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双剣を求めて 3

「はいーというわけで到着しました、ヤーマン王国の北東に位置する国トロープス魔王国の街ルジャワです。山近くの街で山越えをする旅人の為の宿場町と狩猟で発展した小さな街。狩猟が盛んなだけあって街の大きさにしては大きな冒険者ギルドがあります」


「…突然どうしたの?マルちゃん」


「…誰に言ってるの?」


「えっと…何故だかわからないけど言わなきゃいけない気がして…大いなる神の意思、みたいな?」


「何言ってんだ、お前…」


 私にもよくわかんない…何で言ったんだろ?


「…まぁいい。先ずは昼食にしよう。どこがいいかな」


「あそこ、食事処みたいよぉ」


 適当に目についたお店に入って食事をする事に。

昼時だけあって混んでる。そこそこ繁盛してるお店みたい。


「うん。中々いけるな」


「…果物、美味しい…」


「あ、ブロちゃん。これあげる」


「…好き嫌いは良くないぞ、カトリーヌ」


「爺さん、まだ昼なんだから飲み過ぎないでよ」


「堅いのう…」


 ガヤガヤと騒がしい周りに負けじと騒がしく食事を採る。そしてこの後の予定を話してると隣の冒険者と思しき人達から少し興味を引く話題が聞こえて来た。


「聞いたか?グンタークの事」


「ああ。内乱が終結したらしいな」


「マジで?どうなったんだよ?」


「王女派が勝利して王子は処刑されたらしい。で、王女は即座に女王に即位したってよ」


「マージかー…王子って王女の兄貴だろ?」


「仕方無いだろ?王子だって親兄弟殺してるんだしよ」


「いやだねぇ。家族で殺し合いとか。これだから王族ってヤツは…」


「平民でも偶にある話だけどな。あ、女将さん!エールおかわり!」


 どうやらグンタークの内乱が終結したらしい。

予想より少し早かったけど、王女が勝利したのは予想通りね。


「王女が勝ったか…」


「珍しく真面目な顔してるわね、ダバちゃん。王女が勝ったら拙い事でもあるの?」


「珍しくってどういう事だ…拙い事なんて無い。だが私は王女と王子、両方と面識があったからな。その時は仲睦まじい兄妹に見えたのに、と思ってな」


 そう言えば王子は何回かグンタークに行ってたっけ。

私達は行った事無いけど…ゴードン爺さんは有りそう。


「そっか〜…ねぇ、グンタークの王子って、どんな人だったの〜?」


「ん?…そうだな……普通の人だったな。王子として何か秀でた能力があるわけでも劣ってるわけでも無く。困ったちゃんな性格でもない。本当に普通の人だった」


「そんな人が親兄弟を殺したの?」


「私も驚いた。そんな大それた事する人物には見えなかったからな。誰かに唆されたんだとしても…人は見かけによらないモノだよな」


「ふ〜ん…じゃあ王女はどんな人?」


「確か…オリビアと同い年だ。オリビアには負けるが美人で…頭の良い人だったな」


「ダバちゃんから見て美人なんだ〜…へぇ〜」


「何だ?それがどうかしたか?」


「ダバちゃんにグンタークの王女…ううん、女王様から縁談来るんじゃないかなぁって」


「…有りそう」


 確かに、有りそうではあるけど…多分、それは無いわね。


「それは無いわよ、多分ね」


「ああ、無いな」


「あらぁ?どうして?ダバちゃんのシスコンっぷりはそこまで有名なのぉ?」


「それもあるけど、違うわ。王子と結婚するとレンド魔王国との仲が微妙ぬるもの。それに弱った国力を回復するには大きな国と縁を結びたい筈よ」


「シスコン…まぁ正直、私は結婚相手としては微妙って事だ。そうだなぁ…出来るならヴェルリア王国かエルムバーン魔王国と縁を結びたいと思ってるんじゃないか?」


 私の情報じゃヴェルリアの王子との縁談は無理そうね。

エルムバーンの魔王子は…婚約者は居るけど女好きらしいし、可能性はあるかな?


「女王様も大変ねぇ。国の為になる結婚相手を見つけなきゃいけないなんて」


「カトリーヌだって貴族令嬢なんだから、政略結婚の対象になるかもしれないだろ?将来的には私が命ずるかもしれんし」


「それはわかってるわよぉ。でも私より先にマルちゃんに良い人見つけてあげないとぉ。マルちゃんの方が年上なんだしぃ」


「一つしか変わらないじゃない!私は自分で見つけるわよ!」


「…私の方がマルレーネより年上…」


「あら、じゃあターニャちゃんもダバちゃんに見つけてもらう?」


「……やだ」


「じゃあターニャちゃんもマルちゃんも、私が見つけてあげるぅ。マルちゃんの好みは大体わかるけど、ターニャちゃんはどんな人が好みなのぉ?」


「何でわかるのよ…」


「…優しい人」


「ふんふん…他には〜?」


「…お前ら、先に食事を済ませろ。冷めるぞ」


 あっと、いけない。

ブロイドって食べ物を粗末にしたりすると怒るのよね。

残しても不機嫌になるし。


 食事を済ませて冒険者ギルドへ。

人はそこそこ居るけど残ってる依頼は少ないみたい。


「やっぱりこの時間だとろくな依頼が無いな」


「良い依頼は真っ先に無くなるものねぇ」


「残ってるのは…商人の護衛とマウンテンバッファローの討伐…それと盗賊団の殲滅ね」


「お?よし、マウンテンバッファローの討伐を受けよう」


「却下よ」


「な、何でだ?肉食べ放題だぞ?マウンテンバッファローは美味いし。報酬も貰える。最高じゃないか」


「よく見なさい。肉を持ち帰るのが条件よ。つまりは食べちゃダメなの。どうやって持ち帰るのよ?」


「う…」


「あぁ〜…だから残ってるのねぇ」


「…解体しても運ぶのは大変だから」


 更に付け加えると。

大量の肉を目の前にして王子が我慢出来ると思えない。

失敗するのが目に見えてる。


「商人の護衛はヤーマン行きだし、ダメよねぇ」


「となると…残る選択肢は…」


 盗賊団の殲滅、ね。

討伐じゃなく、殲滅って事は皆殺しにしろって事だと思うけど…難度はB。

盗賊団相手の設定難度はあまりあてにならないけど。


「盗賊団の殲滅か…あまり気は進まないが仕方無い。報酬は悪く無いしな。話を聞いてみよう」


「ええ」


 受付で話を聞いてみると。

最近になってやって来た三十人規模の盗賊団で山越えをする旅人や近くを通る商人が狙われてるらしい。

女性も何人か攫われてしまったのだとか。


「三十人って、そこそこ大きな盗賊団じゃない。どうして国は兵を出さないの?」


「この街にも兵は居ますが先日街を襲った魔獣により大打撃を受けてしまいまして…今は街の防衛で手一杯なんです。国の中央からの援軍は雪が無くなるまで期待出来ませんし」


 トロープス魔王国はヤーマンと同じで温暖な国だけど、このルジャワ周辺は雪が降る。今は降ってないけど、外は雪が積もってる。


「どうする?受ける?」


「そうだな…爺さんはどう思う?」


「そうじゃな…ま、何とかなるじゃろ」


「ブロイドはどうだ?」


「…攫われた女性が気の毒だ。早く助けに行くべきだろう」


 間違い無く、悲惨な目にあってるだろうしね…同じ女として許せないわね。


「意外にフェミニストだよな、ブロイドは…ま、私も同意見だ。よし、受けよう」


 盗賊団の殲滅、か。血生臭い仕事になりそう。


「盗賊団ねぇ…盗賊って臭いイメージがあって苦手なのよねぇ」


「…実際臭い。焼却しよう」


「殺人も人攫いもやってるみたいだし、遠慮はいらないわねぇ」


 盗賊相手は前にもあったけど…意外とカトリーヌとターニャが容赦無いのよね…ちょっと怖いくらいに。


「じゃ、盗賊団殲滅に行くぞー」


「「「おー」」」


 成功報酬は金貨三十枚。盗賊一人につき金貨一枚の計算ね。

盗賊が奪った物なんかは返却しないといけないけど、盗賊の装備なんかは貰って売却しちゃえば少しは足しになるでしょ。

簡単に片付けば割の良い仕事かもしれないわね。


 と、思ってたんだけどなぁ…

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