ターニャが出したゴーレムを見張りに残して盗賊のアジトへ。


「大丈夫かしらぁ?ゴーレムだけに見張りを任せて」


「大丈夫じゃろ。あの網を切って逃れたとしても真下に落とし穴を作っておいたからの。飛行魔法でも使えん限り落とし穴に入るのは避けられんわい」


「あらぁ、流石ゴードンさんねぇ」


 捕まえた盗賊達の中に飛行魔法が使えそうな奴は居ないし…大丈夫そうね。


「山の中腹にある砦跡…あ、アレかしらぁ?」


「アレっぽいな。よし、此処からは木々に隠れながら進むぞ」


 アジト目指して歩き始めて凡そ一時間。

遠目に砦跡を確認出来る位置まで来た。


「……」


「マルちゃん?どうかしたの?」


「うん…遠目に見ただけだから何とも言えないけど、見張りが見えなかったって」


「そりゃ無人の砦跡に見張りが居たらおかしいしな。そこが盗賊のアジトですって教えるようなものじゃないか」


「そうね。そうなんだけど…」


 あの盗賊連中、そこまで頭回るかしら?

あまり頭の良さそうな連中に見えなかったから、安心感欲しさに見張りを立ててそうだけど…


「…ゴードン爺さんはどう思う?」


「そうじゃのう…マル嬢ちゃんの言う事もわからんではないが…此処で考えてもしょうがあるまいて。行ってみるしかないじゃろうのう」


 それも、そうか…捕らえてる女性を助けるには行くしかないんだし、今は進みましょ。

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